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“収穫の秋”で農と食のキーパーソンからキーワード
執筆・協力 編集工房インデックス

小泉武夫

福島県小野町

小泉の生地(1943年生)。福島県阿武隈高原、郡山市といわき市の中間にある。葉たばこの産地として有名。近年では畜産が盛ん。また、1993年にオープンしたリカちゃんキャッスルがあることで知られる。小泉の実家は370年以上つづく酒造家。

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東京農業大学

1891年、榎本武揚により創立された「徳川育英会育英黌農業科」が前身。1893年に東京農学校となり、1925年に現在の東京農業大学が設立。1998年農学部が改組され、世田谷、厚木、オホーツクにキャンパスを持つ。小泉は同大学の応用生物科学部の教授で、醸造科学科の発酵生産科学研究室に所属し、歴史上の酒・食品の再現と醸造学的解析の研究を行っている。

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醸造学・発酵学

カビや細菌・酵母を利用して味噌や醤油、納豆、酒やチーズを作る発酵・醸造技術や、20世紀に入ってから開発されたアルコール、クエン酸、抗生物質、アミノ酸などを生産する発酵技術を研究目的とする学問。DNA技術を中心としたバイオテクノロジー(ニューバイオ)に対して「オールドバイオ」とよばれる。小泉の発酵生産科学研究室は、清酒を中心に酒造と香味特性の解明、ビール酵母の遺伝的解析を主として研究。他に麹、発酵物から分離した各種微生物の有用性、特に抗酸化性、酵素生産などの研究もおこなっている。

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発酵食品

発酵微生物の力を利用して作られている食品。納豆、鰹節、酒、チーズなど。長期保存が効く、素材の発酵前より栄養価が高くなる、独特の臭いが発生するという特徴がある。小泉は世界中に発酵食品を求め回ることから、食の冒険家という異名がある。特に納豆好きは有名で、ここ25年間毎日欠かさず2パックの納豆を食べているという。発酵食品に関する著書として「発酵食品礼賛」(文藝春秋)などがある。

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日本食再考

日本の食糧自給率の低下、農漁業の衰退、ファーストフード店の台頭による伝統的食品の消費減少を小泉は日本の「食の乱れ」ととらえる。また、1960年代から始まった日本人の食生活の乱れは、社会の乱れにも直結するとの見方を示し、発酵食品を含む伝統的な日本食の再考をうながして、スローフードの概念も提唱。人類が発酵食を手に入れた歴史を紹介した著書として「人はこうして美味の食を手に入れた」(河出書房新社)がある。

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スローフード

消滅の危機にある伝統的な食材、料理、質のよい食品、酒の保護、質のよい素材を提供する小生産者の保護、消費者に味の教育を進めることを目的として1986年に北イタリア、ピエモンテ州のブラという小さな村からスタートしたNPO(非営利活動)である。ファーストフードの対義語として使用されることもある。スローフードに関する小泉の著書としては「食の堕落を救え!−スローフードの挑戦者たち」(廣済堂出版)がある。

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ニッポン東京スローフード協会

「日本〜」とも表記。2001年、イタリア・スローフード協会の支部として発足。生産者セクション、消費者セクション、科学技術セクション、デザインセクション、メディアセクションの五つのセクションに分かれて活動している。小泉は科学技術セクションの代表世話人を務める。消費者セクションではスローフードという言葉を広めた島村菜津なども代表世話人を務めている。月刊誌「ソトコト」を中心に運動を広めている。

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島村菜津

1963年、福岡生まれ。東京芸術大学芸術学科卒。毎年、数ヶ月間をイタリア各地で過ごし、美術や映画などの記事を雑誌に寄稿。著書にイタリアの食の思想を取材した「スローフードな人生!」(新潮社刊)、「エクソシストとの対話」(小学館)(21世紀国際ノンフィクション大賞優秀作)などがある。日本の農村改善にも地域密着で活動している。ニッポン東京スローフード協会で消費者セクションの代表世話人を務め、小泉らとともに活動中。

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日本発酵機構余呉研究所

1994年に設立された財団法人。滋賀県余呉町。発酵学の研究を通し、地域の文化と産業の活性化に貢献することを目的とする。学術研究と地域社会との新しい関係を求め、地域の活性化に取り組んできたが、2000年財政難のために解散。小泉は同研究所の所長をしていた。小泉が開発した酵母を使用した日本酒「湖蝶の里」「紫霞の湖」は高い評価を受けている。

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FT革命

Fはファーメンテーション(発酵)、Tはテクノロジー。21世紀の課題である環境問題、人間の健康の問題、食糧生産問題、エネルギー問題を地球にやさしく、人類にやさしい微生物の力で解決しようという、小泉が提唱する構想のこと。小泉はFT革命を21世紀最大の課題ととらえる。また、小泉によると国内の「発酵」に関する総売上は日本の国家予算規模にも達する巨大マーケットであるという。

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