月刊基礎知識
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戦後60年に去来したブームたち

食と健康のブーム

アロエ・ブーム

1976年版本誌掲載。以下、

昔から使用されていた薬草アロエが、便秘、胃痛、高血圧、水虫に効くというので、栽培法、料理、飲みものの作り方が、昭和50年のはじめごろ話題になった。健康への関心が高まっている時代では手軽に入手できる健康薬はブームを呼びやすい。このアロエ・ブームは間もなく、爆発的な紅茶キノコにとってかわられる。

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走るブーム

1977年版本誌掲載。以下、

東京の青梅マラソンに8000人、ボストンマラソンに2000人が参加したり、日本ばかりでなく世界的に“走る”ことのブームがつづいている。自家用車の普及など便利になりすぎて人間が足を使わず、運動不足になる傾向への反省として、費用もかからず手軽な“走る健康法”が盛んだ。体力維持、老化防止を心がける老人の多さも目につくが、中には行き過ぎで心不全を起す犠牲者も出ている。

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健康機器ブーム

1979年版本誌掲載。以下、

健康保持、体力づくりへの関心が強くなった時代を反映して健康機器が売れる。赤外線や紫外線を使った治療器、背骨を正しくする安眠夜具、美容のためのベルトマッサージ器、ペダルをふむ運動用固定自転車、室内ランニング台、室内懸垂器など狭い家の中でスペースをとらず、忙しいサラリーマンや主婦がごく簡単に体力づくりができる機器がうけている。栄養のとりすぎで腹の出っぱり気味の人が多く、運動不足という自覚があることが健康機器ブームの源らしい。

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ビタミン・ブーム

1984年版本誌掲載。以下、

本来、医薬品であるはずのビタミン剤を「健康食品」として考える動きが出てきた。ビタミンショップとかビタミンコーナーが昭和57年秋ごろからデパートにまで店開きする勢いで、今やビタミン剤はお中元やお歳暮のギフト商品になるほどの売れ行き。“飽食の時代”でありながら、何かが欠けていると不安を抱く人たちにとって、これはいわばお守り的存在なのかもしれない。過熱したブームは、30年代のクロレラ、40年代のコンフリーを思い出させる。終戦前後にもビタミンブームがあったが、このときはビタミンBが中心。今回はビタミンCとE。57年11月に日本版の出た、アメリカのベストセラー『ビタミン・バイブル』(アール・ミンデル著)が、さらにブームをあおった。業界は1000億円市場とはやしたて、婦人服メーカー、化粧品メーカー、はては不動産業者まで進出している。

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“おいしい水”ブーム

1985年版本誌掲載。以下、

日本ミネラルウォーター協会の規格によると、総硬度100ppm以上、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムのイオン総量が40ppm以上の鉱泉をミネラルウォーターという。いわば“おいしい水”である。わが国の水道の水は欧米に比べて、“おいしい”という点では定評があったが、それが最近、お茶やコーヒー用にはもちろん水割りにも使えないまずい水になってきた。多量に入れる塩素や、下水処理場などが排水しているアンモニアなどのため、カルキ臭やカビ臭さた目立つのである。そこで厚生省は、59年4月、「おいしい水の判定基準」をまとめ、「おいしい水研究会」をスタートさせた。こうした、“まずい水”の氾濫したわが国で、家庭用浄水器とともに、前記ミネラルウォーターを始めとする、おいしい水の水商売が58年ごろからブームになりはじめた。1年間になんと琵琶湖15杯分が飲み干されたとか。甘味料など後に残るジュース類が氾濫しすぎたことも、このさっぱりした水の商売に拍車をかけている。私的な業者ばかりでなく、各県の自治体が業者とタイアップして地元の水を商品化するケースが続出し、59年にはわが国最大の“水源保有者”である林野庁が、国有林に数多くあるうまい水の販売を検討し始めた。健康にいい、美容にきくということで、このおいしい水のブーム、まだまだ続きそうである。ちなみに水道の水は1リットル90銭程度(東京の場合)だが、ミネラルウォーターの平均価格は150〜200円である。

