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”寒い冬”の健康と養生の数字・基準・単位
 

”寒い冬”の健康と養生の数字・基準・単位

「風邪薬」って飲みすぎると相当ヤバい?

風邪の季節がやってきました。しかし、風邪薬の飲みすぎは禁物です。

風邪薬に含まれているアセトアミノフェン(鎮痛作用をもつ非ピリン抗炎症剤)は、比較的安全性の高い薬ですが、大量に服用すると胃壁を荒らします。また、アルコールといっしょに大量に服用すると肝臓障害をおこして死にいたる場合があります。2000年に埼玉県本庄市でおきた金融業者による保険金殺人事件では、風邪薬をお酒といっしょに大量に飲ませて殺害しています。

アセトアミノフェンは、体重60kgあたり約9gで中毒症状をおこし、約15〜20gで重い肝障害がおこります。風邪薬1錠には、数100mg程度しか含まれていませんが、大量に服用すると危険です。

風邪薬といっても侮るなかれです。服用量は守るにしかずです。

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「風邪薬」の飲みすぎは、酒の飲みすぎよりも怖い

風邪薬には、アセトアミノフェンの他にも、けっこうヤバい成分が含まれています。

鼻炎や咳止めを抑える効果を持つ塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)は、脳出血を引き起こす副作用があるということで、アメリカでは2000年に販売中止になっています(日本では使用が認められています)。咳止め薬に含まれているリン酸ジヒドロコレインは、大量に服用すると違法薬物と同様の効果を持ちます。風邪薬に含まれているカフェインも、大量に服用すると危険です。

風邪の季節とはいえ、くれぐれも風邪薬を飲みすぎることのないよう注意したいものです。また風邪薬の悪用は、犯罪につながる場合もありますから、くれぐれもご注意を。

服用量をきちんと守って飲んでいる限りにおいては、風邪薬になんら問題はありません。

風邪がなかなか治らないから、と風邪薬を飲みすぎるくらいなら、お酒の飲みすぎのほうが、まだましです。

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風邪予防にビタミンC…よくある「レモン100個分」って多すぎない?

風邪やインフルエンザの予防に効果があるといわれるビタミンCをたくさん含んでいるサプリメントが、いろいろ発売されていますが、中には「レモン100個分のビタミンC」などと書いてあるのもあり、根がへそ曲がりなせいか、ついつい「ほんとかな」と疑ってしまいます。

『五訂日本食品標準成分表』によると、レモン1個を100gとすると、そのレモンには、ビタミンCが100mg含まれているそうです。それから計算すると、ビタミンCが1000mg含まれている食品には、レモン10個分のビタミンCが入っていることになります。

おや、100個分にはほど遠いのでは、と思って調べてみると、実は、農林水産省の『新食品ガイドライン』では、レモン1個のビタミンCは20mgと決められていました。

農水省方式でいくと、1000mgのビタミンCを含む食品は、レモン50個分のビタミンCを含むと表現することができます。だから、2000mgのビタミンCを含む食品なら、レモン100個分。決して誇張した表現ではなかったのでした。

では実際、1日あたり必要とされているビタミンCの量はというと、これが100mg(18歳以上、男女とも)。となると「レモン100個分もとってどうするの」と思ってしまいます。でも、ビタミンCは疲労、ストレスなどさまざまな要因で損なわれやすく、またせっかく摂っても体外に流出されがちなので、また摂ることになるのです(実際、現代日本人は必要量以上に摂取している)。また、たばこはビタミンCの大敵で、たばこを吸う人の必要摂取量は、非喫煙者の2倍です。

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冬至にカボチャを食べると風邪をひかない

冬至にカボチャを食べると風邪をひかない、などと、よく言われます。これは、カボチャには、カロテン(ビタミンA)、ビタミンCをはじめ各種のビタミンが豊富に含まれているからです。寒い冬の時期に寒さに対する抵抗力をつけようということで、冬至にカボチャを食べる習慣ができあがってきたのでしょう。

『五訂食品成分表』によると、西洋カボチャのビタミンCは100gあたり65mgと、レモンよりも少ないものの、ビタミンBやビタミンEなどが、ほかにも多くのビタミンが含まれているので、風邪に負けない体力をつけることができるのです。

同様に、冬至にはレンコン、ミカンなど名前に「ン」のつくものを7種類食べると幸福になれる、という言い習わしのある地方もあるようで、これなども冬季の栄養補給大事さを伝えたものなのでしょう。

そういえば風邪を防ぎ、皮膚を強くするというユズ湯も、冬至の行事のひとつです。

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うがいでどれだけ風邪を防げる?

サニタリー専門の会社サラヤの調査によると、手洗い・うがいを励行すると、風邪にかかる確率を格段に低く抑えることができるそうです。うがいを励行したグループの風邪にかかる率は、約24%。これに対して、うがいを励行しなかったグループの風邪にかかる率は、約35%もありました。(http://www.saraya.com/touchfree/koza.html)。

では、うがいはどんなふうにすればいいのでしょうか。

慶応大学医学部では、次のような方法を薦めています。(http://www.hosp.med.keio.ac.jp/yakuzai/4-QA/199911.htm

1回目:食物の残渣などを取り除く目的で、口に含んで比較的強くうがいする。

2回目:2,3回、口に含みうがいをした後、上を向いて喉の奥まで液が回るように15秒間程うがいする。

3回目:2回目と同様に15秒間程度行なう。

外出から帰ったら、まず、手を洗ってうがいをする。やはり、これが基本ですね。

空気が乾燥する冬季は、喉の粘膜も弱りがちなので、ぜひ習慣としたいものです。

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手洗いで細菌をどれくらい減らせる?

