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そんなに負担はできやしないの特集
 

国民負担率

負担率に関する政府の見解は、年をおって変わってきている。そういうことは、よくあることだろう。

租税負担率(1957年)

本誌1957年版収録。以下、

わが国の租税は外国のそれに比べて非常に重いといわれるが、その税金の重さを簡単にはかるには、<1>国民1人当りの租税額を比べる方法と、<2>国民所得に対する租税総額の割合を比較する2つの方法がある。租税の負担率とは後者の場合をいう。前者の場合だと1人当たりの租税負担額の変化をいうだけで租税負担額がふえても所得がそれ以上ふえれば実際の負担額は軽くなるので、税金の本当の重さを知るには租税負担率によるのが本命だといわれている。日本の場合は国民所得に対する租税負担額は統計上諸外国に比べて極端に重くはないが、食糧費の割合がふえるため国民所得から食糧費を除いたものと租税総額との割合をとれば、税負担は諸外国よりかなり重いといえる。

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租税負担率/社会保障負担率(1985年)

本誌1985年版収録。以下、

租税負担と社会保障負担とを合わせた国民負担率(対国民所得費)は、わが国の場合現在35%程度(租税負担率が25%弱、社会保障負担率が10%強)であるが、これが今後どのような形で推移するかが重要な問題となっている。このうち租税負担率とは、国税・地方税を含めた租税負担の国民所得比をさし、これは昭和40年代末までは20%以下の水準であったが、50年代に入り次第に上昇して現在に至っている。それは50年代に入り分母となる国民所得の伸び率が鈍化する一方、所得税の課税最低限が52年以来据置かれ、所得税ないし所得課税中心に税負担の増大が進んだからである。

他方、社会保障負担率は年金や医療保険の醵出金ないし支払保険料の総額を国民所得で割ったものであるが、この増大も著しく、その伸び率は租税負担率のそれを超える。社会保障需要の高まりとともに、受益者に負担を求めるという根拠からの社会保障負担増額が続いており、社会保障負担の限度をどこに置くかという問題が発生している。こうした問題に関して、第2臨調は租税負担よりも社会保障負担の方を重視した負担引上げを提案している。それは受益と負担の対応を明確にする意味からであり、高い社会保障水準を維持するためには負担の増加が必至とみるのである。なお、ヨーロッパ諸国では、国民の負担率は、50%前後であるが、これとの関連で、「1980年代経済社会の展望と指針(新経済計画)」では、わが国の国民の負担率は、ヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低い水準にとどめることが望ましい、としている。

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租税負担率/社会保障負担率(1991年)

本誌1991年版収録。以下、

租税負担と社会保障負担とを合わせた国民負担率(対国民所得比)は、わが国の場合、現在40%程度(租税負担率が28%、社会保障負担率が12%)であるが、これが今後どのような形で推移するかが重要な問題となっている。このうち租税負担率とは、国税・地方税を含めた租税負担の国民所得比をさし、これは昭和40年代末までは18〜21%前後の水準であったが、50年代に入り次第に上昇して現在に至っている。

他方、社会保障負担率は年金や医療保険の拠出金ないし支払保険料の総額を国民所得で割ったものであるが、この増大も著しく、その伸び率は租税負担率のそれを超える。なお、ヨーロッパ諸国では、国民の負担率は、50%前後である。「世界とともに生きる日本‐経済運営五ケ年計画‐」では、「高齢化社会への移行、国際的責任の増大等により、国民負担率は、現行制度の下においては、21世紀初頭には4割を上回るものと考えられるが、計画期間中、その上昇は極力抑制する」とされている。

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租税負担率/社会保障負担率(1997年)

本誌1997年版収録。90年代を通じて負担率に関する政府の見解は、多少変わってきている。以下、

租税負担と社会保障負担とを合わせた国民負担率(対国民所得比)は、わが国の場合、現在37%程度(租税負担率が23%、社会保障負担率が14%)であるが、これが今後どのような形で推移するかが重要な問題となっている。このうち租税負担率とは、国税・地方税を含めた租税負担の国民所得比をさし、これは昭和40年代末までは18〜21%前後の水準であったが、50年代に入り次第に上昇して現在に至っている。他方、社会保障負担率は年金や医療保険の拠出金ないし支払保険料の総額を国民所得で割ったものであるが、この増大も著しい。なお、ヨーロッパ諸国では、国民負担率は、50%前後である。「生活大国5か年計画―地球社会との共存をめざして―」では、長期的には国民負担率はある程度上昇していかざるを得ないものと考えられるが、本格的高齢社会の到来時における国民負担率の上昇を極力抑制する必要があるとされている。

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租税負担率/社会保障負担率(1999年)

本誌1999年版収録。90年代を通じて負担率に関する政府の見解は、多少変わってきている。以下、以下、

租税負担と社会保障負担とを合わせた国民負担率(対国民所得比)は、わが国の場合、現在38%程度(租税負担率が24%、社会保障負担率が14%)であるが、これが今後どのような形で推移するかが重要な問題となっている。このうち租税負担率とは、国税・地方税を含めた租税負担の国民所得比をさし、これは昭和40年代末までは18〜21%前後の水準であったが、50年代に入り次第に上昇して現在に至っている。他方、社会保障負担率は年金や医療保険の拠出金ないし支払保険料の総額を国民所得で割ったものであるが、この増大も著しい。なおヨーロッパ諸国では、国民負担率は、50%前後である。「財政構造改革5原則」では「長期的には国民負担率はある程度上昇していかざるを得ないものと考えられるが、財政赤字を含む国民負担率が50%を超えない財政運営を行う」とされている。

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租税負担率/社会保障負担率/国民負担率を知る

租税負担率とは国税・地方税を含めた租税負担の国民所得(「国民経済計算」による実績額)に対する割合のこと。また、年金や医療保険の拠出金ないし支払保険料等の総額(社会保障負担額)の国民所得に対する割合を、社会保障負担率という。両者を合わせたものが国民負担率。決算ベースでの数値が「財政関係資料集」(参議院予算委員会調査室編、大蔵省印刷局発行、毎年4月)に掲載。

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国民負担率の推移(対国民所得比)

本誌2002年版収録。以下、
1970 24.8
1981 40.7
1990 38.7
2000 49.0
2001 45.3

※国民負担率=租税負担率+社会保障負担率

 潜在的な国民負担率(上の数字)=国民負担率+財政赤字

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国民負担率の内訳の国際比較〔悪い財政赤字をなくすには〕

本誌2002年版収録。以下、

数字は負担率の総計。カッコ内は左の数字が社会保障負担率、右の数字が租税負担率(資産課税等、消費課税、法人所得課税、個人所得課税)

日本 36.9 (14.4/22.5)
アメリカ 37.6 (10.1/27.5)
イギリス 48.9 (10.2/38.7)
ドイツ 55.9 (26.7/29.2)
フランス 64.6 (28.3/36.3)

【参考:各国の老年人口比率】

日本 17.2
アメリカ 12.6
イギリス 15.8
ドイツ 15.2
フランス 15.2
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