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戦後60年に去来したブームたち

趣味のブーム

レジャー・ブーム  leisure boom

1962年版本誌掲載。以下、

この2、3年アメリカ国民の間に浸透している新ムード。マス・レジャーが輸入されると、日本でもさっそく商業資本がこれを拝借、売り込みのキャッチ・フレーズに使い、あおり立てた。たとえばゆったりしたセーターを売り出すにレジャー・ウエアという具合。元来、マス・レジャーの気風は積極的に暇をつくりこれを大いに利用するというのだが、「貧乏レジャーなし」という方が日本人の本音らしい。

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ガン・ブーム

1962年版本誌掲載。以下、

ゴルフ、囲碁、小唄の3ゴはもう古く、1961年の紳士娯楽はもっぱら鉄砲打ち。チャーチル2連銃を肩に皮の猟衣を着て、猟犬を走らせる様子は当たっても当たらなくても“伊達姿”現代版。昭和36年1月封切の映画“猟銃”がこのブームに一段と拍車をかけた。

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ワッペン・ブーム

1965年増補版掲載。以下、

子どもたちがワッペン(き章)を集め、身体につけたり物に貼ったりする遊びが、昭和38、9年にかけて流行。こども相手の商品の販売政策から始まったが、商品よりおまけのワッペンの製造が間に合わなかったり、4月には大人の生存者叙勲があって、大人も子どもも胸のきんきら飾りで、太平ムードはまっさかりであった。

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釣り堀ブーム

1966年特別号掲載。以下、

世が不景気になると、なんでもいいから釣りあげたいと思うのが人間の心理なのか、東京の釣り堀は大変な繁昌ぶり。とうとう、ビルの室内にイケスをおいて、1時間何百円と料金をいただく、インドア釣り堀まで登場、東京では銀座をはじめ繁華街にぞくぞくと店開きした。もっとも、この商売、イケスを取りのければ、すぐに転業できるし、日銭を集めるのに格好の商売とか。

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SLブーム  Steam Locomotive

1972年版本誌掲載。以下、

つまり蒸気機関車ブームのこと。国鉄の計画では昭和49年度に、日本の全区間から蒸気機関車は姿を消すことになる。このSLに対して、特に若い人びとの間で異常なブームが巻き起こり、残り少なくなったSL使用区間にアマチュアカメラマンのレンズ放列が続いている。ブームの原因は、失われていくものへの郷愁というよりも、SLの姿そのものへの愛着、ダイナミックなメカニックへのフィーリング、新しいものへの反逆などといわれている。通称デゴイチとわD51というSLの1タイプ。

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中国語ブーム

1973年版本誌掲載。以下、

国連参加ニクソン訪中などで、世界の耳目は中国に集まっている。ニクソンの頭ごし外交で足もとをすくわれた日本でも、ドロナワ式の中国研究熱がさかんになって、雨後のたけのこのごとくペキノロジストなるものが発生。それに応じて、あちこちの外国語塾、外国語講座で中国語がとりあげられ、ちょっとした中国語ブームだ。もっとも、受講者の大半は中国相手の貿易をもくろむ商社マンで、こんなのは表面だけの「エセ親中国的ブーム」にすぎないときめつける人もいる。

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競馬ブーム

1973年版本誌掲載。以下、

ひところ論議を呼んだギャンブル廃止論を尻目に、相変わらず衰えないのが競馬の人気。昭和46年度の中央競馬の売上げは、ほぼ4700億円、地方競馬と合わせると総額8000億円に達する見込みで、5年間におよそ3倍という成長ぶりだ。総売上げ額ではアメリカに及ばないが、2位のイギリスとほぼならび、競走馬の賞金額では圧倒的に1位を占めている。こんなブームのさなか、46年暮れの有馬記念の直前から始まった、競走馬の集団カゼによる相つぐ出走中止は、年明けにもちこして、多くの競馬ファンをガックリさせた。

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ゴルフ・ブーム

1974年版本誌掲載。以下、

プレーヤー、パーマーあたりから始まって、ニクラウス、トレビノまで、外国のプロ・ゴルファーの名前は日本でもよく知られている。しかし、ゴルフが一種の大衆スポーツ的な人気を博するようになったのは、“ジャンボ尾崎”(尾崎将司)の登場がきっかけだろう。

