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流行語大賞からキーワード
 

セカチュー

萩原朔太郎

『世界の中心で、愛をさけぶ』の主人公、サクこと松本朔太郎の名前は、大正・昭和期の著名詩人の名にあやかって付けられた。萩原朔太郎は1886年11月1日 生まれ、1942年5月11日鬼籍に入った。北原白秋に師事し、1917年2月刊行の処女詩集『月に吠える』で全国に名を知られる詩人になった。ほかの代表作に『青猫』があり、文学史上では高村光太郎と共に「口語自由詩の確立者」とされている。

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柴咲コウ

「泣きながら一気に読みました――柴咲コウ」。このオビ宣伝がなければ『世界の中心で、愛をさけぶ』はベストセラーにはならなかったと言われる、セカチューブームの重要参考人。女優・柴咲コウ、本名山村幸恵、1981年8月5日生まれ。「ポンズ・ダブルホワイト」のCMで注目され、映画『バトル・ロワイアル』『GO』でブレイク。彼女が雑誌「ダ・ヴィンチ」に寄稿した読後感想のコメントが02年4月、オビに採用されてからこの本は走り始めた。03年11月に発行部数が100万部に到達、04年5月に251万部となり『ノルウェイの森』のもつ小説の最大発行部数記録を超える。柴咲コウは女優として映画版セカチューに出演、“その後の”朔太郎の恋人「律子」を演じる。またテレビ版セカチューでは、歌手として主題歌を歌い、50万枚以上を売り上げ、その「かたちあるもの」は年間チャート5位という大ヒットとなった。

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庵治町

映画版『世界の中心で、愛をさけぶ』のメインロケ地は香川県庵治町。香川県最北部・瀬戸内海に面した半島にある町である。ロケハンの結果、80年代の町並みを残す懐かし気な雰囲気が行定勲監督の眼鏡にかなったらしい。人口約6600人。 原作の舞台は、作者・片山恭一の故郷、愛媛県宇和島市なので、そう離れた地ではない。テレビ版での舞台は伊豆半島の松崎だが、共通点はやはり15、6年前の面影を残しているところか。

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『北の零年』

人跡未踏の原野が広がる明治初期の北海道。そこに自分たちの国を作るという希望に燃え、厳しい自然と戦いながら生きていく人々の壮大な愛とロマン。それが製作費15億円、近年の日本映画の常識を打ち破る大作と予告され、2005年1月全国東映系でロードショーされる『北の零年』 。映画出演111本目となる吉永小百合が主演し、渡辺謙、豊川悦司、石原さとみ、石田ゆり子らが共演。ここで東映が監督に起用したのが、『世界の中心で、愛をさけぶ』の興行実績を買われた行定勲である。行定は2001年の『GO』を監督し、日本映画界の若手ホープと認知されていたが、大作『北の零年』 を手掛けることで一気に今日の映画界を代表する監督の座についた。

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長澤和明

元ジュビロ磐田監督。映画『世界の中心で、愛をさけぶ』でヒロインのアキ役を演じた長澤まさみの実父。1958年生まれ。静岡県出身。清水東高、東京農大を経て、80年代、ヤマハの心臓として活躍した名選手だったらしい。日本代表も務めたが、ケガが原因で88年引退。91年にはヤマハ監督に就任し、JSL時代最後の監督から、ヤマハ(ジュビロ)のJリーグ昇格、そしてオフト監督就任をきっかけに退社。その後、ホンダ、ソニー仙台の監督を歴任。

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ウォークマン

『世界の中心で、愛をさけぶ』における恋人たちにとって極めて重要なアイテムとして登場するSONYのウォークマン、WM−2型。これはウォークマンの二代目モデルで、1981年発売のもの。このモデルが爆発的な人気を呼び、本格的なヘッドフォンステレオの普及を促した。79年に出た初代ウォークマンとの決定的な差はそのデザイン。カセットテレコを極限まで小さくした初代マシンとちがって、操作ボタンが大胆にも前面に出ている独創ぶりで、そのボタンレイアウトによってウォークマンの未来感覚を決定的に印象づけた。重さ280g。標準価格32,000円であった。ちなみに映画版の挿入歌としてサクとアキたちのBGMとなったのは佐野元春「SOMEDAY」や渡辺美里「きみに会えて」など80年代のヒット曲。

