月刊基礎知識
月刊基礎知識トップページへ バックナンバーへ
再び三たび流行する病気と健康の用語集
 

現代病〜メンタル編

躁病

本誌1958年版収録。以下、

感情障害を主とする精神病で、鬱病と症状はちがうが、同一疾患であるから、あわせて躁鬱病といわれ、遺伝の著明な疾患で、20歳代の発病がもっとも多い。躁病の患者は、感情的に朗かで楽観的であり、同時に強い自負を持つ。しかし重いものでは激情が連続する。思考障害としては誇大妄想におちいり、観念が奔逸で多弁となる。意志行為は抑制のとれぬため、すべての意欲が実行に移され、異常の外出、旅行、借金、酒色耽溺、濫費をする。治療は、精神病院に入れて社会、家族の被害を防ぎ、患者を危険行動から保護する。

ページの先頭へ 戻る

鬱病

本誌1958年版収録。以下、

躁病と同一疾患だが、症状は正反対で、あらゆる精神活動が抑制される。哀愁的感情を抱き、つのれば絶望感となつて自殺をたくらむ。また思考が抑制され、非常に言葉少なで、適当な考えや言葉が思い浮ばない。一そう強くなるとわ僅かの思想も浮ばない。意志行為全般が抑制され、力なく打ちしおれた態度をとり、決断力を失う。治療にはカルジアゾール静脈内注射また頭部通電による痙攣療法、持続睡眠療法などがおこなわれる。

ページの先頭へ 戻る

ストレス(stress)学説

本誌1966年版収録。以下、

セリエ(Selyeカナダのモントリオール大学教授)により体系づけられた説で、汎適応症候群の学説ともいわれる。ストレスすなわち非特異的な有害作用にさらされた人体また動物においては副腎の活動が高進し、副腎皮質ホルモンの分泌が増す(警告反応)。ついで全身の防護反応が起こり、抵抗力の増大した状態が維持される(抵抗期)。しかしのちには、この状態が失われる(疲憊〔ひばい〕期)。

ページの先頭へ 戻る

アパート病

本誌1959年版収録。以下、

アパートに住む人に、傾向的に見られる一種のノイローゼ。戦後の住宅事情からアパートが続々建てられているが、日本人はこのような形の生活に不慣れのため、主に対人関係、例えば勤務先における序列や経済力の差などから種々のトラブルを生じ易く、このようにアパートに住んでいることが主要な原因と見なされるノイローゼに対し、九州大学の中教授がアパート病と名づけた。

ページの先頭へ 戻る

学校恐怖症・学校拒否症

本誌1968年版収録。以下、

新しい子供の病気で、登校時間になると頭が痛い、腹が痛いと訴え、またこういう症状がなくとも何となく学校に行くのを拒否する子供が最近ふえているという。この病気の症状は年令によって多少異なり、幼稚園ないし小学校低学年(親を難れることの不安によるもの)、小学校高学年、中学年(その子の能力や成績によるもの)、および中学校、高校(本人の性格、友達、家庭反抗心、教育体制への批判などによるもの)の3期に分けられる。症状のあらわれ方にも3つの時期があり、学校に行きたくないのを体の不調にかこつけるという合理化の時期、次にイライラしておこり出し物をなげつけたりする反抗の時期、最後に遮断の時期といって、部屋にとじこもって人にも会わなくなる。これは最も重症である。小学生よりもむしろ中学生や高校生に多く、一人っ子、末っ子、あるいは男の兄弟の中の女1人女の姉妹の中の男1人という子に最も多い。原因として、本人の内気、小心、わがままという性格の問題もあろうが、それよりもむしろ、子どもに過度の愛情を集中し過剰の期待をもちすぎる母親の責任であるという。

ページの先頭へ 戻る

週末過食症

本誌1987年版収録。以下、

週末にかぎらず、「不安になると、つい食べ物をロにする」と訴える人は、ことに若い独身の女性に多い。そんなとき、半数以上の人が「食べ始めたら止められないような気がする」といった、病的な心の在りように悩まされている。こういう異常な食べすぎ現象を過食症という。過食症とは、アメリカ精神医学会の診断基準によると、「肥満を病的に恐れてはいるが、抵抗しがたい衝動によって食へ過ぎ、その後、はなはだしい自己嫌悪に陥り、吐いたり、下剤を使って体重増加を防ごうと試みる」状態をいうのであり、この過食症と現象的には全く反対の「神経性食欲不振症」(思春期拒食症ともいう。アメリカの歌手、カレン・カーペンターの死亡で有名になった)と、根底では通じ合うものがある。ことに、わずらわしい人間関係から解放された週末になると、何か食べなければ落ち着かないという衝動にかられてヤケ食いをする場合を「週末過食症」という。いずれも心身症の一つであり、キッチン・ドリンカーや家庭内暴力と同様に、家庭の人間関係に問題のあることが少なくない。なお、わが国の一部の大学病院などでは、精神神経科に「摂食障害外来」といった特別の窓口を設けているところがある。

ページの先頭へ 戻る

超高層ビル症候群

本誌1992年版収録。以下、

数年前から超高層ビルのオフィスで働くサラリーマンやOLの間に見られるようになった、めまいや耳鳴り、息苦しさ、ひどくなると出社拒否などの症状を訴えるノイローゼ的な病気。欧米では10数年前から話題になっているもので、たとえば床の近くまで窓ガラスが広く開口しているような構造のビルの場合には、窓際で働くことを拒否するものが増えてくる。これは高所恐怖症の変形。また、エアコン完備の密閉された室内では、しばしば呼吸困難の発作を起こす過呼吸症候群が発生する。いずれも、ストレスが原因で起こる心因性の症状とみられている。

ページの先頭へ 戻る
All Right Reserved, Copyright(C) ENCYCLOPEDIA OF CONTEMPORARY WORDS