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季節の食材カレンダー☆10月の巻
執筆者 久保田恵美

季節の食材カレンダー☆10月の巻

絹さや  field peas

旬は3月から10月と、長い期間おいしくいただける野菜です。別名「さやえんどう」ともいい、へた部分の色が鮮やかな緑で、全体に張りのあるものが良品です。

和食の彩りとして、飾り的に使われることが多いですが、サッとゆでて煮物の主役にしてもおいしいですよ。ほのかな甘味とシャキッとした歯応えを楽しむことができます。

煮物に加えるときは、塩でサッと下ゆでして、ザルにとり、熱いうちにしょうゆを少々かけてあげるとよいでしょう。時間が経っても鮮やかな色を保ちつつ、ほんのりと味をつけることができます。煮物を煮ている際に、加えてしまうと柔らかくなりすぎて、食感がなくなってしまうので、最後の仕上げに加えて、サッとひと混ぜする程度がベストです。また、お味噌汁の具としてもおすすめ。最後に加えて、2分程度火にかければ完成です。絹さやの香りと味わいを楽しめる椀ものになります。

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さつまいも  sweet potato

さつまいもは年中出回っていますが、新ものは8月〜10月に入手できます。ビタミンCや食物繊維が豊富。ふっくらとして、全体に光沢があり、くぼみが少ないものを選ぶとよいでしょう。また、寒さに弱いため、冷蔵庫には入れず、常温で保存してください。

さつまいもの食物繊維は「皮」に多く含まれています。ですので、皮のまま調理したり、焼きいもや蒸かしいもは、皮のまま食べることをおすすめします。ただし、皮部分にはアクがあるため、皮ごと煮物にする際は、水に5分〜10分さらしておくことが大切です。

さつまいもの味わいは、他のいも類にはない強い甘みが特徴です。その甘味を生かして、天ぷらや煮物などで活躍しますが、ほかに、お菓子にもよく使われる食材です。

さつまいもと植物油

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スイートポテト  sweet potato

さつまいもを使った簡単にご家庭でできる「スイートポテト」を紹介します。

まず、鍋にたっぷりの水を入れ、さつまいもは皮をむかずにそのまま入れます。大きい場合は、鍋に合わせてカットしてから入れます。20分程度ふつふつと煮たら、竹串で刺してみましょう。スーッと通ればOK。お湯を捨て、鍋ごと火にかけ、水分を飛ばします。さつまいもが熱いうちに、皮をむきます。皮をむくときは、キッチンペーパーを使うと便利ですよ。ペーパーでこするようにむくと、やけどすることなく、きれいにむけます。

そのさつまいもをボウルに入れ、フォークやめん棒などでつぶします(ある程度、固まりが残ったほうがおいしい)。さつまいも500g(中2本)に対して、グラニュー糖小さじ1、蜂蜜小さじ2、コンデンスミルク大さじ1、無塩バター20g、卵黄1/2個分、牛乳小さじ2を加えて混合します。好きな形に整えて、卵黄を表面に塗り、オーブンに入れて焼き色がつけば、完成。生クリームを入れていないので、さっぱりした手作りのやさしい味に仕上がりますよ。

ポイントは、さつまいもに含む水分量により、生地の硬さがかわってくるため、牛乳を加えるときは、少しずつ入れること。柔らかすぎると成形しにくいので、気をつけましょう。

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玉ねぎ  onion

玉ねぎは、ねぎと同じ「ユリ科」の仲間です。明治時代にアメリカから日本へ普及しました。今では、日本はアメリカに次ぐ、世界第2位の生産国です。

玉ねぎの旬は春と秋。秋に種をまき、春に早取りされて出回る玉ねぎは「新玉ねぎ」と呼ばれ、柔らかく甘みが強いです。また、5月〜9月に収穫され、よく乾燥させてから出回るものが秋を旬とする一般的な玉ねぎです。輸入品は1月〜4月ごろに多く出回ります。

茶色の皮が乾いていて、触ってみてしっかりしまったものを選びましょう。芽が出ているものは避けてください。

玉ねぎにはいろんな種類があります。辛みや臭いが少ない「紫玉ねぎ」。フランス料理に登場する球根のような形をした小さな玉ねぎ「シャロット」。一般的な玉ねぎをミニサイズ(直径3cm〜4cm)にした「小玉ねぎ(ペコロス)」。「葉玉ねぎ」という珍種もあり、春先の短い期間のみ出回ります。これは、玉ねぎが成熟する前に収穫した早採りの玉ねぎで、葉部分も食べられます。青ねぎと同様、サッとゆがいて、酢みそで合えた料理「ぬた」にして食べるとおいしいです。

玉ねぎと豚肉

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まつたけ  matsutake mushroom

秋の食材といえば「まつたけ」。近年では中国、韓国、カナダなどからの輸入ものが多く約98%を占め、国産のものは非常に高級品。かさが開いていないもので、軸が太くつまんでみて弾力があるものを選びましょう。まつたけは、なんと言ってもシンプルに網で焼いた「焼きまつたけ」が美味。まつたけの香しい風味と、程よい歯ごたえを堪能できる至福の食べ方です。縦に手で裂いて網にのせ、香りが立つ程度に炙りましょう。出来たてにちょっとだけしょうゆをたらしてもいいですし、そのまま食べても旬の香りを満喫できます。

