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トラブルや法律紛争から1年を振り返る用語集
執筆者 山口アイ子

名簿流出の2004年

個人情報保護法の施行

近年、インターネットプロバイダーや通販会社などから個人情報が大量に流出する事件が続発。入手した情報を悪用して詐欺などを行う犯罪も増加したため、2003(平成15)年5月に制定された法律。国や地方自治体についてはすでに施行されており、05年4月にはそれ以外の民間の個人情報取り扱い事業者についても全面施行される。これにより、個人情報を扱う者には使用目的を具体的に示す義務や適正に維持管理する義務が生じ、違反者には罰則が科せられることになる。

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個人情報取り扱い事業者

個人情報保護法の規制対象となる者。民間事業者だけでなく、国や地方自治体も個人情報取り扱い事業者となる。法律上は「個人情報データベース等を事業の用に供している者」(2条)となっているが、カーナビに登録されている店舗情報などが個人情報にあたるのか、など「具体的には誰が個人情報取り扱い業者になるのか」ということが国会でも問題になった。最終的には営利・非営利を問わず5000件以上の個人情報を持ち、事業のために使用している個人、団体、企業などが対象とされることになった。

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プライバシー

個人の情報が漏えいされたり、有名人がマスコミで書かれたくないことを記事にされたとき、「プライバシーの侵害」ということが問題になるが、プライバシーという言葉の使われ方は状況に応じてさまざまで、一義的ではない。「私生活をみだりに公開されない権利」あるいは「個人的な情報をコントロールする権利」などとされているが、法律上に明確な規定がされているわけではない。憲法13条の幸福追求権の一つとして扱われている。1964(昭和39)年、「宴のあと」事件(三島由紀夫が書いた小説のモデルとなった人物が、私生活を公開されたことについて著者と出版社を訴えた事件)で東京地裁が初めて「プライバシー権」を認める判決を下した。

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プライバシーマーク

コンピュータの普及に伴う個人情報漏えいの危険性を考慮して、財団法人日本情報処理開発協会が1998(平成10)年に創設した制度。通商産業省の個人情報保護ガイドラインに沿って適切に個人情報を管理していると認定した民間企業に対し、「プライバシーマーク」の使用を許可している。有効期間は2年で、以降2年ごとに更新。04年11月時点で新規認定事業者が1000件を超えた。

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個人情報のガイドライン

個人情報保護法施行に伴い、各省庁は運用指針を発表した。医療分野では「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」(厚労省)、教育分野では「学校における生徒等に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」(文科省)、情報通信分野では「放送受信者等の個人情報の保護に関する指針」(総務省)などがある。

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