月刊基礎知識
月刊基礎知識トップページへ バックナンバーへ
裏にまわっている人、いた人の特集
―― 田中耕一さんノーベル賞受賞記念
 

プロ野球の裏方たち

審判

umpire プロ野球の審判は選手から転身する場合、アマチュア審判から転身する場合、一般公募で選ばれる場合などさまざまで、特別な資格は必要とされない。採用されると、通常の場合アメリカの審判学校に短期留学する。試合2時間前には球場入りして、試合で使うボールを磨くのも役目のうち。試合後は反省会を行い、レポートを作成する。長嶋の天覧試合で主審を務めた島秀之助(1908〜95)は名審判として知られ、30年にわたってセ・リーグの審判部長を務めた。

ページの先頭へ 戻る

公式記録員

試合中に起こるすべてのプレーに判断を下し、公式のスコアをつける役目。たとえばバッターが打って野手が取れなかった場合でも、それがヒットなのかエラーなのか、または悪送球だったのかなどを瞬時に判断しなければならない。公式記録員の判断は審判と並んで絶対とされる。山内以九士(1902−72)は記録の神様と呼ばれ、1941年広瀬謙三と共同編集した「日本野球規則」が採択されている。1948年から規則委員会委員長をつとめた。

ページの先頭へ 戻る

トレーナー

trainer マッサージや怪我の治療にはじまり、選手のコンディショニング全般を受け持つ役目。アメリカでは大学で生態学・生理学・スポーツ論等を学びトレーナーの資格を取得するが、日本ではトレーナーの専門学校出身者、整体士や鍼灸の資格を持つ人などさまざま。1960年には日本プロ野球トレーナー協会(JPBATS)が発足。研修会を重ね、米大リーグトレーナー協会(PBATS)との交換留学を行っている。

ページの先頭へ 戻る

スカウト

scout 日本人選手はもちろんだが、特に外国人選手の獲得には莫大な金が動くため、スカウトの役割もきわめて大きい。横浜ベイスターズの元渉外担当・牛込惟浩(ただひろ 1936−)は名スカウトとして知られ、ポンセ、パチョレック、ローズなどを獲得してきたが、その秘訣を「あくまで自分の目で確かめること」「性格の悪い選手は避ける」などと語っている。

ページの先頭へ 戻る

グラウンド・キーパー

groundskeeper 人工芝球場の隆盛で次第に消え去りつつある職種ではあるが、土のグラウンドを整備し、コンディションを最良に保つ重要な役目。グラウンドの土はもともと黒土(火山灰)と砂をミックスしたものだが、甲子園では季節にあわせて黒土と砂の割合をかえるのが伝統。ちなみに、人工芝は選手の足腰に負担がかかりすぎると言われている。

ページの先頭へ 戻る

マネジャー

球団にかかわるさまざまなことを一手に引き受ける役目。たとえばチームが遠征に出るときの列車や飛行機の手配、現金の管理(選手の食事、クリーニング代などの雑費も含め、年間に億単位の金を扱うという)、選手が知り合いのために手配する切符の確保などなど、その職域はきわめて広い。また選手の私生活上の教育係を務めることもあり、選手に対してにらみがきくことも必要だという。

ページの先頭へ 戻る

スコアラー

scorer 試合を記録し、情報を整理・分析する役目。「チーム付きスコアラー」と「先乗りスコアラー」の2つに分けられる。「チーム付き」は、当日のゲームに役立つ情報を監督、コーチ、選手などに提供、試合中もベンチ入りし、選手からアドバイスを求められる場合もある。「先乗り」は次回以降に対戦するチームを追って、試合を観戦、情報を収集し、先発するピッチャーの調子や打者の弱点、作戦等をチェックする。1カ月近く自宅に帰れない事もあるという。南海、西武で活躍した尾張久次(1910〜85)がスコアラー第一号とされる。

ページの先頭へ 戻る

打撃投手

バッティング・ピッチャー。試合に出ることなく、選手のバッティング練習のために投げる投手。打者のコンディションを整えるため、なくてはならぬ存在だが、当然のことながらバッターを打ち取るような球、勝負球を投げることはない。ほかにも用具の準備や片付けをし、試合中のビデオ撮影を受け持つことも。そのほとんどは選手として解雇された人々。また、似たような役割にブルペン(bull pen)捕手がある。

ページの先頭へ 戻る

コーチ

選手に対する技術指導を担当。監督を別にすれば、裏方のなかでもっとも脚光を浴びる存在といえる。2002年秋、阪神タイガースには現役時代に通算165勝をあげた西本聖投手コーチと前広島監督の達川光男バッテリーコーチが加わり、田淵幸一、岡田彰布に加え、豪華首脳陣が話題となった。

ページの先頭へ 戻る

野球殿堂

1959(昭和34)年開館、88年新装開館。優秀な競技者のみならず、プロ野球の運営に功績のあった人々を顕彰する施設。正確には財団法人野球体育博物館で、このなかに「野球殿堂」というスペースがある。日本で唯一の野球専門博物館で、表彰された人々すべてのブロンズ製肖像レリーフが飾られ、野球の歴史に関する資料が収蔵、展示されている。

ページの先頭へ 戻る
All Right Reserved, Copyright(C) ENCYCLOPEDIA OF CONTEMPORARY WORDS