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危機管理のキーパーソンからキーワード
 

危機管理の名著

『沈黙の春』

原題は“SILENT SPRING”。レイチェル・カーソン著、1962年。DDTやBHCなどの有機塩素系殺虫剤や農薬など、化学物質による環境汚染を本格的に取り上げ、警鐘を鳴らした書。全米の化学業界や農薬協会などから非難や攻撃を受けたが、同書をきっかけに化学物質規制が大きく前進したといわれる。

日本でも64年に出版。現在、大きな力をもつに至ったエコロジー運動の原点のひとつといえる。

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レイチェル・カーソン

1907〜64年。米ペンシルベニア州出身。ペンシルバニア女子大で動物学を専攻、のちジョン・ホプキンス大大学院修士課程等に学ぶ。商業省漁業局に勤務する傍ら、海洋生物に関するエッセイを執筆。1952年、文筆に専念するため退職。1951年『われらをめぐる海』でジャーナリストとしての地位を確立。2002年は『沈黙の春』出版から40年にあたり、レイチェル・カーソン日本協会などが各地で記念イベントを催した。

遺作『センス・オブ・ワンダー』(The Sense of Wonder)=「神秘さや不思議さに目を見はる感性」も人気。

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『ノストラダムスの大予言』

ノストラダムスの名と、1999年7月、恐怖の大王によって地球が滅びるという予言を一躍有名にしたシリーズ。オウム真理教の思想にも多大な影響を与えたとされる。第1作(1973)から「最終解答編」(1998)まで10冊を数える。結局、人類は滅亡しなかったので、著者の五島勉(1929〜)に対する非難も多いが、そのフィクション構築力を評価する声も(作家・酒見賢一など)。

五島は、竹中労・草柳大蔵とならんで「女性誌の3大ルポライター」とよばれ、トップ屋として活躍。基地の女の問題を扱った『日本の貞操』などを発表している。

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『ノストラダムスの大予言』

(本誌75年版より)

Nostradamus。日本では『ノストラダムスの大予言』という本が百数十万部を売る大ベストセラーになって一躍有名になったが、欧米では昔から予言者としては知られた名で、百科事典にもちゃんと載っている。

1503年に生まれ1566年に死んだフランスの星占い師で医者だった。アヴィニヨンとモンペリエの両大学で哲学と医学を学んだ当時一流の知識人である。その予言的能力が有名になってメディチ家やフランス王アンリ2世などに重用された。

彼の著書 The Centuries(1555年刊)---「諸世紀」と訳しておこう---は彼の死後その予言があまりに多く適中するので注目を浴びた。特に第2次大戦中にその予言の適中が多かったのでブームを起こしたとアメリカの百科事典は記している。

確かに欧米の予言や占いの本を読むとしばしば出てくる名前である。日本では殆ど知られていなかった。ところが1冊の本でたちまち日本中が知る名前になった。日本における情報の瞬時伝達力には驚嘆するばかりである。彼の予言内容はすでにマスコミの多くで紹介されたが一番有名なのは「1999年7の月人類は滅亡する」というくだりである。果たしてそうなるか。

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『日本沈没』

小松左京著。地殻変動によって2年足らずで日本列島が沈むという事態を前に、国民を海外へ脱出させようと努力する政府や科学者たちの行動を精密に描ききったシミュレーション小説。1970年代を代表するSFといえる。上下巻合わせて400万部というベストセラーとなり、映画化、ドラマ化などもされた。

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『日本沈没』

(本誌75年版より)

SF作家小松左京のライフ・ワークといわれる空想科学小説。48年3月に発売されて以来、版を重ねること200回を超え、上・下巻あわせて200万部突破という、一大ベストセラーとなっている。大筋は、日本近辺の地殻の変動で火山爆発や大地震が発生し、わずか数カ月のうちに、日本列島が海中に没してしまうというストーリー。この本の売れる前後に小笠原近海の海底火山の爆発、根室沖の地震、関東平野大活断層の発見など、小説の内容を裏付けるような自然現象が発生し「あるいは…」の感を抱かせた。

しかし専門家の判断によると「日本沈没」は理論的にはありえないことではないが、数千年単位で進行する現象で、今日明日のことではないという。しかしこの本が、地学的関心を大衆に抱かせた効果は大きい。

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小松左京

1931(昭和6)年大阪市生まれ。京都大学文学部卒。在学中は高橋和己と同人誌『対話』を創刊。経済誌記者、漫才台本作家などを経て、SF作家に。SF作家クラブには発足当初から参加。「日本沈没」で第27回日本推理作家協会賞受賞。人類文明が一貫したテーマである。執筆活動以外にも、EXPO'70、EXPO'90でプロデューサー等をつとめる。2002年には、若い頃、モリ・ミノル名義で描いていた漫画が復刻され、話題を呼んだ。

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浅井隆

1954年東京生まれ。経済ジャーナリスト。早大政治経済学部卒。在学中に環境問題研究会などを主宰。一方で学習塾の経営を手がけ、成功させるが、思うところあり、一転、海外放浪の旅に出る。帰国後、同学を中退し、毎日新聞社に入社。写真記者として世界を股にかけるかたわら、独自の取材、執筆活動を展開する。その後、バブル崩壊後の超円高や平成不況の長期化、金融機関の破綻など数々の経済予測を的中させてベストセラーを連発。『98年−2010年に起きる100の出来事』、『2003年、日本国破産』シリーズ、『「構造改革」でも国家破産は免れない 勝ち残り経済学』など。

94年独立。96年には総合情報商社「第二海援隊」を設立し、出版や情報ネットワーク作りなどの業務を展開する一方、執筆・講演活動を続ける。現在、02年発足予定のシンクタンク「戦略経済研究所21」設立に向けた準備を進行中。

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『東京に原発を!』

1981年発表。86年大幅加筆の上文庫化。安全だというなら新宿西口に原発を作ればいい、という刺激的な挑発のもと、原発の危険を最新データ、イラスト、写真を駆使して説く。著者・広瀬隆(1943〜)は早大理工学部卒、技術者出身のジャーナリスト。他の著者に『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』『赤い盾』など。

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『西洋の没落』

ドイツの文化・歴史哲学者オスヴァルト・シュペングラー(Oswald Spengler 1880-1936)の主著。1918-22発表。歴史を出生、青春、老年、死など生物同様に捉え、過去の文化(エジプト、ギリシャ・ローマなど)の段階と現代西洋文化との比較や、その文化内部の数学、物理学、建築、文学などの関連を指摘する。現代文明批判といえるその内容は、文字通り、ヨーロッパの没落を予言したもので、第1次大戦後のドイツでベストセラーになった。シュペングラーは、その後も執筆を続けたが、ワイマール共和国中後半には人気も退き、ナチス時代には不遇。戦後、再評価され、日本では71年、完訳本が出版。

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『現代が受けている挑戦』

1966年刊。アーノルド・トインビー著。古代ギリシア・ロ−マ、中国、オスマントルコの例をあげながら、歴史における加速的変化、逆に不変の要素、社会の分裂、秩序、技術などについて分析、人種・民族・宗教の違いを超えて、世界国家への道を模索する比較文明論。2001年12月、新潮文庫で復刊。立花隆も推薦。

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トインビー,A.J.

Arnold J.Toynbee。1889〜1975年。イギリスの歴史家。幼年時代からイギリス史に親しみ、オクスフォード大学卒業後、アテネに居住し考古学を研究した。第1次大戦中に外務省に入り、パリ講和会議には外交官として列席。ロンドン大学教授、王立国際問題研究所長、外務省調査部長などを歴任。3度来日、日本の知識人にも大きな影響を与えた。

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