月刊基礎知識
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トラブルや法律紛争から1年を振り返る用語集
執筆者 山口アイ子

虐待の2004年

配偶者暴力防止法

配偶者や恋人などに対する身体的・精神的暴力(ドメスティック・バイオレンス=DV)による被害の拡大が問題視されるようになったのを受け、2001(平成13)年に制定された法律。DV法ともいう。DVは当初は保護の対象となるのが配偶者だけとされていたが、加害者が子どもを通じて配偶者の所在をつきとめようとするなど問題があったため、04年に保護の対象を元配偶者や子どもにまで拡大するなどの変更を盛り込んだ改正DV法が施行された。これにより内閣府は加害者が子どもの転校先の情報などを学校や公的機関に求めてきても不用意に情報をもらさないよう情報管理すべきといったDV法運用の基本方針を発表している。

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児童相談所

児童福祉法に基づいて各都道府県・政令指定都市に1か所以上設置されている施設。児童福祉の中核を担う機関で、18歳未満の子どもに関するさまざまな相談(発達の遅れなどに関すること、養育環境に関すること、非行や不登校に関することなど)、カウンセリング、訪問指導などを行っている。児童虐待などが発見された場合、被害児童を一時保護する役割も担っているが、近年虐待によって死亡したり重篤な障害を負う児童が増加しているため、厚生労働省は2005(平成17)年度から全国60カ所(各自治体で最低1カ所)の児童相談所を24時間・無休で開所することを決めた。

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児童福祉法

急速な少子化、児童虐待など子どもを取り巻く環境の悪化に対応し、児童の養育を支援するための体制強化をはかるための法律。児童福祉法を踏まえて児童福祉法は、1997(平成9)年ごろから毎年改正を繰り返しており、最新の改正(2005年4月施行)では各市区町村に子育てに関する相談窓口を設置するなどして育児に悩む親の支援体制を強化。これまで相談が集中して人材不足が指摘されていた児童相談所の負担を軽減し、虐待など、より重大な相談への取り組みを強化できるように考慮された。

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児童虐待防止法の通告義務

児童虐待による事件が後をたたないことから2000(平成12)年に制定されたのが「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」。ただ、法律制定後も「家庭のプライバシー」に踏み込むことが困難でなかなか虐待に歯止めがかからなかった。そのため、数度の改正を重ね、04年の改正では、通告(児童相談所など関係機関に通報すること)の義務を「虐待を受けた児童を発見した者」から「虐待を受けたと思われる児童を発見した者」まで範囲を拡大。虐待の事実を証明しなくても推測で通告できるようにすることで、重大な事態に陥る前に虐待を発見し、迅速に対応することをめざしている。

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