ひと昔前までは課長以上の楽しむスポーツだったゴルフだが、いまはけっこう新入社員でもクラブを振り回す時世になった。こうしたブームにのって、ゴルフ場の造成が急ピッチに進んでいるが、ボーリングのようにすぐあきられて、自然破壊だけ残るのではないかと心配する向きが多い。

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アンティックブーム  antique boom

1975年版本誌掲載。以下、

原語の意味は古物ブームいわば骨董流行であるが、この言葉は主として日本の近ごろの若者たちが古時計・古ラジオ・古蓄音器・古椅子・古勲章など、明治大正の古物に興味を持ち出した風潮をさして使われている。単に、古いからよいと言うのではなく、その底にはいまの時代、いまの新しいものにあきたらず、原点にもどって古いものに、良さと新しさを見つけようという欲求がひそんでいる。いわば原点回帰の思潮のひとつである。

もっとも大人の世界にも、古事記や古代史が異常に読まれているのもそのひとつの現れであろう。これらの現象を見て、あるフランスの記者は「どうやらわれわれはバックミラーを見ながら車を運転しているようだ」と批評した。

そういうフランスもレトロ(復古)ばやりで、今年のパリモードは、独軍占領下のうす汚い衣類と復古調が幅をきかせた。

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スロットマシン・ブーム

1976年版本誌掲載。以下、

子供相手のスロットマシンが昭和49年末ごろから下町を中心に東京都内で出回りはじめた。パチンコ台ほどの大きさの機械に窓が3つあり、10円入れると窓の中の数字盤が回り出す。ボタンを押すと回転が止まり、3つの数字が合うとメダルがジャラジャラと出てくる仕組み。メダルを現金や品物と引き換えるのは禁じられているが実際には店で交換している。街頭ギャンブルの内、パチンコ、射的、スマートボールの3種類は風俗営業等取締法で取締られ18歳未満は入場できないが、スロットマシンは対象外でコリントゲームと同じおもちゃ扱いとなっている。野放しのスロットマシンが子供をむしばみ、大人のギャンブル熱を反映する始末になっているのでPTAなどでスロットマシン反対運動も起こりはじめた。

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焼酎ブーム

1986年版本誌掲載。以下、

焼酎が安く、また他の種類、果汁、清涼飲料などとなじみやすい特性を生かして、若い人々を中心に年々売上げを伸ばしている。その中でとくに人気があるのが、炭酸水で割った酎ハイ。手軽で口あたりがよいとあって、ファッショナブルな容器やラベルをつけた、小型瓶詰め、罐詰めタイプも続々と売出されている。また、この人気に引きずられて、ウォッカやジンに炭酸をまぜたスピリッツ類も売上げを伸ばしており、それに比べて、清酒、ウイスキーなどの人気が相対的に下降していると言われている。

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温泉ブーム

1987年版本誌掲載。以下、

若い女性たちの間に温泉ブームが起こっている。それも熱海、別府、指宿などの有名温泉ではなく、群馬県の法師、宝川あるいは長野県の野沢など、へんぴな温泉が好まれている。いわゆる“秘湯ブーム”である。原因はレジャーに対する価値観の変化である。これまでは団体の慰安旅行が人気があったが、最近は気の合った小グループや家族の旅行に切りかえられつつある。求められているのは交通の便は悪いが、それだけで自然環境が静かで、露天ブロもあり、土地の名物料理があじわえるところ等で、あまり客が来ないだけサービスも行き届いているという。

温泉観光地は、いま全国に400余。それらは療養型、保養型、歓楽型と3つに分けられるが、有名温泉地では客離れを防ぐため改修や増築を盛んに行っている。その結果はサービスの低下となる。その辺のところにも問題がありそうだ。

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中国の囲碁ブーム

1989年版本誌掲載。以下、

現在、中国の囲碁人口はすでに1000万人といわれているが、その多くは青少年であることに注目したい。中国では碁を心と体の健康に役立つ頭のスポーツと位置づけ、碁に興味をもっている有望な子供を選抜し、英才教育を行っている。日本の院生と変わらない勉強ぶりだから強くなるのは当然で、アマ世界選手権戦では中国の強さがきわだっている。囲碁ブームの一端は棋書の入手がむずかしいという面にも現れている。3年前に「日中スーパー囲碁」が始まったとき、ショウ衛兵(ショウは耳を3つの字)九段の活躍で中国が勝った。日本を代表する小林光一、加藤正夫、藤沢秀行を連破したことで囲碁フィーバーが頂点に達したからである。

