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冬の基準と数字の特集
著者 白鳥 敬

冬の基準と数字の特集

衣服の暖かさの単位「clo値」を知って、冬を乗り切ろう

寒い季節がやってきました。このところずっと暖冬傾向にあるとはいうものの、寒いことにはかわりありません。

寒いときは、「1枚、よけいに着なさい」と子供の頃から親に言われたものですが、確かに、衣類を多く着ればそれだけ暖かくなります。これは、皮膚と外気の間に空気の層(デッドエア:dead air)がより多くできるからです。だから、着れば着るほど暖かく…なるのですが、あまり着すぎるとモコモコして体を動かしづらくなってしまいます。

そこで、耐寒性に優れていながら活動しやすい衣料がいろいろと発売されています。たとえば、ユニクロですっかり有名になったフリースは、繊維の中に空気をたくさん溜め込むことができる構造になっています。このほか、防寒用の繊維には、糸の中を空洞にした中空繊維(マカロニファイバー:macaroni fiber)などもあります。魔法瓶のように体を何層もの閉じ込められた空気の層で包んでやれば暖かくなるというわけです。

衣類の暖かさの単位に「clo値」があります。これは、衣類の熱抵抗を表す値で、衣服の暖かさの目安になります。これは、皮膚表面温度と外気温度の差、皮膚表面から外への熱の流出量、衣類の熱絶縁度から導き出されるもので、ある条件の下で、平均皮膚温度が33℃を保つことができる衣類の熱絶縁値を1cloとしています。たとえば、男性の場合、長袖シャツと長ズボンをはいたときのclo値は0.3ですが、その上にジャケットをはおると1cloになります。

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汗を吸って発熱する暖かい衣類って、どれくらい暖かい?

暖かくするには、体の周りに薄い空気の層を何層もつくってやればいのですが、通気が悪くなると、汗などの湿気がこもってしまい不快に感じます。かといって通気がいいと風が吹き込んでくるので、暖かくなりません。耐寒用の衣料は、ゴアテックスなどに代表されるように、汗などから生まれる湿気は外に逃がし、風は中に入れないような一方向性の強い素材でつくられています。

ところで、最近の話題では、汗などの湿気を吸収して暖める吸湿発熱繊維があります。これは、空気中の水蒸気が気体から液体に変わるときに放出される凝結熱を利用したものだそうです。1gの水の凝結熱は、約580カロリー(約2400ジュール)ですから、1gの汗が熱に変わると2400ジュールの熱が発生します。つまり、繊維の吸湿量が多くなればなるほど発生する熱量も大きくなるのです。

逆に言えば、汗をかかないと温度が上がらないともいえます。「汗をかくほど動けば、そんなもん着ていなくても暖かくなるだろうが」と一言いいたくもなりますが、効果の程は、はっきりと実感できるそうです。汗を吸うと、1分もしないうちに、温度が上がり、普通の繊維より最高で2℃ほど衣服内温度が高くなるそうです。

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積雪量ってどう測る?

雪国に住んでいる人にとって雪は決して歓迎すべきものではありませんが、スキー場など雪が降ってくれないと商売にならないところもあります。積雪何cm、と言いますが、積雪ってどうやって測っているのでしょうか。

積雪は、全国各地の気象台を始め、無人観測所のアメダスなどでも測定しています。手作業で測る場合は、平坦な地面に垂直に立てた物差しで測りますが、アメダスなどでは、超音波積雪計を使って測っています。積雪計の一番上に超音波送信機と受信機がついていて、発信された超音波が雪面から帰ってくる時間と雪のないときの地面から反射したときの所要時間の差から積雪を求めます。

ところで、スキー場の積雪は? こちらは、気象台のような正式の観測所ではありませんから、各スキー場が独自に測定しています。ゲレンデのいちばん高いところで測定しているスキー場が多いようです。

ちなみに、雪の場合、降水量は雪を溶かして水にしたときの高さで測ります。

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大雪の基準ってどのくらい?