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ヒラメ・ブーム

1994年版本誌掲載。以下、

高級魚であるヒラメは、1992(平成4)年に約7000トンの養殖生産量があり、天然での漁獲を凌駕する勢いにある。これは、(1)海面での諸制約のない陸上養殖が可能となったこと、(2)投餌効率が良く比較的成長が早い、(3)人工種苗生産と仔魚の量産技術が確立したこと等が背景にあり、併せて末端市場でのグルメ・ブームに支えられたことによるものである。そのため、ヒラメはハイテクを利用した養殖、増殖技術開発の対象品目としても各方面で取り上げられるようになった。

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ココア・ブーム

1997年版本誌掲載。以下、

1995(平成7)年末、あるテレビのワイドショーが取り上げたことがきっかけになって、ココアが異常なブームになり、ある製菓会社は新聞に3分の2頁大の品薄を詫びる広告を出して、このブームを煽りたてた。「チョコレート・ココア国際栄養シンポジウム」とやらで、原料であるカカオ中の成分が健康によいという研究成果が発表されたということだが、研究に使われた純粋のココアと、ミルクや砂糖を加えた実際の食品では、その効果にかなり差がある。胃潰瘍や免疫調節にも効果があるということだが、メーカーの広報部によると、動物実験や試験管実験での可能性は大きいがまだはっきりとはいえないということ。

受験シーズンが終わると同時に、このバカ騒ぎも終わってしまった。

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赤ワイン・ブーム

1998年版本誌掲載。以下、

ステーキなどの肉料理に欠かせない赤ワインは、人によってはわずかグラス1杯飲んだけでも、激しい頭痛に悩まされるのが難点で、この事実は2000年も前から知られているが、何とこの赤ワインが、動脈硬化を防ぐ効果の大きいことが、わが国の国立健康・栄養研究所の実験で明らかになった(1995年)。これは赤ワインに豊富に含まれるポリフェノールという物質が、体内で酸化変成して動脈硬化を引き起こす悪玉コレステロール(LDL)の働きを抑える作用があるからで、他のアルコールに比べて赤ワインを飲むほうが、明らかにLDLが酸化されにくいことが判明した。こうしたことから赤ワインの需要が急増し、ウイスキーや清酒の低迷をよそに、97年上半期には輸入と国産を合わせた全体で前年比36%増に達した。なお、フランス南部のブドウでつくったワインがポリフェノールの含有量が高いといわれている。

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チリワイン・ブーム

1999年版本誌掲載。以下、

日本人で初めて世界のトップに立ったソムリエ田崎真也から、小説『失楽園』とそれに出演した川島なお美の「赤ワインが好き」という強引な台詞から1997(平成9)年は赤ワインが爆発的にヒットしたが、98年はかねて事情通のあいだで品質の割に安価なチリワインが流行。ブームの一方でリサイクルできないボトルが山をなしているのが心配。

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おにぎりブーム

2002年版本誌掲載。以下、

カフェや専門店などおにぎりが女性に人気。例えば1999(平成11)年オープンの「Ken's Deli&cafe」は、ズッキーニの天ぷらと紫蘇ひじき、といった個性的なメニューでおしゃれ感覚を出す。海外で回転寿司が見直されたように、ヒットの秘密は外国人感覚。

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イオンブーム

2004年版本誌掲載。以下、

近年はイオンブームです。とりわけ目につくのが「マイナスイオン」という言葉です。電器店に行くと、「マイナスイオンを発生するエアコン」、「マイナスイオンを発生する空気清浄機」、さらには「マイナスイオン放出機能付きパソコン」など、マイナスイオンの言葉が百花繚乱です。また、ホームセンターなどに行くと、「マイナスイオンを発生する備長炭」などという炭まで売られています。

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