月刊基礎知識
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中心と周縁、絶対と相対などなどについてあらためて考える用語集
 

集中の時代

集積と集中

本誌1949年版収録

集積とは資本の蓄積を通じて個々の資本家の支配する富(資本)が増大することをいい、集中とは多数の小資本が少数の大資本に併合されることをいう。資本の集積と集中は大企業の成長を意味し、資本主義経済の発展の結果である。集積および集中による利益はやがて株式会杜を発達させトラスト、カルテル、シンヂケート等の独占形態を生み、独占金融資本の時代を招来するようになった。

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集中生産

本誌1949年版収録

本年初頭以来9原則の線が漸次具体化するにつれて、生産が少数の大企業に集中する顕著な傾向が生じたが、これを集中生産と呼んでいる。資本主義社会においては、自由競争は必然的に大資本への生産の集中に導くが、現在注意すべきは、この傾向が単に企業間の自由競争の結果であるばかりでなく、それ以上に国家の行政的諸措置すなわち上からの企業整備の諸方式によってつくりだされ促進されている点である。集中生産をつくりだす方法は種々あるが、政府が直接特定企業へ生産の集中を命ずる方法(地下足袋、アンモニア法ソーダ等で構想されたが未だ成功していない)、資材割当の面において予約註文制、還流クーポン制をとって結局大企業にのみ資材を集中させる方法(油脂、電気機械)、補給金の削減乃至廃止、又はその他の価格制度の変更を通じて価格の面から特定大企業以外の企業を排除する方法(肥料)、政府が製品規格を必要以上に厳重にして独占企業以外の企業をふるい落す方法(電話)、および金融の面からする集中(これは全産業において最も露骨に行われている)等の諸方法が実行されている。いづれにしてもその結果は莫大な数の中小企業ばかりでなく、大企業の一部をも没落させ、一方で大量の失業者をうみだしており、最近ではこの傾向が全産業に波及し、又残りうる企業が益々少くなってくるので、再建される日本産業構造上の大問題となつている。

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民主集中制

本誌1987年版収録

民衆による民主主義を徹底し同時に党や国家の指導部に権力を集中するということ。現実には後者に傾く。一種の制限された民主主義。毛沢東が1945年の中国共産党第七回全国代表大会で、「連合政府について」と題する政治報告において定式化した。

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郵貯の満期集中

本誌2001年版収録

郵便貯金のうち10年前の高金利時代のものが、2000(平成12)年の4月から満期となり、その資金の動向が大きな関心事となった。1990年4月に定額貯金の金利が5.0%から5.88%に大幅に引き上げられたため、多くの資金が定額貯金に流入した。2000年と2001年の2年間に100兆円を超える貯金が満期を迎えることになる。郵便貯金は財政投融資の財源にもなっているため、満期となった資金が郵便貯金に再度預けられないで、民間に流出すれば、財投の資金繰りは窮屈になる。これは、2001年から資金運用部が廃止されるなどの財投改革の背景でもある。また、大量の満期貯金は利子が支払われる際の利子所得税収の増加ももたらす。

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DID(人口集中地区)  densely inhabited district

本誌1973年版収録

昭和35(1960)年国勢調査より採用された統計の単位。従来の市部、郡部の別が、真の都市を示すのに不適当となったために設けられた。都市公園、工場用地、水面等を除いて計算した人口密度が約4000人/平方キロ以上で、この高い密度が集団として合計5000人以上まとまっている範囲をDIDとして区別する。昭和41年にはDID人口合計5553万で、その他が4809万人てある。東京区部は面積の96%、人口の99%までがDIDに含まれるが、京都市は面積のわずか16.7%、人口の92%がDIDに属する。

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集中度係数

本誌1985年版収録

日本の人口分布を単位面積で区切った地区別にみると、明らかに特定地区への集中がみられる。このような集中の度合をあらわすのが集中度係数であり、ローレンツ曲線やエントロピーが多く用いられる。ローレンツ曲線は、低人口地区から順に、地区数、人口数各々について累積百分率を計算した後、前者を横軸、後者を縦軸にとって画かれる弓状の曲線をいう。すべての地区の人口が同一な時には、直線を描き、曲線と縦横軸に囲まれた面積が小であるほど集中度は小さくなる。このような分析手法は、所得分布の不平等度や、生産高の大企業集中度の分析にも利用される。

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ウイナーズ・テイク・オール  winners take all

本誌1998年版収録。以下、

有名スポーツ選手、大スターと普通の選手・スターの報酬はびっくりするほど大きな格差があり、一般の労働者の賃金とは異なる決まり方をしている。つまり他者よりどれだけ優れているかという相対的な格差、希少価値で決まり、客観的な基準で計った能力や人気度の差とは関係ない。コンピュータソフトの分野では「勝者が総取りをするのが常識」といわれている。このような現象を「ウイナーズ・テイク・オール」という。相対的格差で報酬が決る分野は、グローバル化が進み情報社会の進展に従って増える傾向があるといわれ、例えば、弁護士、医者、評論家、経営者等の報酬にもこの特徴が見られる。

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