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現代用語に見る商売のあれこれ半世紀

1980年代以降の新商売

運転代行屋

1980年本誌掲載。以下、

新道交法の、「酒酔い運転は一発で免許取消し」という厳罰主義がきいて、一杯やったらハンドルを握らない鉄則がにわかに浸透した。パーティや忘年会でつい飲まされた場合、本人にかわって運転をつとめる“代行屋”が結構繁盛。バーなどで、頼むと呼んでくれる。酔払い運転防止の新商売。

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ダビング屋

1984年本誌掲載。以下、

貸しレコード以上にレコード会社の神経を逆撫でしているのが、1982(昭和57)年ごろから大都市に登場したこの新商売。レコードからカセット、カセットからカセットなどの複写をやってくれる。音響カセットだけでなくビデオ・ダビング屋も現れて、ビデオ・マニアに重宝されている。

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貸しレコード屋

1984年本誌掲載。以下、

レコード・レンタルなどとも言う。一定の料金を徴収してレコードを貸す商売。1980(昭和55)年6月、三鷹に黎紅堂という貸しレコード屋が出現して以来たちまち全国に普及、レコード会社はおかげでレコードの売行きが低下したとして猛反発しており、81年10月、レコード会社16社が貸しレコード業4社を東京地裁に提訴した。なお黎紅堂は単なる貸しレコード屋を脱皮して新譜・中古レコードの販売なども兼ねた「マルチ・パーパス(多目的)システム」を採用するむね、83年3月、表明している。

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便利屋

1984年本誌掲載。以下、

「何でもひきうけます」のキャッチフレーズで登場した便利屋さんが、全国組織の「右近(うこん)会」を結成した。責任者は、元祖といわれる東京都世田谷区右近サービス会社の右近藤吉社長。現在は青森から九州まで23社もある。フラジルにも3社でき、ロサンゼルス、ニュージーランドにも近く結成されるという。料金は中央、地方でひらきがあるが原則としては「拘束2時間以内で6000円」。年中無休で、その仕事は、入場券買い、ペットの世話、朝夕食の献立揃え、私立幼稚園の申込み順取り、子守り、留守番、モーニングコール、庭および部屋掃除など、多方面にわたっている。

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離婚商売

1985年本誌掲載。以下、

離婚雑誌に続いて離婚相談、さらに縁切り請負業まで生れた。代表的なのは東京・大久保の「愛幸センター」で手数料は10万円。過去1年間で相談例440件。うち離婚成就例380件と成功率86%である(1984(昭和59)年6月、弁護士の資格なく離婚のあっ旋を行ったという弁護士法違反を問われ、あえなく幕を閉じた)。

離婚の理由は「夫が左遷されたから」「音をたてて食事をするのが嫌」という短絡型から最近は価値観のちがい、とくにコミュニケーションの欠落が理由というのが増えてきた。「庭の桜がきれいですね」といった妻(54歳)に対し、会社役員の夫(56歳)の「それがどうした」という返事にガックリ30年余の結婚生活に終止符をうった例もある。日本経済新聞の中堅サラリーマン1000人調査によると、家庭や個人生活より仕事を優先するミドルが78%、この手の会社人間だと家族と一緒に食事をとるのが週に1、2回というのが62%という。長い残業時間、つき合い酒の習慣で、夫婦間のコミュニケーションが少なくなり、離婚はむしろ日本企業の構造的原因に基づくとさえいわれている。ローマ市民には、男女とも離婚の権利があり、家庭崩壊が絶えなかった。ローマはそれで亡びた。まさに「たかが離婚、されど離婚」である。

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バッタ屋

1988年本誌掲載。以下、

全国区のブランド商品ではなく、主としてダンピング商品を専門に販売する業者。卸業者のこともあれば、小売業者のこともある。小売業者は、ディスカウンター、激安店などと呼ばれることもある。商習慣に複雑なリベート制が関係した業界に多くみられ、家電、カメラ、雑貨、食品などはその典型である。業界の特殊事情や複雑な経路がある限り、裏の流通ルートとして不可欠の存在である。

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株上げ屋

1989年本誌掲載。以下、

「地上げ屋」のもじり造語。地権者が分かれている土地を強引な手口でまとめて買収するのが地上げ屋なら、「株上げ屋」は業績や成長性を無視して株を買い占めて株価高騰をはかるグループ。資金力にものを言わせる不動産会社などが主流。1987(昭和62)年10月19日、ニューヨークの株価が暴落した「暗黒の月曜日」などどこ吹く風の、いまや平均株価3万円台に乗せる加熱株価時代。

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昼寝屋

1996年本誌掲載。以下、

昼間仕事に疲れたサラリーマンが手軽にごろ寝できる場所を提供する商売。大阪・東京のオフィス街に出現。

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捨て本屋

2004年本誌掲載。以下、

駅のゴミ箱へ分別して捨てられた雑誌を拾って駅周辺で売る露天商。ホームレスが生活を支える手段だが、年々成長し、雑誌を拾い集めてくる「回収屋」のあいだで縄張り争いが発生。JR品川駅ではゴミ箱をめぐって殺人事件が起きた。相場は発売当日の雑誌が50円、古くなると40円と、数年前に比べるとここでもデフレ傾向。出版社は頭が痛い。

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