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カヌー・ブーム

1989年版本誌掲載。以下、

世紀末だとか、オカルトの時代だとか言われ、それを明るく楽しむことが今風の生き方と見られる世の中で、意外やアウトドアのブームが再燃。ここ数年、スケートボード、自転車に人気が集まっていたが、ついにカヌーという、今までほとんど無視されていたジャンルのスポーツが急浮上した。

カヌーといえば競技用のスラロームカヌーを連想させたが、ここにきてツーリング志向のカヤックが定着したのも理由らしい。中でも、小さく折りたためばザックに収納できるファルトボートが人気。日本の住宅事情を考える場合、収納に困らないのは大きな利点だ。さらにカヌーイストの野田知佑が、エッセイなどでツーリングカヌーの楽しみを広めたことも忘れてはならないだろう。カヌー以外ではエクササイズ・ウォーキング(exercise walking)も注目を集めた。日常でのスポーツとして「歩く」ことが見直されたのだ。この提唱者ギャリー・ヤンカーは歩くことで走る以上にエアロビック効果があげられ、無理なくシェイプアップできると説いている。

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熱帯魚、爬虫類ブーム

1991年版本誌掲載。以下、

熱帯魚や爬虫類がペットとして静かなブームになっている。犬や猫よりダンゼン新鮮、色彩も派手で美しく、インテリアとしても楽しめるとあって人気を呼んだらしい。岡崎京子の漫画『pink』の主人公はワニをペットに飼っているし、同じく漫画家の内田春菊は本人が熱帯魚マニアとして有名。ほかにも所ジョージやアルフィーの坂崎幸之助など爬虫類を飼育している芸能人も多い。爬虫類専門のペット・ショップではグリーン・イグアナ、レインボー・アガマといったカラフルな爬虫類やワニガメ、マタマタといった形の変わった亀がよく売れているらしい。いずれにせよ、水槽のような小スペースで飼え、しかも吠えない、散歩の必要が無いという爬虫類や熱帯魚は、マンション住まいの若者には好都合なペットなのである。

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ペットブーム

1995年版本誌掲載。以下、

ペットを飼うことで不登校児が学校に行くようになった、拒食症が治った、対人恐怖症を克服した等々、ペットの効用が見直されている。欧米では20年以上の歴史を持つペットセラピー(動物療法)で、人間に心を開かない子がペットとは仲良しになり、ペットを仲立ちにして社会生活に戻るという例が、日本でも多く報告されるようになった。またお年寄りや一人暮らしのOLに、「人工ペット」が売れている。触ったり声をかけると、犬や猫の人工ペットが鳴いて応えたり、尻尾を振ったりする。センサー付き縫いぐるみで、これが本物の犬や猫の友だちになったりもするという。

長い旅行などの時、ペットの世話をどうするかは大問題。ペットホテルは高いし、かといって餌と共に家の中に閉じ込めておくのもかわいそう。そんな時に留守宅を訪問してペットの餌や糞の世話、散歩までさせる職業が生まれた。“ペットシッター”がそれで、新しい職業として注目されている。

相変わらずのペットブームだが、愛犬家の連続殺人事件が新聞の社会面を賑わせもした。くれぐれも甘い話には注意が必要である。

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フレグランスブーム

1997年版本誌掲載。以下、

皇太子妃雅子さまがランコムのトレゾアを愛用、という噂からここ数年にわかに盛り上がってきたフレグランスブーム。人気のブランド、カルバンクラインのエタニティが新宿伊勢丹で限定発売されたりで、“香り下手”だった日本人もようやく本当に自分の香りを求め、楽しめるようになってきたかも? 春夏頃は軽いユニセックス系の香りが流行。秋冬は女性らしいフローラル系の甘い香りが戻ってきた。

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卓球ブーム

2001年版本誌掲載。以下、

毎年のように「くる、くる」と囁かれながらくすぶってきた卓球ブームが2000(平成12)年本物に。「渋谷卓球倶楽部」や神宮バッティングドーム内の「オートピンポン」などができ、若者がつめかける。ラケットやボールがカラフルになったという卓球界の努力もあるが、大きかったのは山崎努と豊川悦司が競演した缶ビールサッポロ黒ラベルの高速度撮影CM。

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