月刊基礎知識
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舵取りとマネジメントを考える現代用語集
 

さまざまな指導者タイプ

PM理論

本誌1984年版収録

リーダーシップにはいろいろなタイプがありあらゆる状況に有効な唯一最善のタイプは存在しない。状況に応じたリーダーシップのタイプを明らかにするとともに、リーダーの育成にも役立てるため、リーダーシップの類型化が試みられてきた。その一つがPM理論である。これは、大阪大学の三隅二不二教授が開発したもので、業績(performance, P)指向の大小と、集団維持(maintenance, M)指向の大小を二軸とする象限で4つのタイプをとらえる。すなわち、それぞれの指向の高いものを大文字で、逆のものを小文字で現し、PM型、P型(Pm型の略)、M型(pM型の略)、pm型とする。いずれにせよ、PとMは大でなければならないがP型は短期的に、M型は長期的に最も有効である。PM型は理想的である。この理論の特徴は、各指向度の大小を部下が評価するという点にある。この方法は、職場のみでなく、他の組織にも応用できる。現在の母親はP型が多く、父親はpm型が多いなどである。

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E型リーダー  "E" type leader

本誌1990年版

新しいリーダー像のパターンのひとつで、excitement(熱意)、entertainment(演出)、enjoyment(楽しさ)、energy(活力)の4つのEを新しい時代のリーダーシップに不可欠な要素とすることでこうよばれる。とくにentertainmentとenjoymentは、新人類のリードにはとくに重要とされていることから若い人を部下にもつ管理者にとっては傾聴に値する。管理者はプロデューサーという時代の風潮が投影されている。

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EQリーダーシップ  leadership of emotional intelligence

リーダーの仕事はその場の雰囲気を盛り上げ、集団の共鳴現象をつくり、気持ちよく働いてもらうことである。気持ちに訴える力は「EQ(感情の知性)」に源泉する。こうした観点から、優れたリーダーシップには、EQが重要との考え方に立つリーダーシップ論のひとつ。ダニエル・ゴールマン他著『EQリーダーシップ』(邦訳、日本経済新聞社刊、原著『Primal Leadership:Realizing the Power of Emotional Intelligence』)が出所。

EQリーダーシップ論から得られる知見の第1は、リーダーシップに不可欠なEQが発揮できるかどうかは、前頭葉前部と大脳辺縁系を結ぶ神経回路がスムーズに機能するかどうかにかかっている。

第2は、EQには4つの領域があり、それらが緊密に関連し、「自分の感情の認識」と「感情のコントロール」「他者の気持ちの認識」によって初めて「人間関係の適切な管理」が可能になって、初めて共鳴的リーダーシップが発揮できる。4つの領域にそれぞれコンピテンシーが抽出できる。「自己認識」から3つ、「自己管理」から6つの個人的コンピテンシー、「社会認識」から3つ、「人間関係管理」から6つの社会的コンピテンシーが抽出されている。リーダーは人間関係のスキルを使ってEQを発揮する。

また、第3は、管理職3871人のデータをもとにした分析結果によると、意識せずに6つの代表的リーダーシップスタイルから、状況によって使い分けていることがわかった。そのうちビジョン型、コーチ型、関係重視型、民主型は業績を向上させる共鳴を起こす。ペースセッター型と強制型は特殊な状況では有用だが、注意して使う必要があると指摘する。

第4は、最も大切なことであるが、EQは学習できること、よい職場環境の形成には「集団のEQ」のほうが重要であり「集団のIQ」は、「集団のEQ」しだいで発揮されること。

古今東西の優れたリーダーはいわばEQリーダーシップを発揮していたわけで、「目からうろこ」といったほどの新しい理論ではない。

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普通の人型リーダー

山川裕正著『普通の人(パートナーシップ)”型リーダーが最強の組織をつくる―カリスマ型は幻想だ! 管理型では部下は動かない!』(プレジデント社)で話題になったリーダーの一タイプ。優秀で経験豊富な上司が、経験浅く実力のついていない部下を指導する構図ばかりではない現代の状況にマッチしたリーダー像を提示する。

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米国型リーダーシップ

強い決断力と牽引力を特質とするリーダーシップ。19世紀末からは経営手法としても体系化され、幾度かの浮沈を経つつ世界的に人気のMBA的手法にも連なっている。

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ジャパニーズ・マネジメント  Japanese management

本誌1996年版

日本型経営のこと。一般に終身雇用制、年功序列、企業内組合(労使協調主義)を3種の神器とする経営をいうが、論者によって必ずしも一致しない。欧米などの企業経営と比較したとき、日本独自もしくは特徴的な傾向とされる官民一体の日本株式会社、法人資本主義と従業員出身経営者による経営、生活あるいは運命共同体の理念、根回しや会議などによるコンセンサスの形成や稟議制度などの意思決定方式、協業集団による分業・共同執務体制、集団主義やヒト、シェアや成長目標の重視、平等主義や現場主義、などを示す場合もある。

こうした日本型経営の原理、理念、制度や施策は、戦後の復興期にわが国で形成された独特のシステム(人本主義企業)とされ、高度成長期に経済発展の原動力となった。しかし、第一次オイルショック以降の減量経営、昭和50年代半ばからの円高、ソフト化・サービス化、技術革新などの経営環境の変化により大幅な軌道修正を求められている。とくにバブル経済下の日本の企業の行動に対する欧米諸国の批判が厳しかったうえに、バブル崩壊後に金融・証券不祥事、金融機関の相次ぐ経営破綻などによって、日本型経営のマイナス面を露呈し、日本型経営に対する評価が急速に低下した。

また、その後の不況や海外生産シフトで、余剰人員を抱え、雇用不安の深刻化を招き、国内でもその問題点が指摘されている。

米国企業ではニュージャパニーズ・マネジメントとして、ケイレツ(アライアンス、系列)、スキル・ノウレッジ・ペイ(職能給)、ターゲット・コスティング(コスト管理)、JIT(ジャスト・イン・タイム)、QCサークル、ホーシンカンリ(方針管理)、ドチャクカ(土着化)などの学習が盛んに行われ、その考え方、手法の定着、JIT 2など新しい手法の開発、日本源流の手法のシステム化、理念化(コンカレント・エンジニアリング、リーン企業体、コア・コンピタンス経営など)を進めている。

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トップ・リーダー

本誌1959年版

政治的支配のことをアメリカではリーダーシップ(指導)という言葉を使用しているが、その政治的支配者の中心人物をいう。これに次ぐ者をサブ・リーダーという。

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カリスマ型リーダー

日本でいえば、松下幸之助、本田宗一郎に代表される、個人の圧倒的なアイディアとバイタリティによって町工場を世界レベルの企業へと創り上げた経営者の一タイプ。立志伝としてよく取り上げられるが、万事に複雑化し肥大化した現代では、期待してもうべからざるリーダーといえる。

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カリスマ的支配

カリスマ(charisma)とは、もともとは奇跡を行う神事についていわれた聖書の言葉であるが、非合理的、神秘的、呪術的力により権力支配が神秘的に強化されること。天皇制支配から教祖的支配といわれるのがそれ。

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マニフェスト(政権公約)  manifesto

選挙の公約とは違い、選挙前に首相候補と党が合意。方法、期限などの各論を明記する。政権が発足すれば直ちに実行されるべきものとされる。民主党のマニフェストは、治安対策、教育、技術立国などの「強い日本」構想、公共事業などで無駄な税金が費やされるシステムの追及などを骨格に作成される。

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