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“収穫の秋”で農と食のキーパーソンからキーワード
執筆・協力 編集工房インデックス

カーギル(Cargill)

多国籍企業

国連の定義では「2ないしそれ以上の国で資産を支配する企業」。カーギル社は世界52ヶ国に販売組織を持ち、800以上の子会社・事業所を持つ世界最大の多国籍企業である。米国やEU等の穀物輸出の担い手であり、世界穀物貿易を支配しているといっても過言ではない。そのため公正な貿易をゆがめていると批判されることもある。カーギル社の企業形態は株式の全てをカーギル家とマクミラン家の関係者が所有する個人企業(privately-held corporation)である。

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穀物商

カーギル社は、ウィリアム・ウォレス・カーギルが1865年アイオワ州コノーバーに小さな穀物集積所を持つ農村の穀物商として設立。1873年には、ウィスコンシン州ラ・クロスへ本社を移転。中西部に多数の穀物倉庫をもつ、中規模な地域的穀物企業(medium-size regional grain company)となる。

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ミネアポリス(Minneapolis)

米国中西部ミネソタ州最大の都市。名前の由来は、コタ・インディアンの言葉で水をあらわす「ミネ」と、ギリシャ語で都をあらわす「ポリス」から。この一帯は平原で大規模に小麦栽培が行われており、しぜんミネアポリスは、世界的な小麦取引・製粉業の中心地となった。1906年、カーギル社はこの地に進出。この頃から社の実権はカーギル家からマクミラン家に移り、1909年にはジョン・H・マクミランが社長となった。本社もミネアポリスに移転し、成長を続ける。1922年には東部ニューヨーク州にも販売組織を拡大し、大西洋岸を含む全米に穀物の倉庫・輸送・通信網を統合。大規模な国家的穀物企業(large national corporation)となる。

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世界企業

1936〜60年にはジョン・H・マクミラン・ジュニアの経営によって、カーギル社は多角化が進み、多国籍企業化した。1956年に、スイスに在外子会社トレーダックス社を設立し、海外販売網を拡充。1958年にはカナダのケベックに港湾エレベーターを建設した。また、パナマに租税対策としてトレーダックス・インターナショナル社を設立するなどして、70年代には五大穀物メジャーのトップとなり、アグリビジネスの代名詞となった。

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アグリビジネス(agribusiness)

1953年に米国のR.A.ゴールドバーグ教授らが用いた語。米国の食料システムを農業の資材供給・生産・流通・加工の各段階からなる統合体してとらえる。農業と農業関連産業との体系的な把握の概念であり、日本では〈農業関連産業〉と訳される。イギリスではフード・チェーン(food chain)という語が同義である。

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五大穀物メジャー

米国のカーギル(Cargill)社、コンチネンタルグレイン(Continental Grain)社、フランスのルイ・ドレフュス(Luis Dreyfus)社、オランダのブンゲ(Bunge)社、スイスのアンドレ・ガーナック(Andre-Garnac)社をいう。1970〜80年代は、これら五大穀物メジャーが、世界の穀物取引を支配。これらは、全て株式非公開の個人所有企業である。1990年代になると多国籍穀物メジャーは再編され、カーギル社とADM(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)社のビッグ・ツー体制となり市場の寡占的支配力が強まっている。

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バイオテクノロジー(biotechnology)

「バイオロジー(生物学)」と「テクノロジー(技術)」を合成した語。生物の持つ働きを利用し、人間生活に役立たせる技術。1972年に細胞融合技術が、また1973年に遺伝子組換え技術が開発され、これらの新しい技術が産業などに広範な影響を与えることが予想されるようになったことから、バイオテクノロジーという語が急速に普及。カーギル社もDNA技術によるトウモロコシなどの遺伝子組換え食品を市場に供給しているが、人体への安全性が問題視されている。

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GATT

関税貿易一般協定。1948年発足。ジュネーブに本部。基本原則は関税・課徴金以外の輸出入障壁の廃止、関税の軽減、無差別待遇の確保であるが、各国間の調整のため多くの例外規定が設けられていた。1995年にWTO(世界貿易機構)に改組。関連機関であり食品安全性基準を決定するコーデックス・アリメンタリウス委員会の中枢はカーギル社などの多国籍企業の代表であり、各国の食料安全保障を脅かすとの見方もある。

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コーデックス・アリメンタリウス委員会(Codex Alimentarius Commission)

1962年設立。コーデックス…はラテン語で「食品基準」の意。FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)の合同食品規格委員会であり138ヶ国で構成。国際貿易における重要食品について、国際的な規格を策定する。但し、実態は食料輸出大国が主導権を掌握しており、カーギル社、ネスレ社等の多国籍企業の影響が大きい。同委員会は各国が独自に設定する食品安全基準を国際基準として低い水準に統一し、貿易の自由化、海外投資の障壁除去にあたる。

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食料安全保障

国民に食料の安定供給を保障すること。そのために国家が政策措置や財政支出を行うこと。日本では1999年に施行された「食料・農業・農村基本法」に基づき、食料自給率の低下、国内農地面積の減少、農業者の高齢化などを背景とした食料供給に対する国民の不安を踏まえ、不測の事態に対する食料安全保障が行われている。

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