東京では10cmも雪が積もれば、電車は遅れるは、滑ってケガをする人がでるはで大騒ぎになりますが、雪国では、積雪50cmなどと言っても、道路を車がすいすい走っています。雪国の人は、やはりさすがに雪に慣れているのでしょう。

いったい東京の大雪と雪国の大雪に違いがあるのでしょうか。

大雪の基準として、気象庁が出す大雪注意報と大雪警報がありますが、この基準は、地域によって異なっています。たとえば、札幌では、12時間の積雪量が20cmを超える場合に大雪注意報が出ますが、東京では、24時間に5cm(多摩西部では10cm)を超えて降る場合に大雪注意報が出ます。

この差が、雪国の人と東京人の感覚の違いとなっているようです。東京の場合は、雪に対する備えがまったくといっていいほどありませんから、めずらしく大雪にでもなろうものなら、会社から家に帰れなくて泊り込み、という経験のある人も少なくないのではないでしょうか。

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雪で家がつぶれる! 雪の重さは、かなりのもの

暖冬傾向が続いているせいか、昔ほどは積雪がない冬が多いようですが、雪国では、今も屋根の雪下ろしが、冬の風物詩となっています。都会に住んでいる人にとっては、実感がないかもしれませんが、屋根に雪がつもりすぎると、屋根が抜けてしまう恐れがあるのです。

雪の重さは、含まれている水分の量によって決まります。大量に水分を含んだ雪は、1立法メートルで500kgにもなります。反対に、降ったばかりの新雪は、1立法メートルあたり50-150kgとぐっと軽いです。

新雪が降り積もって時間が経過して、固まった雪を「こしまり雪」と言いますが、これは、1立法メートルあたり150-250kgあります。さらに時間が経過して、雪の重みで固くしまった雪は「しまり雪」と言って、1立法メートル当たり、250-500kgもあります。

最も重い雪は、春先に降る「ざらめ雪」で、これは1立法メートルあたり300-500kgもあります。

屋根の雪下ろしは、こんなに重い雪をスコップですくって屋根の下に放り投げる作業ですから、30分もやると、めちゃくちゃ疲れます。まさに雪国はつらいよ、ですね。

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ウインタースポーツに出かけるクルマは… ガソリンは凍る?凍らない?

スキー場へ車で、そんな人も多いですね。しかし、車に搭載されている、ガソリンやオイルなどの液体が凍って車が使えなくなったという話はあまり聞きません。

しかし、軽油を使っているディーゼル車については、ときどき、スキー場で動かなくなったという話を聞きます。

まず、ガソリンですが、これは、マイナス50℃以下になっても凍ることはありません。これは、ガソリン(航空ガソリン)を燃料としているプロペラ機を見ればわかります。プロペラ機でも、大型機になると、マイナス50℃以下になる高高度を飛行しますが、ぜんぜん平気です。

ところが、軽油はちょっと違います。軽油は、温度が低くなると溶けていたワックス成分が出てきて固まってしまいます。この凍結限界温度(流動点)が高い順に、特1号、1号、2号、3号、特3号と名づけられていて、それぞれの、流動点は、5℃以下、-2.5℃以下、-7.5℃以下、-20℃以下、-30℃以下となっています。ガソリンスタンドでは、季節及び地域に合わせて、ふさわしい軽油を販売しています。

スキー場で軽油が凍結して動かなくなる車は、東京で、-7.5℃までしか持たない2号軽油を入れて、それ以下に気温の下がる地域に行ったために、おこることが多いのです。

オイルも、使用気温範囲と粘度が定められているので、車の使用環境に適合したものを使わなければいけません。

ただし、ガソリン車の場合も、長い間、手入れを怠って、燃料をあまり入れないまま放置していた場合は、タンクの中に水がたまっている場合があります。水は凍るので注意。

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夏の冷房25℃と冬の暖房20℃、どうして20℃のほうが暖かい?

夏は、エアコンの設定温度は24℃から28℃くらいで冷房し、冬は暖房モードにして、24℃くらいで暖房。同じくらいの温度設定で、夏は涼しく、冬は暖かい。なんか不思議な気もします。

人間の体内では化学反応がおこっていて、炭水化物等を燃焼させてエネルギーを得ています。このエネルギーによって、常に36.5℃ほどの体温を維持しています。人間が感じる暑さ・寒さは、人間の体が生産する熱量と外に放射される熱量の兼ね合いによって決まります。放射熱が多いときは、寒く感じ、少ないときは暑く感じます。

