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「働くのも楽じゃない」の用語集
 

「働く」にまつわることばいろいろ

ビジネスインターンシップ  Business internship

本誌2001年版収録。以下、

ビジネスインターンシップとは、学生などが、在学中に企業等で短期間の実習を行うことをいう。形態としては学生に純粋に職業経験を積ませるためのものと、働いてみて、働いてもらってみて、互いの相性を知るという就職・採用を意識したものの両方がある。特に外資系企業などでは就職・採用を意識したビジネスインターンシップも増えている。また厚生労働省(旧労働省)は1999(平成11)年春から、「職場体験講習」という、中高年失業者が職業安定所を通じて企業を紹介され、数週間程度インターンとして働いてみたうえで再就職をはかるという、中高年向けインターンシップ援助を開始している。

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エンプロイアビリティー  Employability

本誌2003年版収録。以下、

企業はモノやサービスを生産してもらうために人を雇うわけであるが、そこで雇われる人はそのための仕事能力を備えていなければならない。すなわち雇用の保障は無条件になされるわけではなく、企業に雇用されるに足る仕事能力をもっていることが条件となる。こうした仕事能力に基づいた雇用可能性をエンプロイアビリティーという。これから、企業をとりまく競争も厳しくなるなかで、好むと好まざるとにかかわらず企業とかかわらざるをえない状況も多くなる。個人は自らの雇用保障のために、このエンプロイアビリティーを常に高めておくことが重要であり、企業は労働者に対して、単に雇用を保障するのではなく、雇用されるに足る仕事能力を磨ける機会を保障すべきであるということになる。

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インターンシップ制度  internship system

本誌2004年版収録。以下、

就職にあたって、業務内容の把握と適性のみきわめのため、学生が“見習生”“研修生”として、一時的に体験入社すること。数年前から大企業から中小企業まで全産業にわたって広範囲に実施されている。就業観の形成とともに雇用のミスマッチによる早期離・転職防止の効果にも注目されている。そのため学生を送り出す側の大学でも、約34%の大学がカリキュラムの正規科目のひとつとして取り入れている。インターンシップ制度は、学生にとっては企業の現場を実体験し、地についた職業観を形成する貴重な機会となっている。日本経済新聞社の2003(平成15)年度新卒採用調査では25%の企業が実施している。松下電器では、A評価がそのまま内定につながる採用直結型のインターンシップを実施している。見習型から実践型になり、お客様から即戦力へというのが受け入れる企業側のひとつの方向である(「日経産業新聞」02.6.25)。実施学年は、大学の場合、第3学年が圧倒的に多く、実施期間は夏休みで1〜2週間が主流。

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ビジネス・キャリア制度

本誌1998年版収録。以下、

ホワイトカラーの熟練形成は、従来は仕事につきながらの訓練(OJT)や企業内異動により行われる傾向が強かったが、必要とされる専門知識の変化や高度化もあり、また企業内または社会的格付の必要もあって、教育機関による仕事を離れた訓練も重要性を加えてきた。かねて検討が行われてきたが、労働省は表題の制度を始めた。1994(平成6)年には「人事・労務・能力開発」「経理・財務」について実施段階に入った。

制度は、分野の専門知識を領域とレベルで標準化して(労働省による認定基準の公表)、それに合った教育訓練コースを認定し、受講者が中央職業能力開発協会からユニットごとに終了認定をうけるもの。その後毎年分野が拡大され98年度までに10分野となる予定。ホワイトカラーが世間で通用する専門知識をもつことが雇用不安のなかで特に重要と見なされ、この公的制度が注目されてきたが、公的資格として企業から広く受け入れられるにはなお一歩というところである。

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逆出稼ぎ

本誌2003年版収録。以下、

(1)転職先として、シンガポールなどアジアの英語圏を選ぶこと。これまで日本はアジア諸国からの出稼ぎ先だったが、英語を武器に、閉塞感の日本からアジアの英語圏への転職が生まれた。日系企業などが、現地へ派遣する駐在員を減らし、賃金の安い現地採用に切り替えるリストラを拡大しているのも追い風。(2)都会のサラリーマンが地方へ出稼ぎに行き、農漁業などの仕事に就くこと。定年帰農の通年版。

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新総合職  new woman generalist

本誌1996年版収録。以下、

準総合職。1985年に『男女雇用均等法』が制定されてからちょうど10年になるが、当初の「男性とまったく変わらぬキャリア組をめざす」という強い意思はかなり薄れ、「やはり転勤は困る」、「結婚もしたいし子供も産みたい」……といった甘えの構造が顕在化しつつある。依然として“第1期生”たちパイオニア組は頑張り続けているようだが、その後のバブル期に入社した“お嬢様就職”にその傾向が強い。「さっそうとしたキャリア・ウーマンがあっさり結婚退職してしまう」というパターンの“雅子さま現象”にも大きな影響を受けたようだが、かといってそのまま主婦として家庭に埋没してしまうにはまだまだアンビシャス(野心的)過ぎる……といった感じの新しい女性像が、転勤などをともなわない“妥協的総合職”を輩出しているのだろう。なかには、いったん会社を辞めて子育てに専念した後、あらためて再就職して仕事と家庭の両立をはかったり、同じような仲間を集めてベンチャー・ビジネスを起こす“トランタン(30歳代)起業家”をめざしたり……女性のライフ・スタイルも大きく様変わりしつつある。ちなみに、1985年には1548万人だった日本の“働く女性”の数が、93年には2009万人にまで増え、総雇用の40パーセントを占めるに至ったという。もはや女性パワーを計算に入れないで企業の将来をはかることはできないのだ。

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ヤン窓

本誌1997年版収録。以下、

ヤング窓際族の略。

1980年代後半の売り手市場の中で企業に採用された30代前後のサラリーマンが、会社組織の厳しさについていけず、オチこぼれるため別名「バブリー君」とも呼ばれる。

証券業界にあっては「新人類相場」を作りだし、怖いもの知らずと一時は恐れられたりしたが、景気が後退してみると、「ハングリー精神に欠ける」とか「甘い自己認識」などと攻められ、ヤンエグ(ヤングエグゼクティブ)時代の陰もない。若年層の就職難ともからんでリストラの対象にされているとか。

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雇用春闘

本誌2001年版収録。以下、

2000(平成12)年の春闘のテーマが「ひとつは基礎年金の支給開始年齢が2001年から段階的に引き上げられるのに対応して、65歳までの就業機会をいかに確保するか、もうひとつはワークシェアリングとよばれる雇用拡大・確保問題」と亀山直幸日本労働研究機構主幹(読売、4月7日「論点」)。

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日本的雇用制度  Japanese employment system

本誌2001年版収録。以下、

日本の雇用制度を象徴する、終身雇用、年功賃金、企業別労働組合を、日本的雇用制度の3種の神器という。ただし、これは本当の3種の神器のようにずっと昔から存在したわけではなく、また日本の文化に根ざした伝統といったものでもない。経済史研究者によれば、これらの制度がみられるようになったのは、第1次大戦後の1920年代ごろから、さらに普及したのは戦後高度成長期である。キャッチアップ型の経済のもとで、若年労働力を大量に採用しながら規模を拡大していった製造業などに最もうまくフィットした仕組みといえる。ただし、そうした3種の神器を備えている企業は、主として大企業であり、またその対象も男性の正社員に限られていた。労働者のなかでも中小企業に働く人たち、女性労働者やパートタイマーたちは、必ずしも終身雇用、年功賃金、企業別組合の傘の下にはいなかったのである。

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