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世界秩序のキーパーソンからキーワード
 

ブレア  Blair, Tony

英首相、労働党党首。1953年5月6日生まれ。エジンバラ出身。オックスフォード大卒。75年労働党入党。94年5月ジョン・スミス党首が急死したのを受けて党首に就任。「脱社会主義」を提唱し、硬直した労働党の建て直しを図る。97年5月英国史上最年少の43歳で首相に就任。保守党の緊縮財政政策を継続しつつ、社会的弱者の救済や産業政策に力を入れる政治中道路線。北アイルランド問題では、アイルランド自治政府の創設などの和平合意を獲得している。

第3の道  The third Way

ブレアが唱えている政策。「高福祉高負担」に陥りやすい社会民主主義、市場経済の動向に左右される資本主義それぞれの欠陥を補う第3の方策を追求しようとする。基本的な価値観として「機会の平等」「コミュニティ」「責任」「価値の平等」の四つをあげている。サッチャリズムの行き過ぎた個人主義を修正する狙いがあるとされる。社会民主主義政党から「第3の道」が提唱されるのは、およそ20年ぶりであるが、その立ち位置は時代の流れを反映して、かなり変わってきた。

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フォークランド(マルビナス)紛争

1982年、イギリス、アルゼンチン間に起こったフォークランド(マルビナス)島をめぐる領土紛争。アメリカ合衆国は、アルゼンチンに対してはアメリカ大陸の一員として、イギリスに対してはアングロサクソン国家の仲間としての関係から、両国を調停する立場にあったが、開戦後、イギリス側支援にまわる。そのためもありイギリスの圧倒的優勢で紛争は決着してゆくが、合衆国は「米州の一国に対する攻撃は米州全体に対する攻撃とみなされる」と規定された米州相互援助条約に反するとの強い非難を中南米諸国から受けることになった。

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パブリック・スクール

英国の名門私立学校の総称。起源は14世紀にさかのぼり、寄宿制中心、古典的な教養重視、スポーツを教育の大きな柱とし、実学より克己や自己犠牲といった指導者の徳目を身につけさせるのが、その特徴。そういうわけで英のエリートは多くがパブリックスクール出身だが、ブレアは34年ぶりにパブリック・スクール(エディンバラのフェティス・カレッジ)OBの首相。

1815年6月18日、ワーテルローの戦いの戦いを率いたウェリントン卿が、「ワーテルローの勝利はイートン校の運動場で得られたもの」と評したとされるそのイートンとは、名門パブリックスクール・イートン校のことである。

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レオ・ブレア

2000年5月20日生。ブレアの第4子。首相が在任中に赤ん坊が生まれたのは150年ぶりで2人目。シェリー夫人は現役の、しかもQC(女王の勅撰弁護士)という最高クラスの弁護士、加えて45歳という高齢出産。また、世論調査では60%を超す国民がブレアに出産休暇を取るべきという結果が出るなど、さまざまな話題を振りまいた誕生だった。

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NHS  National Health Service

イギリスの国営医療制度。1948年発足。すべての住民に原則無料で医療を提供し、費用には税金をあてる。発足当初から予想以上の需要が生じ、予算抑制による医療サービスの停止といった問題が生じている。ブレアは医療予算の増加、全国的に医療サービスの基準を明確にするなど、さまざまな改革に取り組んでいる。

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失業

解雇・退職などによって仕事を失うこと。イギリスでも失業者問題が深刻だったが、ブレア就任後の1998年4月以来、「ニューディール政策」と呼ばれる諸策によって失業率は大幅に減少。若年失業者向けの対策を優先、失業給付よりも職業訓練を重視、財源には民営化によって余剰利益を得た企業への時限課税金を当てるなどがその特色。

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EU(欧州連合)

1993年11月、マーストリヒト条約(欧州連合条約)の発効によってEC(欧州共同体)が改称。現在の加盟国は15カ国。ブレアは1998年、イギリスとEU諸国との関係をさらに強化すべく「ステップチェンジ」と呼ばれる方針を打ち出した。また、欧州統合のなかにこそイギリスの未来があるとして、ユーロ導入にも前向きな姿勢を見せている。EUの前身であるEEC、ECの時代から、イギリスは、欧州の共同体からは、距離をおき、また置かれていたが(EU通貨統合のときですら)、今日その姿勢は変化してきている。

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コソボ紛争

ユーゴスラビアのコソボ自治州でアルバニア系住民とセルビア人政府との間で起こった紛争。99年3月、英国空軍を主力とするNATO軍は、ユーゴの独裁者ミロシェビッチの弾圧に終止符を打つとしてユーゴを空爆。これでブレアの人気は上昇し、世論調査では、第2次大戦後の歴代首相中第3位となった。

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アングロサクソン  Anglo-Saxon

紀元5世紀にブリテン島に侵入した、アングル人、サクソン人、ジュート人のゲルマン3部族の総称。英米において主流をしめる民族であり、社会・経済のシステムについて「アングロサクソン型」(市場競争原理を核としたシステム)というときは、この両国を指す。また、国際紛争で両国が足並みを合わせることは多い。フォークランド紛争コソボ紛争、今回のイラク戦争など。

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マニフェスト  manifest

イギリスの選挙において、各党が公約をまとめた40〜50ページ程度の冊子。一般の書店で投票日の1カ月ほど前から売られる。イギリスでは個々の候補者よりも政党が重視されるため、公約の影響力が大きい。97年の総選挙に際し、ブレアの労働党は少人数学級、若年犯罪への対処、入院待機患者の減少などの公約を掲げた。

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