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距離と時間に関する数値のお話
著者 白鳥 敬

距離と時間に関する数値のお話

スタディオン  stadion

古代バビロニア時代の古い単位にスタディオン(stadion)という単位があります。距離は約180m。どうやってこの距離を測ったのかというと、太陽が地平線の上に顔を出した瞬間から太陽が全部、地平線の上に出るまでの間に歩いた距離から測りました。太陽の視直径(地球から見た見かけの大きさ)は約32分(約0.5度)。太陽が自分の大きさ1個分、空を動くのに要する時間は2分です。2分の間に歩く距離が180mということは、毎秒1.5m、時速にすると5.4km/h。歩く速度はこれくらいでしょう。

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平均通勤時間と消費カロリー

毎日、満員電車に揺られて会社まで通勤。決していいことではないと思いますが、都会ではこれが普通です。東京都の国勢調査のデータによると、東京都民の平均通勤時間は、片道約70分となっています。

通勤時間を読書にあてるとか、ヘッドホンステレオで音楽を聴いたり、語学の勉強をするという手もありますから、あながち無駄な時間とはいえないのかもしれませんが、体力を浪費するのは確かです。片道70分の通勤によって、約140kcalのエネルギーを消費するといわれています。会社に着いた頃にはぐったり、というのでは困りますね。

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マイレージ  mileage

マイル(mile)と年齢(age)を組み合わせた言葉。航空会社が採用している、飛行機の利用距離に応じてマイル数を加算し、無料航空券や買い物などに使えるサービス。このマイルは、陸マイル(記号:mi)で1マイルは約1609m。航空会社が時刻表などに記載している、空港と空港の間のマイル数は、IATA(国際民間航空輸送協会)で決められたものを元にしているそうです。ちなみに、羽田から札幌までは511マイル(約822km)。

実際にたまるマイレージは、運賃割引サービス等のオプションによって異なってきます。ちなみに、区間距離は、飛行場と飛行場を結ぶ直線距離ではなく、標準的な飛行経路に準じて決められているようです。

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日本列島の大きさを所要時間で見る

全日空の9月の時刻表で見ると、東京〜札幌までの所要時間は1時間35分。東京〜稚内は1時間50分、東京〜鹿児島は1時間45分、東京〜那覇は2時間30分。東京〜富山は1時間。沖縄方面を除くと、東京から日本のほとんどの場所へ1時間45分以内で行けるわけです。定期便の時刻は、乗客を乗せて滑走路に向けて動き出し、目的飛行場に到着して、スポットに停止するまでの時間ですから、実際の飛行時間はもっと短いです。飛行時間で見ると、日本列島は北海道方面と九州方面に少し膨らんだ卵のような形をしています。

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ジェット気流

飛行機で海外旅行に行ったことがある人なら知っていると思いますが、日本からハワイまでの所要時間は、行きは7時間くらい、帰りは8時間以上かかります。これは、上空を西から東に向けて吹いているジェット気流(偏西風ともいう)の影響です。強いときは200ノット(370km/h)を超えます。時速400ノットで飛行している飛行機が200ノットの向かい風の中を飛ぶと、実際の速度はたったの200ノットになってしまいます。ただ、ジェット気流のもっとも風の強い場所(強風軸)は南北数百メートルと狭く、また、強風軸の高度も圏界面(対流圏と成層圏の境目)の少し下あたりにあるので、そこを避けて飛べば、ジェット気流の影響を軽減することができます。

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真対気速度/対地速度/指示対気速度/修正対気速度

飛行機が飛んでいるときの正確な速度を真対気速度(TAS,true air speed)、地面に対する速度を対地速度(GS,ground speed)と言います。飛行機の計器が示している速度は、指示対気速度(IAS,indicated air speed)。この速度を空気密度で補正した速度が真対気速度です。補正しないと、高度が高くなって気温が低くなるほど、実際の速度(真対気速度)と計器が示す指示対気速度の差が大きくなります。たとえば、高度2500フィートの気温がマイナス30℃だと、指示対気速度が200ノットでも実際の速度は300ノットくらいです。もうひとつ補足ですが、速度計が示す速度(IAS)に誤差を補正して、修正対気速度(CAS,calibrated air speed)というものもあります。正確には、真対気速度は修正対気速度を元にして換算します。指示対気速度と修正対気速度の差はあまり大きくはありません。

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風船で太平洋を渡ると何時間かかる?

太平洋を渡って、日本からアメリカに行くとき、普通は飛行機を使いますが、気球で太平洋を横断した人もいます。1981年11月に、ロッキー青木が気球に乗って、3日と12時間31分で飛んでいます。距離は、約9600kmですから、平均速度は時速114km(62ノット)。ほぼ3日半で太平洋を横断できるのですから、意外と速いです。ジェット気流の強風軸の200ノットの流れに乗れば、26時間ほどで西海岸に到達できますが、さすがに、強風軸の中やその周辺は気流が悪すぎて気球はまともに飛ぶことができないでしょう。

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アポロ11号の月までの所要時間

人類史上初めて人間が月面に降り立ったのは1969年7月16日13時32分(協定世界時(UTC,universal time coordinated))にケネディ宇宙センターを飛び立ち、7月20日20時17分(UTC)に月面の静かの海に着陸しました。飛行時間は、4日と6時間45分(102時間45分)。太平洋を気球で横断すると、3日半ほどかかること(風船で太平洋を渡ると何時間かかる?)と比較すると、意外と月は近いのだなあという気がします。

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火星までの所要時間

太陽系の惑星の中で、地球に最も接近するのは金星で、約4000万kmの距離まで接近します。2番目が火星で、最接近時には6000万km以内にまで接近します。火星の公転軌道はやや楕円形なので、最接近時の距離はその時によって異なります。最近では、2003年8月に5576万kmまで接近し、天体望遠鏡の製造が追いつかなくなるくらいの天文ブームが巻き起こりました。

この最接近の頃をねらって火星探査機を打ち上げると火星まで、半年くらいで行くことができます。初めて火星の近くにまで到達して火星表面の写真を地球に送ってきたアメリカのマリナー4号は、1964年11月に打ち上げられ、65年7月に火星の近くに到達しています。

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ワープ航法  warp drive

アインシュタインの相対性理論によれば、光速を超えることができないので、宇宙を自由に旅するのは不可能です。せいぜい太陽系の中を移動するくらいが関の山で、いちばん近い恒星でも4光年ほど離れており、光速度の1000分の1の速さで飛んでも、4000年もかかります。現実的には限りなく不可能に近いといえるでしょう。

でも、それでは面白くないので、SFの世界ではワープ航法という移動方法が提案されています。有名なのは、アメリカのテレビドラマ・映画の『スタートレック』。このドラマに登場する「USSエンタープライズ号」はワープ航法が可能で、ワープ5は、光速度の125倍の速度であるといいます。ワープ航法が将来実現するかどうかについてはまったくわかりませんが、できるものなら実現してほしいですね。

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