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ちょっとマニアックな気象の単位と記号
執筆 白鳥 敬

ちょっとマニアックな気象の単位と記号

IR1

運用中の気象衛星ひまわり6号(MTSAT-1R)は、5号までと違って、センサの数が増えている。可視光センサは、0.55μmから0.90μmの波長域を撮影。μmはマイクロメートル。これは5号も6号も同じだが、赤外線のほうは、5号が3つの赤外線チャネルで観測していたのに対して6号では、4つのチャネルで観測している。IR1(10.3-11.3μm)、IR2(11.5-12.5μm)、IR3(6.5-7.0μm)、IR4(3.5-4.0μm)の3つだ。テレビの天気予報などで普通に見るひまわり画像はIR1。IRいくつのというのは、ひまわりの赤外線センサーの帯域ごとにつけられたチャンネルの記号。

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解像度

解像度は、どこまで細かなものを識別できるかということ。身近なところでは、プリンターや画像の解像度を表すDPIが知られている。3万6000km上空のひまわりのセンサーの解像度は、可視光で1km、赤外線で4km(どちらも衛星の直下)。赤外線は、波長が長いため、可視光より解像度が悪い。しかし、夜間でも雲を撮影できるという大きな長所がある。

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大気の窓

気象衛星が雲を撮影するとき赤外線を用いるのは、夜間に撮影する必要があるということの他にもう一つ理由がある。それは、10.5μmから12μmくらいの波長の赤外線は、大気による吸収が少ない帯域であるということ。つまり、大気にじゃまされずに地上や地上付近の空間のようすを見ることができる。この波長域を大気の窓という。

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矢羽根(国際式)

天気図で風速を表す方法には日本式と国際式がある。国際式では、矢羽根の方向で風向を、矢羽根の数で風速を表す。矢羽根とは弓矢の矢の後端部分についている小さな羽根のこと。矢羽根が北(地図の上方)にあれば、北から南に向かって矢が飛んでいるということになり北風を意味する。短い矢羽根一本は5ノット(2.6m/s)、長い矢羽根一本は10ノット(5.1m/s)。50ノットは細い三角の旗矢羽根になる。旗矢羽根2本・長矢羽根1本・短矢羽一本が書いてあれば風速115ノット。高層天気図では、冬期になるとこれくらいの風は普通に見られる。

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矢羽根(日本式)

日本式では、矢羽根の飛ぶ方向は風の向きであることは同じだが、羽根の数は「風力」を表している。風力とは、風の強さの目安を陸上や海上のようすで表したもの。「顔に風を感じる。木の葉が動く。風見も動き出す」風は、風力2で矢羽根の数は二本となる。風力2の風速は1.6m/s以上3.4m/s未満。

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雲の隙間

雲量を表す方法として10分雲量と8分雲量がある。10分雲量は全天を10として表示するもの、8分雲量を全天を8として表示するものだ。8分雲量は航空気象で用い、普通は10分雲量を用いる。気象庁の天気区分では、晴れは雲量が「10分の2以上・10分の8以下」の状態を言う。国際式の雲量記号は、円を四等分して、それを順番に塗りつぶしていくことで表す。雲量0は「」、雲量1以下は○の中に縦線が一本「」、雲量2−3は円の第一象限だけを黒くする「」。「」は10分の10、つまり全天が雲で覆われている場合を表すが、雲量が10分の10でも隙間がある場合は、「」の真ん中に白の縦線を一本入れる「」。

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雨を表す国際式記号

国際式天気記号には面白いものがたくさある。雨の記号は黒いドットで表現するが、横の並び方で連続性を表し、縦の並び方で強さを表す。「」は「断続してふる弱い雨」、「」は「断続して降る普通の雨」、これにもう一個ドットがついて縦に3個並ぶと、「断続して降る強い雨」となる。次に横の並びであるが、「」なら連続して降っている弱い雨、ドットが三個、三角形の頂点の位置にある記号「」では「連続して降っている普通の雨」を表す。

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国際式地上天気図の記号

新聞の天気情報欄に掲載されている天気図は簡略化したものだが、オリジナルの天気図を見たい場合は、気象庁のホームページから閲覧できる「アジア地上天気図」を見てみるといいだろう。多くの記号が使われているが、記号の意味を理解すると、地上天気図1枚だけでも非常に多くのことがわかる。たとえば、低気圧や高気圧の側に、移動方向と移動速度を表す記号がついている。矢印が差している方向が移動方向で、移動速度は「KT」で表示されている。移動速度が極めて遅い場合は、次のように書いてある。「SLW」はslowlyの意で、5ノット(9km/h)以下の場合。「STNR」はstationaryの意で、5ノット以下で移動方向が明確でない場合。「UKN」はunknownの意で、移動方向・速度とも不明の場合。

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FOG[W]

国際式地上天気図では、霧や暴風などの警報も書き込まれている。FOG[W]はFog Warningの意で「濃霧警報」。[GW]はGale Warningの意で強風警報(34-47ノット)。[SW]はStorm Warningの意で暴風警報(48-63ノット)。[TW]はTyphoon Warningの意で、台風警報(64ノット以上)を表している。

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