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6月を彩る言葉たち
執筆 木村傳兵衛

6月を彩る言葉たち

芒種

ぼうしゅ。稲や麦など芒(のぎ)ある穀物の種を蒔く頃の節気。新暦6月6日頃。芒とはイネ科植物の実の外殻に見られる棘のような突起のこと。この頃は麦の刈り取りや田植えなど、農作業が忙しくなる時期。ちなみに全国で田植えのピークが最も早いのは沖縄で3月上旬頃、最も遅いのは九州、四国地方で6月中旬頃。

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夏至  the summer solstice

げし。一年で昼の時間が最も長くなる日。二十四節気の一つで新暦6月21日頃。中国では邪気や疫病を祓うため、夏至に粽(ちまき)や麺類を食べる風習があるという。関西地方では夏至から11日目にあたる半夏生に、稲の根がタコの足のようにしっかり根付いて豊作となるよう祈ってタコを食べる風習がある。太陽の恵みに感謝し、夏の到来を祝う夏至祭が各地で行われる。

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入梅  the beginning of the rainy season

にゅうばい。梅雨の入りを意味する雑節の一つ。新暦6月11日頃。暦の上では、芒種(新暦6月6日頃)の後の最初の壬(みずのえ)の日で、梅雨明けは、二十四節気の一つである小暑(新暦7月7日頃)の後の最初の壬の日とされる。現在の梅雨入りは気象庁や各地の気象台が発表する「梅雨入り宣言」が目安となっている。

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夏越の祓

なごしのはらえ。一年の前半の最終日にあたる6月の晦日に行われる神事。大晦日の「年越の祓(としこしのはらえ)」とともに罪や穢れを祓う「大祓(おおはらえ)」と呼ばれる風習。旧暦では夏から秋への季節の変わり目だったため「夏越」と呼ばれる。各地の神社では、半年の厄払いをし、夏を無病で過ごせるように祈願する行事が行われ、境内に茅草を束ねた輪(茅の輪)を作り、それをくぐって身を浄める風習が残っている。

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貴船祭

きふねまつり。毎年6月1日に行われる京都・貴船神社の例祭。貴船神社は水の神を祀り、水に浮かべて文字を読み取るおみくじや縁結び、丑の刻参りの伝説など、古くから神秘的な神社として知られている。祭では五穀豊穣と無病息災を祈って「乙女舞」が奉納され、本宮から貴船川上流の奥宮まで神輿が出る。

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父の日  Father's Day

普段存在のありがたみを忘れられがちなお父さんに感謝を表す日。6月の第3日曜日。1910年6月、アメリカ・ワシントン州のJ.B.ドット夫人が、男手一つで育ててくれた父のために、牧師に礼拝をしてもらったことが起源とされています。当時、母の日がすでに知られていたため、「母の日のように父に感謝する日を」と牧師協会へ働きかけたことで広まり、1972年にはアメリカで国民の祝日に制定されました。ドット夫人が、父親の墓前に白いバラを供えたことから、父の日に贈る花はバラとされています。

日本では1950年代頃から知られていたようですが、母の日に比べるとなぜか印象の薄い日。何を贈ったらよいか決めにくい、バラを贈ってもあまり喜ばない、などが理由としてありそうですが、大切なのは感謝の気持ち。父の日は世界各地にあり、日本、カナダ、イギリス、フランスなどがアメリカと同じ6月の第3日曜日。リトアニアは6月の第1日曜日、オーストリアは6月の第2日曜日、台湾では8月8日が父の日とされています。

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時の記念日

6月10日。『日本書紀』には671年の旧暦4月25日に宮中で漏刻(水時計)が設置されたことが記されており、これが日本における時報の起源とされる。この日は新暦6月10日にあたり、1920(大正9)年から「時の記念日」と定められた。時の祖神とされる天智天皇を祀る滋賀県大津市の近江神宮では、毎年6月10日に漏刻祭(ろうこくさい)が行われる。また、日本標準時の基準となる子午線(東経135度)が通る兵庫県明石市では、時の記念日に時にちなんださまざまな行事が行われている。

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川明

かわあき。鮎釣が解禁されること。夏の季語。5月末から7月、各河川を管理する漁業協同組合が設定した竿釣りの解禁日には、とくに友釣りの愛好者が一斉に繰り出す。関東地方では6月1日に川明を迎えるところが多い。川に入るときには、所定の店で入漁券(入川券、遊漁証などとも呼ぶ)を事前に購入し、携帯する。太公望たちが待ち望む、夏の一日。

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