外気温の低いところや風の当る場所にいると、熱が多く放射され、寒く感じます。逆に外気温が高くて風がないところでは、放射される熱量が少ないので暑く感じます。

ところで、最近は、体感温度の予報をしている気象サービス会社もあります。「お天気.COM」の「体感天気予報」などです。

携帯電話からアクセスして、個人ごとの体感温度を予報してくれます。便利になったものですが、暑さ寒さを予想くらいは、自分でできるようにしたほうがいいような気も、しないでは…。

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「太っている」の基準”BMI”で、わかること、わからないこと

肥満でお悩みの方も多いことでしょう。現代人は、4人に1人が肥満の傾向あり、といわれていますから。とくに、お正月の食べ過ぎ・運動不足が原因でおなかの周りに肉がついてしまったのかもしれません。

ところで、肥満の度合いを表す単位に、BMIがあります。これは、Body Mass Indexの略で、身長と体重の比を表したものです。体脂肪とは関係ありません。計算方法は、体重(kg)/身長(m)の2乗です。身長173cm、体重65kgの人は、65÷(1.73×1.73)=21.7 となります。

18.5以上25未満が「普通」、25以上30未満が「肥満1度」、30以上35未満が「肥満2度」となります。BMI25以上の日本人は、男性で21%、女性で19%もいます。

BMIは、体脂肪とは関係のない数値ですから、肥満が、体脂肪によるものか筋肉でよるものかで違ってきます。問題なのは、いうまでもなく体脂肪によるものです。

BMIは、あくまでも体格に関する指数にすぎませんが、理想的な数値であるBMI22の人は、統計的に、病気になる確率が最も低いそうです。22を目指しましょう。

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体脂肪率で肥満がわかる。だけど、どうやって脂肪の量がわかるの?

肥満の原因は、余分についた体脂肪。おなかの周りの余分な肉は? おそらくそのほとんどが体脂肪でしょう。最近は、体脂肪計のついた体重計などがブームになっていますが、体脂肪はどうやって測るのでしょう。

一般向けの簡易型の体脂肪測定機能付き体重計は、足裏の電気抵抗を測定して(生体インピーダンス法という)出しています。身体を構成する成分のうち、水分は電気を通し、脂肪分は電気を通さない、という性質を利用して、その電気抵抗の具合から、水分と脂肪分の比率を推計するものです。

体脂肪率を“理屈で”いうと「体重から骨や筋肉の重さに相当する水分量を差し引いて、残りを脂肪の量として、その割合を計算したもの」です。一般に体脂肪率が、男性で20%以上、女性で30%以上になれば肥満とされます。ただ、脂肪量は、年齢によっても違いますし、測定法もそれほど厳密なものではないので、信頼度はあまり高くないようです。ですから、肥満かなって思っている方も気にしなくてもいいですよ・・とも言い切れませんが。

正確に体脂肪の量を測ろうとすると、”解剖”しかありません。でも、生きたまま解剖されるのは絶対嫌です。当然ですが。

冗談はさておき、体脂肪を気にしすぎるよりは、適度な運動を続けて、体脂肪を燃焼させてしまうのがいちばんでしょう。

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血中アルコール濃度が高いと交通違反 お酒のおいしい季節だけに気をつけたいもの

寒いときには燗のお酒が美味しいけれど、道路交通法が改正になって違反の基準が厳しくなりました。車を運転するときは、くれぐれも飲酒をしないようにしましょう。飲酒・酒帯運転での検挙数が急増中といいます。

2002年6月に改正施行された新しい道路交通法によると、酒気帯び運転の下限の基準が、呼気1リットル中のアルコール濃度が「0.25mg以上」から「0.15mg以上」に引き下げられています。しかも、このときの違反点数が6点で、罰則は1年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

いったい、どのくらいのお酒を飲めば、呼気1リットル当たりのアルコール濃度が0.15mgになるかというと、日本酒なら100mlル、ビールなら330mlといったところです。ちなみに、呼気1リットル当たりのアルコール濃度が0.15mgは、血中アルコール濃度0.03%に相当します。

お酒を飲んでも、3時間もたてば酒が抜けるから、と考えている人もいるようですが、飲んだ量と体重や体質などによってアルコールが分解される速度が異なりますから、あてにしてはいけません。

酒を飲んだら絶対に運転しないというの鉄則です。

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