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“伝統”と“格式”キーパーソンからキーワード
 

家元・宗家

家元

技能文化において一流一派を統率するもののこと。現在使われる意味での「家元」という言葉の初見は18世紀に見られるが、実態は平安時代に公家の家芸としての雅楽や歌などにまでさかのぼる。江戸時代、武士が武芸・遊芸を稽古することが盛んとなって武芸の家元が多く成立。これに加え、香・茶・花などが隆盛となり、町人文化を背景に、家元が免許発行を独占する家元制度が確立した。

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名取

花道・茶道・香道や邦楽・日舞など、家元制度を確立している芸道で、ある程度の技術を修得した弟子が流儀名の何字かを得ること。これによってみずから弟子をとって教えることができる。この際、家元は相当の金額を受け取り、免状・名札などを与える。名取になることは家元の一員であることを社会的に公にすることでもある。

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宗家

特に能・歌舞伎・邦楽・日舞などの舞台芸能で、その流派のうち、もっとも権威と格式をもっている家のこと。茶道・香道・花道などの場合には用いない。ただし、いささか曖昧な用語であり、近年の和泉元彌の騒動に見られるように宗家なのかそうでないのかを巡って争いのもとになることも。

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和泉元彌

1974〜。狂言師。和泉流第20世宗家。19世宗家・元秀の長男。1995年、父の死にともない、宗家を継承。10代のころから映画やテレビに出演していたが、2001年の大河ドラマ「北条時宗」の主演でお茶の間の人気が定着した。ところが、公演の遅刻、流派内の合意をえずに宗家を名乗ったなどとして能楽協会と対立、2002年10月、協会は元彌を退会処分とし、元彌側は決議無効と損害賠償を求めて訴訟を起した。

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五代目

五代目尾上菊五郎。1844〜1903。通常、歌舞伎の世界で「五代目」といえばこの人を指す。明治の劇団を代表する名優で、いなせな江戸っ子役を得意とした。九世市川団十郎とともに「団菊」と称された。その子・六代目菊五郎(1885〜1949)もやはり名優で、初代中村吉右衛門とともに「菊吉時代」とよばれる一時期を形成した。

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十一代目

十一代目市川団十郎。1909〜65。通常、歌舞伎の世界で「十一代目」といえばこの人を指す。七世松本幸四郎の長男。九世海老蔵時代には、「海老さま」の愛称で親しまれ、美貌と演技力で絶大な人気を誇った。団十郎襲名後、3年で死亡。現在の団十郎は息子、2003年の大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」に主演する新之助は孫に当たる。新之助にはとくに祖父の面影があるという。

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観世流

能の代表的流派の一つ。観阿弥清次(1333〜84)が始祖。その子・世阿弥とともに足利義満の後援を得て、能を大成する。その後、江戸時代に筆頭の地位と特権を手に入れ、大正から昭和にかけては六世観世銕之丞(華雪)ら名優の活躍もあって優美華麗な芸風が圧倒的な支持を得た。

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観世流の紛争

明治維新の際、二十二世観世清孝が徳川慶喜とともに静岡に移り、初世梅若実、五世観世銕之丞(紅雪)らが東京で能の復興に尽力した。このため、免状発行権をめぐって紛争が生じ、1921年の梅若流創設となる。この対立は1954年、二世梅若実らの観世流復帰によって落着するまでつづいた。

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池坊(いけのぼう)

いけ花流派の一つで、諸流派中、もっとも古い伝統をもつ。応仁の乱前後に京都六角堂・頂法寺の僧であった池坊専慶(せんけい)が始祖とされる。江戸時代に池坊専好(せんこう 1570〜1658)が立花様式として大成、元禄期を頂点として、以後、独占的な地位は後退したものの、現在にいたるまで、いけばな諸派中、最大の組織を維持している。

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草月流

いけばな流派の一つ。1927年、勅使河原蒼風(1900〜1970)によって創設された。近代的ないけ花としてジャーナリズムと結んだ活動を積極的に展開、とくに若いインテリ女性に支持された。蒼風の没後、長男・宏(1927〜2001)が家元として草月会館を拠点とする活発な運動を繰り広げた。宏は映画監督としても知られ、「砂の女」「利休」などの傑作がある。

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裏千家

千利休(1522〜1591)を始祖とする茶道の流派。堺の商人の家に生まれた利休は村田珠光、武野紹鴎の流れをくんで茶の湯を道として大成したが、豊臣秀吉の逆鱗に触れて切腹させられた。その後、千家3代を継いだ宗旦(1578〜1658)が茶禅一味を唱え、千家茶道の礎を築いた。2002年12月22日、坐忘斎宗匠が第16代家元を継承した。

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