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流行語大賞2006からキーワード〜part.2

脳トレ

川島隆太

1959年千葉県生まれ。東北大学加齢医学研究所教授、東北大学未来科学技術共同研究センター教授。京都大学霊長類研究科でニホンザルの脳研究をしていたとき、スウェーデン王立カロリンスカ大学ローランド教授の論文を読み、世界初の研究結果にショックを受け、自ら同研究所客員研究員となり、日本のブレインイメージング研究の第一人者となった。単純計算で脳を鍛えることができるという理論から、2004年発刊された「脳を鍛える大人の計算ドリル」が大ブームに。セガトイズから発売された「脳力トレーナー」もヒットし、05年にはニンテンドーDSソフト「脳を鍛える大人のDSトレーニング」が発売された。

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ブレインイメージング

脳のどの場所が、何をするとどう働くかを写真にしてみせる技術。人間の脳を地図に見立てて、どの場所にどんな働きがあるかを示す事からブレインマッピングとも呼ばれる。以前は動物実験や手術の際の人間の脳によってしか知ることができなかったが、機能的MRI(fMRI functional magnetic resonance imaging)や、PET(positron emission tomography 陽電子放射断層法)、NIRS(near-infrared spectroscopy 近赤外光計測法)といった大型コンピュータの技術的な進歩により、生きた人間の脳を調べることが可能になり、研究が進歩してきた。

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前頭前野

額の裏側に位置し、前頭葉の大部分を占める脳の一部分。考える、指令を出す、感情をコントロールする、コミュニケーションをつかさどる、記憶することを命令するという、精神活動の源泉となり、人間だけが特別に発達している部分といわれる。

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脳を鍛える大人のDSトレーニング

コンピューターゲームをしているときより、「音読」「単純計算」「書き取り」をしたときに、前頭前野の活動が活発になるという研究結果から生まれたゲーム。単純な計算問題や、名作音読、瞬間記憶などでトレーニングをし、色彩識別や単語記憶、高速数えなどにより脳年齢をチェックする。自分の脳年齢が示され、記録されてグラフで示されるため、続けてトレーニングをして脳年齢を下げたい気になる。タッチペンでの簡単な操作性が、それまでゲームをしない層にまで受け入れられた。海外でも発売される人気となった。

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脳ウェルスプロジェクト

2003年10月から2005年3月に東北大学やくもん学習療法センターなどが「国際的知的産業特区」に認定された仙台市の「学都」推進事業の一環として共同で行ったプロジェクト。高齢者の学習療法によって認知症の予防ができることを証明したとし、読み書き計算を生活の中に取り入れることで、脳の老化を防ぐとしている。

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ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)  Brain Machine Interface

脳神経活動で機械を直接操作する基礎技術のこと。2006年5月、ホンダの子会社であるホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(HRI)と国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は、脳活動パターンを解読し、脳の指令通りにロボットを動かす技術を発表した。従来のBMI分野では、脳に電極を埋め込むなど外科手術を伴うものであったが、ホンダの発表した技術は、特殊な訓練を必要としない世界で初めてのもの。このBMI研究は、将来、体が不自由な人のために、パソコンのキーボードを打って意思伝達を図ったり、手や足の代わりになるロボットの開発につながっていくとされている。

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脳トレツアー

自然体験によって脳のトレーニング効果があることを活用し、トレッキングや森林浴をし、脳にいい運動や食事をとることで脳の若返りを体験しようというツアー。長野県茅野市蓼科高原で行われており、茅野商工会議所、JTBヘルスツーリズム研究所、学校法人東京理科大学でコンソーシアムを結成し、2006年5月から販売された。日帰りツアーから連泊型までバリエーションがあり、楽しみながら脳を鍛える世界初の旅行である。

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写経(本)

経文を書写し、功徳を求める写経が「書いて、読んで、覚える」脳を鍛えるトレーニングによいとして、鉛筆で書き写す写経本が2006年に多く発刊された。07年4月には、「書き込み式「般若心経」練習帳DS」が、発売される予定。般若心経は仏教の教えを262文字に集積した経典。川島教授らの研究結果によると、認知症の改善や防止策として脳を活性化するのにもっとも効果が高いのは写経であったという。

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天才脳

養老孟司と茂木健一郎によるユニークな子育て本「天才脳の育て方」。オビには「“一流校”"に入れなければ! “頭のよい子”にしなければ!…そんなバカな子育てで本当にいいんですか?」というお受験熱に沸く風潮を一蹴する文句が躍り、脳トレブームとは一線を画した、学力では測れない子どもの可能性の伸ばし方理論を展開している。

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『海馬−脳は疲れない』

タツノオトシゴ(Sea Horse)に形が似ていることから海馬と呼ばれる脳の一部分。情報は一度すべてこの海馬に集まり、整理されたあとで大脳皮質にファイルされるといわれる。酸素不足や強度のストレスなどでダメージを受けると、最初に海馬から壊れるともいわれ、とてもデリケートな部分である。2002年、糸井重里と薬学博士で脳研究家の池谷裕二との対談による「海馬−脳は疲れない」がベストセラーになった。

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