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「日本新語・流行語大賞」からみる今年のキーワード
 

声に出して読みたい日本語

『日本語練習帳』(大野晋著・岩波新書)あたりにはじまり、2001(平成13)年からブレイク日本語・日本語本ブームのなかでも出色なのは同書。日本の国語教育で失われつつある名文・音読・暗誦をすすめる。

日本語本は、他にも柴田武『常識として知っておきたい日本語』(幻冬舎)、村松映『日本語力をつける四字熟語の本』(文香社)、大島清『思いきって使ってみたい楽しい日本語』(新講社)など続々…。

受賞者:同名の著書(草思社刊)で明治大学文学部助教授

齋藤孝 さん

関連項目

柴田武

『常識として知っておきたい日本語』の著者。東京大学名誉教授。言語学者。文学博士。

方言地理学、社会言語学の権威であり、また現在、日本のローマ字社理事長。1918(大正7)年、名古屋生まれ。東京大学助手を経て、1949年国立国語研究所員、64年東京外国語大学教授、68年東京大学教授、79年埼玉大学教授、84年定年退官。

著書はほかに「糸魚川言語地図」「言語地理学の方法」「社会言語学の課題」「日本の方言」「方言論」。

共編に「三省堂国語辞典」「三省堂新明解国語辞典」。

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大野晋

『日本語練習帳』の著者。学習院大学名誉教授。文学博士。国語学。1919(大正8)年、東京・深川生まれ。

東京大学大学院卒。上代特殊仮名遣いの研究から入り、日本語起源の研究へと学問分野をすすめている。発生論的な古代語研究が特徴。7-10期国語審議会委員。

日本語と朝鮮語の同系論、のちにドラビダ諸語のタミル語との同系論を主張しているが、この論には批判も多い。

他の著書に「日本語の起源」「日本語の文法を考える」「日本語以前」「係り結びの研究」「一語の辞典 神」「日本語と私」、共編に「岩波古語辞典」など。「広辞苑」の基礎語執筆も担当している。

戦後の国語改革には批判的な立場をとる。

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日本語審議会

国語審議会』は1934(昭和9)年に文部省が『臨時国語調査室』として設置したのに始まり、国語の改善、国語教育の振興、国字ローマ字問題、等に関する事項に就いて、調査、審議して政府に献策する事を目的とした。'49年に現在の形で文部省に置かれ、委員は各方面の学者、有識者から選ばれるのだそうだ。実績としては、'46年に常用漢字を制定、'52年に敬語問題、'54年に外来語の表記法、'63年に国語改善案、などの発表が有る様だが、最近の動きは良く判らない。然し若者の流行語などは放って置いても大部分は直に淘汰されるのだから神経質に考える必要は無い。もっと大きな流れの中で、『此のままでは・・』と感じる事も幾つかあるので取り上げて欲しい。『審議会』だけで無く『NHK』も日本語を覆って行く使命がある事を良く認識してチェック・システムを充実させる可きであろう。

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国語問題白書

本誌1951年版収録。以下、

24(1949)年7月、国語審議会を改組、まず国語問題白書の部会をひらき「国語問題要領」を25年6月12日の第7回総会で決定、文部大臣に答申した。それによると<1>国語審議会の性格と任務は建議機関であるべきこと、<2>国語の現状を分析すること、<3>国語問題の歴史的展望を行うこと、<4>国語に関する諸機関のあり方を検討すること、<5>国語問題審議の基準を樹てること、である。

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新かなづい

本誌1951年版収録。以下、

昭和20(1945)年11月の文部省訓令で実施され、教科書をはじめ新聞・雑誌などに使用、次第に一般化してきた。ただし強制力はなく、作家等はとれを採らぬ者が多い。25年10月の第2回アメリカ教育視察団の報告書には、これを文藝作品についても採択すぺきことが勧告されている。話すとおりに書くのを原則とするが「てにをは」の助詞、「お」列の長音などについては、例外を認めている。

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当用漢字

本誌1951年版収録。以下、

文字の種類が多く、その数も多く、しかも使い方が複雑であるために、日本の国語教育が文字中心の教育になり勝ちであったが、昭和22年10月に国語審議会決定の当用漢字1850字が文部省から発表され字体の簡略化も同時に行われた。

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国語標音化運動

本誌1959年版収録。以下、

現在わが国で使用されている言語は難解だという見地から「日常使うことばをやさしく、ゆくゆくは、カナやローマ字のような音標文字を実用化しよう」という主旨のもとに、片山哲、高良とみ、大橋忠一らが中心になって展開している運動。すでに国会・学識経験者有志を集めた「言語政策を話し合う会」が開かれている。運動方針の内容は、戦後の言語政策を徹底させるよう政府に要求する(漢字制限、現代かなづかい、音訓整理、公文音の横書き、ローマ字教育の徹底、当用漢字にない人名・地名のカナ書き等)、次に国民全部の問題とするよう働きかける、政府に言語政策の調査や研究を行わせる等で、教育、一般事務等の能率を高める上にも必要である、と主張している。

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国語問題協議会

本誌1965年版収録。以下、

文部省の「天下り国語政策」に反対して昭和34(1959)年11月できた。会長小汀利得。専門の国語学者や作家、評論家から官界、財界まで含めた幅広い団体で、文部省が意図している国字のローマ字化を阻止するため活発な活動をしている。

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かなづかい論争

本誌1965年版収録。以下、

現代かなづかい公布(昭和21年11月)以来、さまざまな論議が行なわれてきたが、福田恆存と金田一京助(言語学者)との間に展開された論争は、各方面の注目を浴びた。福田が「知性」30年10月号に発表した論文に端を発して、同誌および「中央公論」を舞台に両者の応酬がつづいた。福田が現代かなづかいの多くの矛盾した実例を引き合いに出して「語音と表記法との一致」という大原則を批判したのにたいし、金田一は方法論よりも根本精神のほうが先であると反批判を加えた。両者の見解は平行線をたどり、感情論となった感があったが、問題の重大さは34年の「新おくりがな論争」にまで尾を引いて今日にいたっている。

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新おくりがな

本誌1965年版収録。以下、

文部省が国語審議会(会長土岐善麿)の答申にもとづいて昭和34(1959)年7月に内閣告示で公布した「おくりがな」の新しい基準。戦後、当用漢字、新かなづかいと国語改革を進めてきた総仕上げともいえるのが、この「新おくりがな」だが、その基準があいまいで、国語を混乱させるものだとして国語学者をはじめ作家、評論家や官界、財界の一部の猛反対にあっている。この「新おくりがな」をきっかけに官製の国語審議会に対抗する民間の団体国語問題協議会が同年11月に生まれた。

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表音派/表意派

本誌1965年版収録。以下、

かな文字やローマ字などのように、表音を重視する国語学者が表音派、これに対して漢字など、表意文字を重視するものを表意派という。戦後の国語政策をめぐってこの両派が文部省の国語審議会で対立して、昭和36年、舟橋壁一ら5人の表意派が、第5期審議会から脱退したことがある。

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