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《食べる》漢方の事典☆9月の食材
執筆者 久保田恵美

《食べる》漢方の事典☆9月の食材

くるみ  walnut

生薬名は「胡桃肉」(ことうにく)。効能は新陳代謝促進、動脈硬化防止、利尿作用、滋養強壮など。新陳代謝をよくするため、肌や髪にツヤがでる効果もあります。また、どんな調理法をしても効能は残るため、気軽に使える食材です。

摂取法はそのまま食べてもおいしいですが、「はちみつ」をからめて食べると高血圧、便秘症改善の作用が高まります。1日に2粒から3粒食べるだけで、効果がでるといわれています。

しかし、濃いお茶と一緒に食べると、お茶に含有するタンニンという成分が効果を低下させてしまうので、気をつけましょう。

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ナツメ  Chinese date

生薬名は「大棗」(たいそう)。和名では「棗」(なつめ)と書きます。効能は鎮静、安眠、不安・イライラ解消、便秘解消など。さらに、滋養強壮、美肌効果も期待できます。生で食べるのが一番効果的ですが、日本では入手困難なため、乾燥したタイプを購入するとよいでしょう。乾燥したナツメを湯通ししてから食べても、薬効は残るので問題ありません。スーパーなどのドライフルーツ売場や、中国食材、韓国食材売場などで入手可能。乾燥プルーンに似た見た目ですが、プルーンよりも鉄分、カルシウムともに優れているため、ぜひ一度試していただきたい食材です。

摂取法はスープやおかゆ、煮物などの具材としておすすめです。また、甘い味があるので、デザートの具材としても使いやすいです。

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ゴマ  sesame

生薬名は「胡麻」(ごま)。ゴマ科の一年草。きれいな白い花をつける植物で、種子を乾燥させたものが出回っています。収穫は9月ごろ。効能は多岐にわたり、肌荒れ改善、白髪予防、血液浄化作用など。さらに、便秘、冷え性、貧血予防にも効果的です。自律神経失調症、高血圧症によるめまい、目のかすみ、頭痛などの症状にもおすすめな食材です。夏の暑さから少しずつ涼しくなっていく9月。体調が不安定になりやすい季節ですが、ぜひ、色々な料理に「ゴマ」を取り入れて元気に乗りきりましょう。→セサミン

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セサミン

ゴマに含有する微量成分「セサミン」。抗酸化作用をはじめ、コレステロールの低下、肝機能増強などの効果があります。抗酸化作用は老化防止につながり、女性にはうれしい美容効果も期待できます。1日に大さじ1(約10g)程度食べるだけで効果的だといわれています。ぜひ、サラダやスープに加えたり、炒め物の仕上げにサッとかけたりして、毎日続けることをおすすめします。→ゴマ

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菊  Chrysanthemum

生薬名は「菊花」(きくか)。食用花は生ですが、生薬として販売されているものは、菊の花を乾燥させたものです。効能は頭痛、めまいの回復、風邪予防、血圧降下、血行促進作用など。また、視力回復効果も期待でき、目の疲れ、かすみ、充血といった症状にもおすすめです。簡単な摂取法は、お湯を注いで「菊茶」として飲むこと。炒め物やスープに加えても効果はあります。「菊酒」も効果的です。ホワイトリカー1.8リットルに菊花(きくか)を100グラム程度加え、甘さをつけたい場合ははちみつを適量加えます。2カ月から3カ月そのまま熟成させたら、中身を取り除きます。この段階で飲んでも問題ないですが、さらに、1カ月ほど熟成させると飲み頃になります。→重陽の節句

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重陽の節句

中国では古くから、は、不老長寿の薬効があると珍重されていました。菊の花が咲く季節である陰暦9月9日を「重陽の節句」(ちょうようのせっく)と呼び、菊酒(菊の花びらを浸した酒)を飲んで長寿の祈願をしたそうです。日本には平安時代初期に伝来し、宮中や寺院で菊花の宴が行われていました。江戸時代になると庶民にも広まり、節句を祝ったといわれています。

現在では親しみの薄い風習ですが、陰暦の9月9日を新暦でいうと、現在の10月中旬あたり。菊花展や菊人形展などが各地で盛んに催される時期にあたります。

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八角  Star anise

中国名は「大茴香(だいういきょう)」。8角の突起を持っていることから和名では八角(はっかく)。星状の形をしていることから英名では「スターアニス」と呼ばれています。モクレン科の果実で、乾燥したものが出回っています。用途は薬用というより、一般的には食用の香辛料として用いられる食材です。

効能は体を温める作用、鎮痛作用、健胃、興奮作用など。冷えてお腹や腰が痛むときや、食欲不振や気分が落ち込んでいて元気を出したいときなどに効果的です。主な摂取法は“スパイス”として料理に加える方法。豚肉レバーや鴨肉など臭いが気になる肉料理にはとくにおすすめです。また、ミルクティーに加えて香りを楽しみながら、体を温めるのもよいでしょう。風邪のときや風邪予防に最適です。→タミフル

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タミフル  Tamiflu

八角(はっかく)は、インフルエンザ治療に使う薬「タミフル」の原料として用いられます。しかし、八角を食べたからといってインフルエンザに効くということではありません。これから除々に寒くなる季節、風邪予防の対策として、八角をぜひ料理や飲み物に取り入れてみましょう。

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キキョウ  balloon flower

生薬名は「桔梗根(ききょうこん)」。ききょうの根を乾燥させたものです。漢方薬店で入手可能。ききょうの花は7月から10月ごろに咲き、観賞用として親しまれているきれいな花(青がかった紫色)です。桔梗根は、とくに「のど」の症状に効く生薬です。気道の分泌液促進や唾液分泌促進の作用があるため、咳やたんを鎮めます。気管支炎や扁桃炎といった症状の改善にもよく使われます。摂取法は桔梗根の粉末をお湯で煎じた液で、うがいをしながら飲むこと。飲むだけでも効果的ですが、うがいをすることでのどの痛みを軽減することができます。体の衰弱が著しい方や冷え性の方にはおすすめできないため、病院や薬局で相談してから摂取するとよいでしょう。

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