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9月は防災の季節
―― +ついでに“ちょっと関連のある”いま話題の〈ダム〉についての用語集
 

ちょっと思い出しておきたい防災・罹災の用語

日常生活にかまけてしまい、“防災”のことは忘れてしまいがち。ましてや自分達が直接経験しなかった地震からえられた教訓などは…。阪神大震災後、巷間にでてきた言葉から防災・罹災時の知恵をひきだそう。

セーフティリーダー

1996年版本誌掲載。以下、

関西大震災を教訓にして、消防庁は、セーフティリーダー(仮称)の養成に乗り出すことにした。セーフティリーダーは企業単位で養成、消防庁の計画では、<1>地震発生のメカニズム、予防対策など、震災対策の基礎知識、<2>初期消火、<3>救助、救急活動などの9項目をマスターする必要がある。カリキュラムは講義が9時間、実技が15時間、1日8時間研修し、3日間で修了する。

消防庁としては、同庁の力だけでは対応できない部分をこれによって補い、併せてボランティア参加志向を高めたいとのこと。

〜現在、災害救援ボランティア推進委員会によって実現されている。

認定者(講習修了者)数 2,578名

http://www.saigai.or.jp/index.html

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命の笛

1996年版本誌掲載。以下、

普通に吹くだけで90〜100ホンと防災ベル並みの音が出る小型の笛。阪神大震災を教訓に、倒壊家屋に閉じ込められたりした際に居場所を知らせる笛として防災アドバイザー山村武彦氏考案。

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災害廃棄物

1996年版本誌掲載。以下、

阪神大震災で破壊された建物などの解体で生じたがれきは兵庫県だけで1300万トンもある。5年分のゴミが一気に出たことになるというが、このがれきの処理が問題だ。コンクリートや木材、金属、さらには家具や電気器具などが混ざっているので、そのままでは最終処分場には持ち込めない。分別が必要なのだが、その時間も人手も不足しているために、とりあえず海岸の仮置き場にがれきを積み、分別を待つ状態になっている。ビル解体によるアスベスト飛散や、廃材などを野焼きした煙や残灰からダイオキシンが見つかったという報告もあり、作業者や被災住民の被害が懸念される。建物はいつかは壊す時がくるものなのだから、解体のことを考えた資材や建築方法を模索するべきなのではないか。

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防災投資

1996年版本誌掲載。以下、

「安全と水はただである」これが日本人の本音であった。本来、両方とも安くないはずである。企業は自身の活動支障を軽減するための防災投資を、人々は自身の安全に、その収入から応分の負担をする。これが原則である。特に大量交通機関などで遠距離から多数の人々を集める都心地域などでは、そのためのシステムづくりが急がれる。例えば都心のデパートや各種のイベント会場などで客の非常食、水、トイレの使用の備えをしたら、コストはどの位かかるのか。買い物料金や入場料金に安全料を含ませることになるが、客足が遠のくほどのコストがかかるとは思えない。その試算をしてみよう。現状では客は路頭に迷う群衆の一部と化す。その前に建物、陳列ケースなどの安全化、救急医療体制の整備が要求される。

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災害弱者

1996年版本誌掲載。以下、

高齢者、幼児、身体障害者など災害時に健常者の介護なしには避難できない人たちのこと。日本語を解さない在日外国人も含まれる。これらの人たちは日常的にもコミュニティから孤立しがちで、行政もほとんど対策をもたない。近隣の人たちが目を向けると同時に災害弱者側からのアッピールも必要である。地震、市街地大火なる構図の中で避難場所として小学校が見直されつつある。例えば寒い冬の夕方に地震が発生したと想定すると、何もない、そして遠い露天の広域避難など現実的でないからである。

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帰宅困難者

1996年版本誌掲載。以下、

災害時に交通機関の途絶のため少なくとも震災発生当日中には帰宅できず職場や出先に泊まらざるを得ない人たちのこと。家族離散であり、飲料水、食料、トイレなどの備え、当人や家族の安否を互いにどの様にして確認し合うかが問題になる。電話は使えないのが原則であり、企業によっては社員の安否を家族に伝える契約を民間ラジオ放送局としているケースもあるが、実効性があるかあるいは企業エゴではないかとの問題がある。現状では連絡手段はないと考えざるを得ない。したがって電池式のラジオにより双方が被害情報を聞き、ただ待つしかない。

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家族防災会議

1996年版本誌掲載。以下、

家族のそれぞれの安全のために、有事の際の役割分担や家庭での備えを皆で話し合う場。地震の発生時間帯に家族全員が揃っている方がむしろまれと考えておくべきだろう。我が家が被災した場合の避難先を幾つか挙げておき、それぞれが落ち合う場所をメモし必ず身に付けておく。そのとき誰が何を持ち出して避難するかを決めておく。災害弱者がいる場合、そのケアはどうするか、結局は我が身の安全と家族の安全は、自分たちで守るのが原点であることを確認し合う場である。

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避難誘導

1996年版本誌掲載。以下、

一般に地震による市街地大火災から市民を安全に避難場所まで誘導することをいう。市民の身に危険が迫り避難が必要な場合の避難勧告(命令)は災害対策本部長である市長などが発令するよう法で定められている。誘導の任に当たるのは警察官や各地の自主防災組織のリーダであり、多くの場合、予め地域防災計画で指定避難場所が定められているが、風向き等によりその都度変更され、その意志決定は多分にリーダーまかせになると考えられる。その際、相当混乱が生ずると予測され災害弱者や負傷者達も含まれる集団を無事に避難させる責務は重い。

