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島をめぐる数値のいろいろ
著者 白鳥 敬

島をめぐる数値のいろいろ

そもそも島とはどんなものをいうのでしょう?島の定義ですが、これは明確な定義はないようです。地理学的には、大陸または日本列島のような主たる島に対してそれより小さなものを島と言っています。日本では、北海道・本州・四国・九州は島ではなく、それより小さなものを島とよんでいます。

この線でいくと、日本列島はシベリア大陸より相対的に小さいので、島と一括されそうですね。世界レベルでは、グリーンランドより小さなものを島とよんでいるそうです。

では、日本には島がいくつあるかというと、海上保安庁水路部の「海上保安の現況」によると、6852個となっています。

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島の数(日本)

島の地理学的な定義は前項の通りですが、国連海洋法条約第121号では「島とは自然に形成された陸地であって、水に囲まれ高潮時においても水面上にあるものをいう。」となっています。この定義を満たす外周100m以上の島は、前項の通り全国に6852個あります。北海道・本州・四国・九州・沖縄ではどこがいちばん島が多いでしょうか。沖縄かな? それとも瀬戸内のある四国かな? という気がしますが、はずれです。最も島の数が多いのは本州で3194個、続いて九州の2160個となっています。3番目が四国で626個、北海道は、509個、最も少ないのは、沖縄の363個です。

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島の数(長崎県)

県別にみて、いちばん島の数の多い県はどこでしょうか。それは、長崎県です。なんと971個もあります。2位は鹿児島県で605個、3位は北海道で508個、4位は島根県で369個、5位は沖縄県で363個となっています。島根県が意外と多いのは驚きです。

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島の数(富山県)

島の数が最も少ない県は、どこでしょうか。長野県や埼玉県など海岸線を持たない県の島の数は0個ですから、それらを除いて、もっとも少ない県は富山県です。たったの3個。氷見市沖の虻が島、唐島、高岡市沖の男岩の3つです。男岩と対になっている女岩は外周が100mに満たないので、島としてはカウントされていないそうです。確かに富山の海岸線は砂浜が多いですね。

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島の数(東京都)

東京都は、伊豆諸島、小笠原諸島を経て、東京南方2000kmあまりの距離の沖ノ鳥島まで、全部で330個の島があります。沖ノ鳥島は、日本最南端の島で、小笠原諸島に属し、東京都小笠原支庁小笠原村の一部です。満潮時には海面と同じくらいの高さになってしまうので、消波ブロックやコンクリートで周囲を補強してあります。沖ノ鳥島って島なのか岩なのか、定義ひとつで、周辺に排他的経済水域があるかないかが決まってきますから日本も必死です。

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ツバル

南半球のフィジー諸島の少し北にあるサンゴ礁でできた小さな島国ツバル国が、温暖化による海面上昇で、今世紀末には海の底に沈んでしまうというニュースはけっこうショッキングでした。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による予測では、21世紀末には、最大で0.9m、海面が上昇するということです。ツバル国の平均標高1.5mしかないため、国土の大半が海の中ということになりそうだということです。日本の小さな島々も、その外周の長さは少しばかり小さくなってしまうでしょう。

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爺爺岳/宮之浦岳/星ケ城山/諭鶴羽山

島というと、高さはあまりないようなイメージがありますが、意外と高い山があるものです。国後島には1822mの爺爺岳(ちゃちゃだけ)があります。利尻島の利尻山は1721m、屋久島の宮之浦岳は1936mもあります。瀬戸内海の島々も思っているよりも高く、いちばん高いのは小豆島の星ケ城山の817m、2番目が淡路島の諭鶴羽山(ゆづるはやま)の608m、このほか、500m近い山を持つ島がいくつもあります。数年前、淡路島の山にぶつかって大破した小型飛行機がありましたが、この島の山の高さ608mは、小型機の巡航高度としてよく選ばれる高度ですから、ちょっと気を許すと危険なのです。

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海岸線

海には潮の満ち引きがあって、海岸線は移動します。では、どの位置をもって海岸線というのかというと、それは満潮のときの海岸線です。では、潮位は満潮と干潮でどれくらいの差があるかというと、大島では1.5mくらい、対馬では1mちょっと、能登では、30cmくらいと、場所によってけっこう差があるのです。詳細なデータと実況数値は、気象庁のサイトの潮位表をみればよくわかります。

http://www.data.kishou.go.jp/marine/tide/suisan/index.php

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島の交通手段

島のことをわざわざ離島ということがありますが、島と本土を結ぶ交通手段はとても重要です。飛行場をつくることができる広さがある島にはたいてい飛行場がつくられています。しかし、小笠原諸島のようにまだ空港がない島もあります。そういった島で急患がでると、海上自衛隊の飛行艇が患者搬送に向かいます。でも、もっとてっとりばやくていい方法があります。それは、海に浮かぶ飛行場、メガフロートをつくることです。メガフロートとは金属の構造物を海に浮かべて滑走路とした飛行場のことです。1999(平成11)年から2000年にかけて神奈川県横須賀市沖で長さ1000mのメガフロート滑走路を浮かべ、実際に飛行機を離着陸させて実証実験が行われました。基本的に海に浮かんでいる船みたいな構造物ですから、環境破壊を最小限に食い止めることができます。

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おまけ「要撃を受けた場合」

2005(平成17)年3月8日、午前、朝日新聞社の小型ジェット機が取材のため、竹島に近づいたところ、韓国軍の戦闘機4機が迎撃に上がってきたという事件がありました。通常、飛行機が他国の防空識別圏に近づくと、必ずその国からスクランブル(緊急)発進があるものです。

一般人にはあまり実感のない話ですが、もしも、スクランブルに逢った場合、相手機からの合図を知っていると何かの役にたつかもしれません。

要撃されると相手機は、左前方やや上方に来て同じ速度で飛行します。相手機が、ライトを不規則に点滅させ、翼を左右に振り、その後ゆっくり左旋回を始めたら、「私についてこい」という意味になります。ついていく場合は、こちらも機体を左右に振り、ライトを不規則に点滅させてついていきます。

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