月刊基礎知識
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予知と予測と予報に関する単位と数値
著者 白鳥 敬

予測・予言の実際

日本の安定度予測

本誌1984年版

未来研究誌「フューチャリスト」(1981年12月号)に、アメリカの未来予測機関フォーキャスティング・インターナショナル社(FI)のM.セトロン、O.クレイトン両氏が発表した主要26カ国(アメリカを除く)の今世紀までの安定度予測は、現在安定度で西ドイツ、オーストラリアに次いで第3位にある日本が、政治、経済、社会の諸要因から急速に安定度を低下させ、1985年には15位、90年には16位まで転落して、そのまま今世紀末まで不安定な状態が続くだろうと予測している。3位の日本が一挙に15、6位に転落する理由としてあげられているのは、<1>エネルギーの輸入依存が現在の90%から90年には98%に達する、<2>人口の高齢化が急速に進む、<3>GNPの伸びが90年には2%以下に低下する、<4>生産性向上のためますます産業ロボットに頼るため、失業率は現在の2.5%から90年代では12%に達する、<5>軍事政策が重要課題となり、国内の政治的緊張が高まる……などである。

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選挙予測報道

本誌1993年版

自民党は1992(平成4)年5月の与野党政治改革協議会の実務者会議で、新聞または雑誌(政党その他の政治団体が発行するものを除く)で、投票日の前の一定期間、選挙の予測報道を禁止する案を野党側に提示した。投票日間近の情勢報道・当落予測報道によって、「『圏内に入った』と書かれると票が減り、逆に『あと一歩』と書かれると票が増えるアナウンス効果がある」ことを理由としている。しかし新聞協会、民間放送連盟などが直ちに強い反対を表明し、野党の賛成も得られなかったことから、当面、国会への法案提出は見送られた。フランスでは77年に「選挙に関する世論調査の出版及び放送に関する法律」が成立し、投票日の前1週間の世論調査結果の報道を禁じている。しかし事前予測報道によるアナウンスメント効果については、さまざまな論があり、定説があるわけではない。

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倒産予測情報

本誌1999年版

企業の倒産予測に関する情報のこと。世界最大の信用調査機関、ダン・アンド・ブラッドストリート(D&B)と東京商工リサーチは、日本企業70万社の1年以内の倒産確率を予測する「クレジット・スコア」システムを共同開発し、企業リスク情報のサービスを1997(平成9)年8月から始めている。スコアは0から10のポイントで表示され、0に近いほど倒産の確率が高い。倒産予測に関する情報は、アメリカでは企業の格付けや監査報告に必ず盛り込まれているが、日本ではこのような情報が全く公表されていない。アメリカ系格付け会社の格付けは実質的な信用情報である。格付けの変更は、株価の動向や資金調達を左右する。山一証券などは、格付けの下げが引き金になって事実上倒産に追い込まれている。格付けは、マーケットの企業評価形成の最も重要な要因になっている。

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未来技術実現予測調査

本誌1999年版

科学技術の専門家を対象に、今後30年間にどのような新技術が実現するかを聞いた予測調査で、科学技術庁が5年おきに実施している。最新の調査は、1997(平成9)年8〜12月に実施されたもので通算6回目。研究者4864人を対象にアンケートを2度にわたって実施、回答率は73.7%だった。98年7月に公表された調査結果によると、エイズワクチンの実用化は2007年と予測されている。2010年にはメガネ不要の立体テレビ、2012年には1ワット当たりコストが100円以下の太陽電池と自動分別機能のついた家庭用ゴミ箱が登場すると推定されている。

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予言がはずれたとき

本誌1994年版

韓国で広まった1992年10月28日に世界の終末がくるという予言がはずれ、一部のキリスト教会で混乱が生じた。今回の世界の終末騒動の中心はタミ宣教会の李長林牧師。李牧師は、10月28日を「推挙(ヒョゴ)の日」と呼び、イエスが再臨して最後の審判を行い、真のキリスト信者だけを連れて天に昇ると説き、社会人はすべての財産を処分して教会に寄付し、学生は退学して祈り続けるよう指導していた。しかしながら28日深夜になっても何も起こらず、失望した信者4人が自殺し、財産の返却を求める信者の家族との間で混乱が生じた。李牧師は詐欺罪で起訴され懲役2年の実刑判決を受けた。韓国では経済の急成長にかげりが生じ、南北急接近で不安を感じる層があるなど、社会不安が背景になっているといわれる。

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予測小説

本誌1999年版

1998年7月まで朝日新聞に連載した堺屋太一の小説『平成三十年』。『油断!』や『団塊の世代』などで始めた小説の形式で著者の命名。

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