インフルエンザは、空気感染と接触感染でうつります。せきやくしゃみをしたときに飛び散ったつばや鼻水だけでなく、鼻をかんだときの鼻汁が手について、それが、ドアの取っ手などに触れたときに取っ手について、他の人に感染していきます。ですから、インフルエンザの予防には手洗いはとても有効です。

東京都立衛生研究所の「洗浄・殺菌に関する実験結果」によれば、水道水で1分間手洗いしたときは、48.3%の菌が残っていましたが、40℃のお湯を使い、石鹸30秒・水洗5秒・石鹸30秒・水洗30秒と手洗いしたところ、0.1%にまで減ったそうです。

意外に効果がなかったのが、水道水と石鹸を使った1分間の手洗いでした。この方法では49.7%も菌が残っていました。逆に思いのほか効果が高かったのが、40℃のお湯のみによる1分間の手洗いでした。この方法では、菌が19.5%まで減っています。

結論としては、お湯と石鹸をつかって、指先や指の根元などを、よくもみ洗いし、最後はアルコールで止めを刺すといったところでしょうか。

手を洗うという習慣は、民俗学者や宗教学者にいわせれば、「日本人の“禊ぎ”文化の現れで、実際に清められたかどうかということより、気持ち・形式の占める割合が大きい」ということになるのですが、なかなかどうして、ちゃんときれいになるものなのです。

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いちばんウイルスが多いのはどこ?

インフルエンザウイルスは、鼻の粘膜に付着すると、1時間後には、1個のウイルスが100個になり、24時間後には100万個にも達します。インフルエンザは、空気感染と接触感染でうつりますが、では、どんなところにインフルエンザウイルスがいるのでしょうか。

都立衛生研究所の調査によると、満員電車のつり革には約1000個、公衆電話の受話器には約3000個、カラオケボックスのマイクには、なんと4000個もいたそうです。やはり熱唱する人の多いカラオケマイクには、つばが飛び散り、ウイルスの数も多いということでしょうか。だからといって、抗菌シートで何から何までまず拭いて…、というのもやりすぎでしょうが、やはり、風邪やインフルエンザの予防には、うがい・手洗いが欠かせないということでしょう。

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くしゃみ・咳で風邪のウイルスが飛ぶ距離は?

風邪やインフルエンザは、くしゃみや咳などで、唾液とともに、ウイルスが、空気中に飛び出すことによって、他の人に感染していきます。では、1回の咳・くしゃみでどれくらいのウイルスが飛ぶのでしょうか。

東京都立衛生研究所の調査では、咳1回で、約10万個のウイルスが約2m飛ぶそうです。また、1回のくしゃみで、約200万個のウイルスが3mも飛ぶそうです。

しかも、この速度があっと驚くほど速いのです。なんと、くしゃみの速度は、時速約300km。新幹線「のぞみ」なみの速度です。

耳元で、くしゃみをされると、超音速飛行の衝撃波かと思うような大音響が響きますが、さすがに超音速とはいかないものの、新幹線なみの速度でつばが飛んでいたわけですね。

咳やくしゃみは、ちゃんとハンカチでおさえてしましょう。

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寒くなるとインフルエンザが増えるのはなぜ?

毎年、冬になると、インフルエンザが、流行します。なぜ、インフルエンザは、冬になると流行するのでしょうか。それは、大気の乾燥と関係があります。

空気が乾燥していると、インフルエンザウイルスが長く空気中に漂っていることができるからです。また、喉の粘膜も乾燥して弱っていますから、インフルエンザウイルスが付着して繁殖しやすくなります。

あるデータによると、湿度20−30%で低温の状態が、インフルエンザ・ウイルスの増殖適した環境なんだそうです。逆に、湿度が、60−70%もあるとインフルエンザウイルスは増殖することができません。

インフルエンザから身を守るには、部屋が乾燥しすぎないように、加湿器などを使って60%以上の湿度を保つことが大切です。それと同時に、過労を避け、睡眠時間を十分にとって、おいしいものを食べて栄養をつけておくことが大切でしょう。

やはり基本は食と生活態度ということでしょうか。

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インフルエンザの患者数ってどこが統計してるの?

インフルエンザで学級閉鎖。冬になると、よくこんなニュースが飛び込んできます。いったい、インフルエンザの患者数ってどうやって把握しているのでしょうか。

厚生労働省保険医療局によると、全国に約5000の医療機関(インフルエンザ定点医療機関)を指定し、そこでインフルエンザの診断された患者の数が、地元の保険所に報告され、それが、厚生労働省でまとめあげられるそうです。

同省では、インフルエンザ患者を週ごとに把握し、過去の患者発生状況を元にして基準値をもうけ、それを超えると「インフルエンザ警報及び注意報」を出しています。

警報は、インフルエンザの大流行が発生する恐れがある場合。注意報は、4週間以内に大流行の恐れが予想される場合と、流行のピークを過ぎた後で、まだ収束していない状態のときに出されます。

インフルエンザにかかると、お年寄りなど体力の弱っている方にとっては、命に関わる場合もあります。体調を整えて、寒くて乾燥した冬を乗り切っていきたいものです。

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