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災害医療/トリアージ

1996年版本誌掲載。以下、

災害時の救急医療は、捜索・救出活動、応急処置、トリアージと病院搬送、病院医療と後方病院への転送の各要素から構成される。最初のそれはガレキの下などに生き埋めになっている人たちを救助犬などで捜すこと、次いで一般の医師や所定の訓練を受けた人々による応急処置と救急所への搬送である。トリアージとは、生存のため直ちに措置しなければならない、すぐには処置しなくても生存できる、如何なる措置を行っても生存の期待ができないの3つに患者を区分することである。軍事医学に通ずる分野であり、わが国では特別な訓練をうけた医師にしか周知されていない。

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防災行政の限界

1996年版本誌掲載。以下、

地域防災計画では行政各部署の役割分担が定められ、勤務時間外の職員の非常参集に関する事項も明記されている。だが消防職員のように教育・訓練が徹底されている部署構成員を除けば、一般職員の認識は薄いのが実態であった。阪神・淡路大震災後は、計画見直し、事態改善が進められているが、災害時には消防を含め行政職員もまた被災者になるわけで、この時の家族の安全と職務の選択なる役割葛藤は必ず起こる。大都市では行政職員も遠距離通勤者が多い。従って防災行政には自ずと大きな限界がある。自主防災組織の育成、家庭での備えが強く望まれる所以である。

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激甚被害

1996年版本誌掲載。以下、

「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(激甚法)」に基づいて指定。復旧事業の際に手厚い措置が受けられる。

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情断

1996年版本誌掲載。以下、

情報の断絶。阪神大震災では、官邸、県庁から企業に至るまで正確な事態の把握に手間取り、それが初期動作を遅らせて災害を加速した。

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噴石現象

1996年版本誌掲載。以下、

直径数センチもの石が地面から噴き出す現象。阪神大震災で発生していた。地盤の液状化の一種とみられるが、普通の液状化で噴くのは砂か、せいぜい小石程度。地震で大きな石が噴いたのは世界にも観測例がないという。

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危険度判定士

1996年版本誌掲載。以下、

被災建物の二次災害防止のため、被災建物の危険度を判定する人。応急危険度判定制度により、赤(危険)、黄(制限つき立ち入り可)、青(使用可)の検査結果の表示を入り口に掲示する。

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災害時ユートピア

1996年版本誌掲載。以下、

災害後一時的に人間愛に満ちた相互助け合いが活発に行われること。社会学者マイケル・バークンの指摘。阪神大震災では倒壊家屋に多くの生き埋め、閉じ込めが発生、その数二○万人以上と推定されるが、その大半が家族や近隣の人に救出された。駆けつけたボランティアと被災者の間には善意に溢れた人間関係が生まれた。

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クラッシュ症候群

1996年版本誌掲載。以下、

交通事故や労災事故で手足をはさまれた人が、救出後、腎不全や心不全になる全身障害。壊れた筋肉から出るカリウムなどが原因。外見では患部が腫れ上がっただけだが意識が混濁する。阪神大震災で、被災地から大阪府内の病院に転送された負傷者の約3割がかかっている。

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帰宅難民

1996年版本誌掲載。以下、

地震で交通網が寸断されたとき生じる帰宅困難者。東京都防災会議は、交通手段が途絶え、徒歩で帰ろうとしても9時間以内に帰りつけない人を「帰宅困難者」と定義している。アンケートなどをもとに計算したところ、約243万人にのぼっている。

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自助・共助・公助

1996年版本誌掲載。以下、

義援金1000万円余を兵庫県知事に手渡した越森幸夫奥尻町長の談話。「災害から復興するのに必要なものが3つある。家族や親類全体で力を合わせる自助、地域の力を借りて頑張る共助、行政の支援による公助。1つでも欠けたらだめ。この3つがあれば辛抱も我慢もできるはず」

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震災離婚

1996年版本誌掲載。以下、

阪神大震災のとき夫が妻を置いて逃げようとしたことなどをきっかけに、夫婦間に亀裂が入り、それが原因で離婚すること。

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震災商法

1996年版本誌掲載。以下、

破損した家屋修理をめぐる悪質商法。苦情や相談が関係機関に相次いだ。

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元気復興委員会

1996年版本誌掲載。以下、

神戸商工会議所と神戸市が設立。「We love Kobe、よみがえれKOBE、がんばれ神戸っ子」がキャッチコピー。

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復興宝くじ

1996年版本誌掲載。以下、

全国自治宝くじ事務協議会が発売主体になった「兵庫県南部地震震災復興宝くじ」。

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警戒宣言がでたらこの路は通れない(警視庁)

大震災発生時、クルマで移動する必要がなければそれに越したことはないが、クルマをつかう場合でも以下の道路は緊急車両以外は通行制限。知っておいて損はない。

第一京浜国道・第二京浜国道・中原街道・目黒通り・甲州街道・川越街道・高島通り・中山道・北本通り・日光街道・水戸街道・蔵前橋通り・京葉道路・東京環状線(国道16号線)

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警戒宣言がでたらこの方向には進めない(警視庁)

大震災発生時、クルマで移動する必要がなければそれに越したことはないが、クルマをつかう場合でもこんな交通規制が決められているから知っておいて損はない。

環状7号線の内側の道路で都心方向に向かう車両

神奈川県・山梨県方面に向かう車両

埼玉県・千葉県境から都内へ流入する車両

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