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そんなに負担はできやしないの特集
 

国のほうのする負担
―― しかしそれは、国民から徴収された税金による拠出だ

義務教育費全額國庫負擔

本誌1955年版収録。以下、

義務教育學校は市町村が設置するが、とくに教員の給與等については、國庫の負擔とすることが望ましいということが從來からしきりに主張され、次に最近では、給與を府縣の負擔とし、その半額は國庫が負擔するものとなつていた。これを昭和28年度から全額國庫負擔にしようとすることが自由黨内閣によつて企てられ、義務教育學校職員法案というものが國會に提出されたが解散のため成立するにいたらなかつた。これについては、第一にそれがいわゆる定員定額制、つまり實情にかかわりなく形式的な標準で國庫の負擔分がきまることに對して反對があり、第二にまたこれによつて義務教育學校職員は、一般職の國家公務員とされることによつて、政治活動が極度に制限されることに對しても非常に強い反對があつた。

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義務教育費国庫負担

本誌1956年版収録。1955年版から多少解説内容が変わってくる。以下、

義務教育費を全額国庫にせよという要求は、ふるくからあつたが実現されず、ようやく1952年に教職員給与の都道府県実支出額の半分と、教材費の一部の国庫負担を規定した法律の制定をみた。その後、全額国庫負担は、義務教育をよくしようするねらいよりは、これにより教育の中央集権化をはかり、教師の発言を封じようとする政治的なかけひきの具に供せられた。たとえば、1953年、吉田内閣および与党により国会に提出された義務教育学校職員法案はそのあらわれである。

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後年度負担

本誌1983年版収録。以下、

国が艦船、航空機、武器等の調達を行う際、その性格上、数年を要する場合があり、このような場合には初年度に売買契約などの債務負担行為をなすとともに、その支払いについては初年度および次年度以降に予算計上を行う。この次年度以降に計上される額を総称して後年度負担という。これらは具体的には財政法上の国庫債務負担行為あるいは継続費によるものである。なお、後年度負担が増大していくことは、財政の硬直化を招くおそれがあり、このような国庫債務負担行為、継続費の具体的活用に当たっては、その必要性等について慎重な検討を加える必要がある。

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国庫債務負担行為

本誌1969年版収録。以下、

国が債務を負担するには、憲法85条ならびに財政法25条1項、2項の規定により、<1>法律に基づく場合、<2>歳出予算の金額または継続費の総額の範囲内においてする場合のほかは、<3>あらかじめその事項について国会の議決を経るか、または<4>災害復旧その他緊急の必要がある場合には、毎年度国会の議決を経た範囲内においてしなければならないとされており、これらのうち<3>および<4>により国の債務を負担する行為が国庫債務負担行為である。契約により債務の負担を行なったのち、実際に経費の支出が必要となったときは、改めて歳出予算とし議決を受けることが必要である。国庫債務負担行為は、後年度の歳出となるべき債務負担契約を認めるものであるため、継続的な事業の執行について継続費と同様な効果をもっている。継続費と異なり年剰額の定めがないので、より弾力的な運営が可能となるので、現在では、公共事業等について広く活用されている。

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超過負担

本誌1976年版収録。以下、

いわゆる超過負担とは、国が義務的に支出する負担金及び委託費について、その算定基準、またはそれぞれの制度の趣旨に照らして実情に即応しなくなっていることから生じる国の支出金の不足額をさすものと考えられる。超過負担の態様には、単価差、数量差、対象差の3種類があるといわれる。単価差とは、国庫補助負担金の単価が実際の事業費(施設費、給与費)単価より少ないことをさし、数量差とは国庫補助負担金の対象となる面積・人員などが実際より少ないことをさす。また、対象差とは、事業の性格上当然国庫補助負担の対象とされるべき経費が対象から外されていることをさす。

具体的ケースについてあたってみると、超過負担といわれる内容は千差万別であり、それぞれの補助制度の目的等に照らして慎重に検討されねばならないが、超過負担が存在する場合には、国は実情に即してその解消を図るべき責務を負っている。国は毎年度の予算編成に際し、超過負担解消のため所要の改善措置を行っているが、実状にはほど遠い。48年12月に始められた大阪府下摂津市の保育所設置に要した経費中、国に超過負担の支払いを求める訴訟は行政機関相互の行政訴訟として画期的な意義をもっている。

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自治体の超過負担

本誌1976年版収録。以下、

国は自治体が行う特定の事業に対して補助金を交付する場合があるが、超過負担とは、補助金等の交付を受ける地方公共団体の当該事業に係る実績単価と国が補助を行う場合の予算単価との差額分に相当する自治体の自己負担をいう。超過負担が生ずる原因は実行面で予算上の補助単価を下回る単価で予算配分が行われることもあること、補助金等を受ける自治体の側で国の期待する標準以上の水準で事業を実施する場合が往々にしてあること等のためである。この超過負担については実態調査に基づき、その後の社会経済情勢の変動に応ずる補助単価の是正その他により、逐年その解消に努めることとなっている。

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賠償負担

本誌1952年版収録。以下、

講和条約で日本の賠償支払義務が明記され求償国と個別的に交渉して方法、金額等をとりきめることになった。原則として技術賠償あるいは役務賠償ということになっているが、これは、第1次大戦後ドイツに課せられた現金賠償あるいは生産物賠償とは異なり、また、今次終戦直後ポーレイ賠償特使の報告に見られたような設備賠償とも異なり、賠償相手国の提供する原料にたいする無償加工、賠償相手国の領海内にある沈船の無償引揚、機械設備提供による相手国内での無償加工技術教育の提供などの方式を内容とするものである。このばあい国内業者にたいする加工賃などは政府が負担しなければならず、賠償に伴う財政支出は不可避となる。

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賠償負担

本誌1973年版収録。以下、

講和条約(第14条)で日本の賠償支払い義務が明記され求償国と個別的に交渉して、方法、金額などを取決めることになった。原則として技術賠償あるいは役務賠償ということになっているが、ビルマ賠償以来、生産物賠償が主な形となっている。この場合、賠償請求国の使節団が日本の業者と商業買付け契約を結び、これが認証されて支払い代金が日本政府から業者に円貨で支払われる。これが実際の賠償負担となるわけだが、その源泉は国民から徴収される租税である。賠償関係対外債務は、フィリピン賠償など1億6120万ドル、その他無償経済協力1億8990万ドルである。

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費用負担(雇用保険)

本誌1990年版収録。以下、

費用負担は原則1000分の14.5の保険料と国庫負担(一般求職者給付について4分の1)である。保険料のうち1000分の11は失業給付にあてられ労使折半、1000分の3.5は事業にあてられ全額事業主負担である。

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年金の国庫負担

基礎年金の3分の1が国庫(一般財源)によって負担されている。

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非特定国庫債務負担行為

本誌1980年版収録。以下、

国庫債務負担行為のうち使途を限定ぜずに、災害の復旧その他緊急の必要が生じた場合において政府の裁量で活用できるものをいう。これは財政法第15条第2項により許されている。54年度は一般会計に1000億円、特別会計に800億円設けられている。

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