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純愛ブーム

2004年は『世界の中心で、愛をさけぶ』『冬のソナタ』のメガヒットに象徴されるように「純愛ブーム」だといわれた。宮崎駿の『ハウルの動く城』もそのブームの一部分だと言う識者もいる。ある調査によると、「純愛ブーム」が定期的な周期で訪れるものだという。小説やドラマのヒット作を見れば、1952年にラジオドラマ『君の名は』、64年に『愛と死をみつめて』、71年に映画『ある愛の詩』、88年、小説『ノルウェイの森』、93年、小説『マディソン郡の橋』・・・と並ぶ。だから10年周期だ、8年周期だと分析する人もいるが、まず何をもって「純」なのか、それは明確ではなく、どうやらなんとなく「純愛」作品だということらしい。

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山口百恵

白血病は血液のガンで、いつの間にか体のあちこちに内出血が起こったり、出血しやすく、なかなか血が止まらないという症状で、いわゆる不治の病として、過去幾多のドラマ、小説の題材となった。『世界の中心で、愛をさけぶ』の主人公も白血病に恋人を奪われるが、70年代、白血病に冒されたヒロインといえば、ドラマ『赤い疑惑』の山口百恵だった。山口百恵と『セカチュー』の作者片山恭一は、奇しくも同じ1959年の1月生まれ(同じやぎ座)。『赤い疑惑』は1975年から76年までTBS系列で放映され、高視聴率を獲得した山口百恵・三浦友和主演のドラマ。当時高校2年生だった片山恭一がこのドラマの視聴者だったことは想像に難くない。

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『愛と死をみつめて』

『世界の中心で、愛をさけぶ』の原点といわれている本で1963年に大和書房から出版された往復書簡集で、著者は大学3年の河野實さん。高校時代に発症した軟骨肉腫という不治の病と闘いながら21歳で逝った大島みち子さんと、恋人の大学生、河野実(まこと)さんがやりとりした手紙で構成され、150万部のベストセラーとなった。『セカチュー』同様に、映画化され、ドラマ化され、主題歌は大ヒットを記録している。河野實さんはその後、カメラマン、経済専門誌の記者を経て、国際ビジネスコンサルタント業務に携わる。大和書房は2004年12月、この本を復刊した。

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橋田寿賀子

脚本家。テレビ『となりの芝生』『おしん』『おんな太閤記』『いのち』『渡る世間は鬼ばかり』を初め、幾多のヒット作を手がける。役者に長いセリフを言わせることでも有名。1925年5月10日、京城生まれ。日本女子大学卒業。松竹脚本部を経て1959からフリーの脚本家となる。64年脚本を手がけたTBSドラマ『愛と死をみつめて』(原作・河野實)は大変な評判となり、1年間に4回アンコール放映された。また83年放映された連続テレビ小説『おしん』は大反響を呼び、国内だけでなくその後アジア・中東の各国でも放映され、ブームを巻き起こしている。NHK放送文化賞、菊池寛賞、紫綬褒章、東京都文化章、勲三等瑞宝章ほか数々を受勲、受賞、現在、橋田文化財団の理事長を務める。

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青山和子

1964年、第6回日本レコード大賞を受賞した歌手。映画『愛と死をみつめて』の主題歌「愛と死をみつめて」を歌い、これがレコード大賞を受賞となった。京都市出身。 1960年、コロムビアレコードの専属で本名の榊原貴代子としてデビュー。63年日活映画『青い山脈』の主題歌を神戸一郎とデュエットした際に、タイトルから2文字を受けて青山和子の芸名となる。名付け親は『青い山脈』の原作者・石坂洋次郎。

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イラクの中心で、バカとさけぶ

2004年、イラクの日本人襲撃事件で亡くなった橋田信介 (戦場カメラマン) の著書のタイトル。橋田さんの死の半年前に出版されているが、すでにミリオンセラーになっていた小説題名のパロディーとして他の追随を許していない。世界の戦場を肌で知る男が空爆下のイラクに非合法潜入。テレビ・新聞が報道しないイラク戦争の裏側を描いた傑作取材記。夫の死から半年、橋田幸子さんがまとめた続編『世界の戦場で、バカとさけぶ』も刊行された。

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