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トラブルや法律紛争から1年を振り返る用語集
執筆者 山口アイ子

企業再生の2004年

中小企業再生支援協議会

経営上、問題が生じている中小企業の活性化を支援するために設置された公的機関。2003(平成15)年に改正・施行された「産業活力再生特別支援法」に基づいて認定された支援機関(商工会議所など)に各都道府県ごとに設置されており、再生を目指す中小企業であれば無料で常駐の専門家(税理士や公認会計士など)に相談をすることができる。政府関係の金融機関など関連機関への紹介を受けられるほか、必要に応じて個別にプロジェクトチームが結成され、再生計画の作成支援を受けることもできる。中小企業庁の発表によると、04年3月時点の相談件数は3094件、再生計画の策定対象となったのは263企業、うち68企業が再生を完了している。

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産業再生機構

不良債権を抱えた銀行と経営不振に陥った企業双方の再生を支援するべく2003(平成15)年4月に官と民が共同で設立した株式会社。企業からの支援申込を受けると、機構内に設置された産業再生委員会がその企業の事業内容を査定し、再生可能と判断した企業について再建に乗り出す。方法は複数の融資銀行のうち、主力を除いた銀行から機構が債権を買い取り、主力銀行と協力して策定した再建計画を遂行するというもの。債権買取は05年3月までをめどとし(41件で事実上終了の予定)、買い取った債権は別のスポンサー企業を募集するなどして3年以内に処分することが目標。産業再生機構自体は設立から5年程度で解散の予定。04年12月にはスーパーのダイエー、住宅販売のミサワホームなど大手企業の支援を決定。ダイエーはイオンや丸紅、ミサワはトヨタやメリルリンチ(アメリカの銀行)などがスポンサー候補になっており、いずれも05年3月末ごろには決定する予定になっている。

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民事再生法

2000(平成12)年4月から施行された法律。経済的に困窮している企業が裁判所に申立てをすることによって手続きが開始され、開始決定を受けて再生計画を作成。債権者の多数決の承認と裁判所の認可を得て計画が遂行される。計画の策定等に裁判所が介入する点や、債権の回収が長期に渡ったり、一部放棄とされる可能性が高いという点で、産業再生機構による再建と異なる。申立時点の経営陣が経営権を維持できるほか、破産前に手続きを始めることができるので、債権者の被害や解雇者の増大を抑え、企業再生に向けた行動が迅速に進められるといった効果が期待できる。大手では百貨店のそごう(00年申請、03年に再生手続き終了)、スーパーのマイカル(01年申請、その後会社更生法を申請)などが民事再生法による申立てを行った。

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会社更生法

1952(昭和27)年制定の会社更生法が2002(平成14)年に全面改正され、新法が制定された(旧法は廃止)。民事再生法はすべての法人・個人が利用可能だが、会社更生法は破産の可能性がある株式会社だけが対象で、裁判所に選任された更生管財人が会社全体の再建に向けて更生計画を遂行する。一般的には企業自ら申立てをすることが多い。

編集部注:05年1月、家電量販店のニノミヤは大口債権者のモルガン信託銀行から申立てをされた。

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倒産(清算/再建)

一般には会社が資産以上の借入れをして返済が困難になるなど、事業が立ち行かなくなったときに使用される。法律などで明確に規定された言葉ではない。会社の経営が困窮したときにとる方法としては、任意あるいは裁判所に破産法に基づく申立てをして会社の資産を債権者に分割し、会社そのものをなくしてしまう「清算」という方法と、営業自体は継続しながら会社更生法や民事再生法などに基づいて裁判所に申立て経営の建て直しをはかる「再建」という方法がある。2003(平成15)年に設置された中小企業再生支援協議会や産業再生機構を活用するケースについても新聞紙上などでは「倒産」と表現されることがあるが、中小企業再生支援協議会や産業再生機構を活用している企業は破産や民事再生、会社更生などの手続きを申請したわけではなく、法的には倒産したわけではない。

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