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《食べる》漢方の事典☆2月の食材
執筆者 久保田恵美

《食べる》漢方の事典☆2月の食材

コショウ  Pepper

生薬名は「胡椒(こしょう)」。和名も同じ漢字を書きます。効能は食欲増進、消化不良・腹痛の改善、発汗・解熱作用など。胃を温める作用があるため、胃が冷えて食欲がないときにはおすすめ。料理のアクセントとして適量加えるとよいでしょう。また、風邪のときや熱っぽいときにも最適です。スープなど温かい料理に加え、温かいうちに食べてください。ただし、コショウの量が多すぎると胃の粘膜を痛める恐れもあるため、加え過ぎには注意しましょう。

黒コショウ

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黒コショウ  Black pepper

コショウにはいろいろな色があります。一般的には「黒コショウ」または「白コショウ」を使うことが多いかと思います。この色の違いは、収穫時期と作る行程の違いなのです。コショウの実は、元は緑色で、熟す過程で「黄色」に変わり、完熟すると「赤色」になります。黒コショウは、完熟前の実(緑色が残っている実)を乾燥させ、果皮を取り除いて種子だけにしたもの。白コショウは、完熟した赤い実を水に浸して果皮を取り除き、乾燥させたものです。白コショウは辛味がマイルドな点が特徴。一方、黒コショウは辛味が強いので、料理にピリッとしたアクセントをつけたいときは黒が最適です。

ピンクペッパー

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ピンクペッパー  Pink pepper

コショウには黒や白のほかに、本格的なスパイス売場には「グリーン、赤、ピンク」なども置かれています。つまり、収穫時期によって色の違うコショウができるというわけです。ただし、「ピンクペッパー」は、一般的な「コショウ」とは別物。ピンクペッパーは「胡椒木(こしょうぼく)」という樹木の実を乾燥させたもの。コショウは「コショウ科コショウ属」のつる性植物に対し、ピンクペッパーは「ウルシ科サンショウモドキ属」の植物。コショウのような独特な辛味はありませんが、コショウに似た香りが特徴です。料理の香りづけやデザートのアクセントなどに使われます。

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ナツメグ  Nutmeg

生薬名は「にくずく」。ニクズク科ニクズク属の常緑高木になる果実の種子を「ナツメグ」と呼びます。実際に販売されているナツメグは、完熟した果実から種子をとり、乾燥させたものです。種子の原形(ホール)のタイプと、粉末状にしたタイプがスパイスコーナーなどで入手できますが、ホールタイプをおろし金でおろして使うほうが、より新鮮な香りを楽しむことができます。漢方医学的な効能は、食欲増進、消化促進、下痢止め、口臭予防など。スパイスとして使う場合は、肉や魚の臭い消しとして有効です。ロールキャベツ、ハンバーグなどのひき肉料理にはとくにおすすめです。また、香りづけとして、ケーキや焼き菓子などにも最適。ただし、大量摂取(目安:大さじ1杯以上)すると頭痛、めまいなど中毒症状が起こる場合があるため、使う際は風味づけ程度に少量加えましょう。

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ニッケイ  Cinnamon

生薬名は「桂皮(けいひ)」。和名では「肉桂(ニッケイ)」と書きます。ニッケイは、クスノキ科クスノキ属の常緑高木で、その根の皮を乾燥させたものが生薬として用いられます。効能は風邪初期の発汗・解熱、胃もたれ、消化促進など。

ニッケイは生薬とは別に、「シナモン」と呼ばれて流通しています。生薬の桂皮(けいひ)と比べると、緩やかですが同じ効能をもっています。

古くから、ニッキ飴や八つ橋の香辛料として「ニッキ」がありますが、これは原料がニッケイ(シナモン)とは異なり、近縁の香辛料になります。ニッケイはスパイスコーナーで入手可能。バニラアイスにかけたり、湯を注いでお茶として飲んだり摂取法は様々。りんごとの相性がよいので、アップルティに加えて飲むと、香りを楽しみながら体を温めることができます。

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トチュウ

生薬名は「杜仲(とちゅう)」。トチュウは20メートルにもなる落葉高木です。生薬の杜仲は「トチュウの樹皮を乾燥させたもの」を指します。効能は滋養強壮、腰痛・足腰の倦怠感(けんたいかん)解消、利尿作用、むくみ防止、腎機能強化など。生薬の「杜仲」は漢方薬店でないと入手困難ですが、トチュウの葉を使った「杜仲茶」であれば、スーパーや薬局などで購入可能。ティーパックタイプが主流なので、手軽にお茶を作ることができます。味はウーロン茶のような渋味はなく、ほのかな甘味があることが特徴。また、ノンカフェインなので量を気にせず、摂取できます。効能は血圧降下に優れているといわれています。生薬の杜仲と比べるとその効力はおちますが、日々続けて摂取することが何より大切です。

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カンゾウ

生薬名は「甘草(かんぞう)」。甘草は、マメ科カンゾウ属の多年草で、その根を乾燥させたものが生薬として用いられます。効能は、のどの痛み解消、せき・たんの改善、胃痛・腹痛の暖和、解毒作用など。様々な漢方薬に配合される代表的な生薬です。ただし、大量摂取すると、むくみやけいれんなど副作用を伴うことがあるため、摂取の際は薬剤師の方に相談することをおすすめします。

また、カンゾウは非常に甘味が強いため、甘味料として「しょうゆ、みそ、たばこ、菓子、飲料」などに利用されています。カンゾウは、百貨店のスパイスコーナーなどで粉末状タイプを入手可能。一般的な砂糖の150倍から200倍もの甘さがあります。カレーや漬け物、ハーブティなどの甘味づけにおすすめです。

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