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栗  chestnut

9月から10月にかけて出回る「栗」。栄養価は、ビタミンCが豊富です。しかも、熱に強い性質があるので、調理してもビタミンCの摂取が期待できます。また、高血圧予防になるカリウムや、疲労回復に役立つビタミンB1、さらに脂質の酸化を防ぐビタミンEも多く含有します。小さいながらも、たっぷりの栄養を持つ優等生なのです。

栗は堅い皮(鬼皮)に包まれているため、日持ちするように見えますが、実は鮮度の落ちやすい食材なのです。購入後はできるだけ早め(1日〜2日以内)に食べましょう。食べきれない場合は、皮がついたまま冷凍することをおすすめします。

ゆでるときは皮のままゆでます。半割りにして、スプーンですくって食べると美味。栄養価の高い簡単なおやつとして魅力的です。

栗の豆知識

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栗ごはん

「栗ごはん」というと難しいイメージがあるかと思いますが、とても手軽に作ることができます。包丁を使って、生の栗の皮をむき、炊く前のお米に加えるだけなんです。栗にゆっくり熱を加えることで、甘みが増し、ほくほくした食感を生み出します。

栗をむく際は、30分程度水につけておくと皮が柔らかくなり、むきやすいです。底部分の皮をむいてから、側面に包丁を入れてむきましょう。

お米は通常通りの水分量でOK。お米2合の場合は、水2カップ、酒大さじ2、塩、薄口しょうゆ、砂糖各々小さじ1を加えます。水をだし汁に変えると、さらに本格的な味わい深い栗ごはんに仕上がりますよ。

栗の豆知識

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さつまいもと植物油

さつまいもは熱に強いビタミンCを豊富に含みます。調理後も約60%のビタミンが残ると言われています。また、美肌効果のあるビタミンEは玄米ご飯の約2倍も含有。がん予防になるカロテンも含むため、抗酸化食品として、ぜひ食卓に並べたい食材のひとつです。

食べ合わせのおすすめは、さつまいもと植物油。油で調理することで、カロテンの吸収が高まるためです。つまり、さつまいもの天ぷらや大学いもは、理にかなった料理なのです。

大学いもは買ってくるものというイメージがあると思いますが、実は簡単。

まず、さつまいもを食べやすい大きさに切ります。大きすぎると火の通りがわるいので、2cm〜3cmの乱切り、または1cm程度の輪切りにしてください。切ったさつまいもは、アク抜きのため、10分程度水につけます。しっかり、ペーパーで水気をとったら、中温(箸を入れて小さな泡がでる程度)の油で揚げましょう。

タレは、砂糖大さじ3、みりん大さじ1、しょうゆ小さじ1/2、酢小さじ1/4、水小さじ1を鍋に入れて火にかけ、ひと煮立ちしたら弱火にします。焦がさないようにゆっくり火を入れてとろみをつけることがポイント。揚げたての大学いもと、できたてのタレを絡めて、黒ゴマをふればできあがりです。酢を入れることで、甘みがまろやかになり、味を引きしめます。

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玉ねぎと豚肉

玉ねぎには「硫化アリル」という成分を含みます。これは、玉ねぎの辛みや、ツンとくる独特の匂いのもとです。硫化アリルは抗ガン作用や抗菌作用に優れている他に、ビタミンB1の吸収を助ける効果もあります。なので、ビタミンB1を含む食材といっしょに摂取することで、疲労回復、精神安定などが期待できます。

おすすめする食べ合わせは「豚肉」。ビタミンB1を多く含有する代表食材です。ここでは、鶏肉&卵料理の「親子丼」をアレンジして、豚肉を使った「豚玉丼」を紹介します。

まず、スライスした玉ねぎを煮立てただし汁に加え、しんなりしたら、豚肉を加えます。肉に火が通ったら、溶き卵をまわし入れます。蓋をして、10秒〜15秒ほど火を入れれば出来上がり。しっかり、卵に火を入れたい場合は、多めに火を入れてください。

だし汁の配合は、「しょうゆ:みりん:砂糖:だし汁=1:1:2/3:8」で混合しましょう。砂糖を少し入れることで、甘みがまろやかになります。もし、砂糖を入れるのが面倒といった場合は、みりんを多めに入れて甘みを調整してください。

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栗の豆知識

日本原産の栗は縄文時代から栽培されていたといわれます。実際、青森県青森市に栽培跡があり、栽培時期の証拠となりました。また、「日本書紀」にも持統天皇の時代(7世紀)には国家が栽培を奨励していたことが記されています。その昔、栗を乾燥させることで、長期保存を可能にし、「がち栗」と呼ばれていました。そのがち栗が戦国時代に「勝ち栗」と呼び名が変わり、縁起のよい食べ物になったとか。おせち料理に「栗きんとん」として登場するのも、その流れといえるでしょう。栗には「日本原産」とひと言でいっても、多種あります。

一般的に「栗」といえば、スーパーなどで購入できる「丹沢(たんざわ)栗」です。他には、栽培は難しいですが、味は極上の「利平(りへい)栗」。豊産性があり、甘みが豊富な「筑波(つくば)栗」。さらに、誰もが一度は耳にしているでしょう「丹波(たんば)栗」。これは、「銀寄(ぎんよせ)栗」とも呼ばれ、ずんぐりと大きく、丸みのある形が特徴です。

ほかにも、「彼岸(ひがん)栗」「石鎚(いしづち)栗」「晩赤(ばんせき)栗」などユニークな名前の栗があります。食卓に並ぶチャンスの少ない食材かと思いますが、少量でバランスのよい栄養素が摂取できる優秀な食材です。旬がとても短いので、見かけたときが「買い時期」ですよ。

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