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相次ぐ企業不祥事と謝罪で特集
――謝るってなんだ/信頼ってなんだ/怒るってなんだ/被害ってなんだ
 

最近の食品関係の不祥事用語集

最近の不祥事は、少し前の食中毒事件や品質保持期限不正表示事件と異なり、本質的には消費者の生命にかかわるような問題ではない。が、責任追及・商品回収・不買といった抗議の動きは相当に強い。問われているのは虚偽表示の場合は「信用」の問題、牛肉偽装の場合は「国家(国民が払った税)に対する詐欺行為」に対しての抗議である。問題となっている用語自体の“毒性”は低めだ。

アセトアルデヒド

協和香料化学の無認可添加物製造・出荷問題(2002年5月〜)で使われていた香料。いわゆる「酒臭い息」の正体はこれ、エチルアルコールが体内で酸化されて生成するアセトアルデヒドの臭気である。なのでたいした毒があろうはずもなく、じっさい添加物・残留農薬についての国際基準ともいえる合同食品添加物専門家委員会(JECFA:世界保健機関〈WHO〉と国連食糧農業機関〈FAO〉でつくる)も、香料として使用する場合、安全性に問題はないと評価している。安全性に問題があることが責任追及の対象なのではなく、あくまで違法行為であること・また消費者に対する信用の問題だ。

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ヒマシ油

協和香料化学の無認可添加物製造・出荷問題(2002年5月〜)で使われていた成分。ヒマシ油はトウゴマの実を絞った油で“不味い下剤”としても使われるくらいので、たいした毒性があろうはずもない。日本でも用途によっては認可の添加物だが、今回の事件では「溶剤」としてこれを使用したため違法となった。

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TBHQ(t―ブチルヒドロキノン)

ミスタードーナッツ無認可添加物問題で使用されていた酸化防止剤(油脂などの酸化を防ぎ保存性をよくする)。中国や合衆国では使用が認められている。

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ADI(acceptable daily intake)

(有害物質の)一日摂取許容量。農産物に対する農薬残留基準設定のもとになるもの。各化学物質ごとに使用基準が設定されている。

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2−メチルブチルアルデヒド

協和香料化学の無認可添加物製造・出荷問題(2002年5月〜)で使われていた香料。ブラックティー・フレイバーに使われた。じっさいには添加物・残留農薬についての国際基準ともいえる合同食品添加物専門家委員会(JECFA:世界保健機関〈WHO〉と国連食糧農業機関〈FAO〉でつくる)も、香料として使用する場合、安全性に問題はないと評価している。

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イソプロパノール

協和香料化学の無認可添加物製造・出荷問題(2002年5月〜)で使われていた香料。カシスフレーバーとブルーベリーフレーバーに使われた。発酵臭を強調する。世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)の委員会で香料としての安全性が認められており、健康への影響はないという。米国や欧州連合(EU)では使われている。

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中坊公平

無認可添加物問題の影響(社会的制裁)によって、大きく業績悪化したダスキンが、助言を得る外部識者になってもらうことを氏に要請した。こういう窮地に声をかけられやすい人である。

弁護士。1929年8月2日生まれ。京都市生まれ。京大法学部卒。57年弁護士開業。73年の森永砒素ミルク事件被害者弁護団長、同年の千日デパート火災テナント弁護団長、85年豊田商事の破産管財人、75年からはじまる香川県豊島産業廃棄物問題の弁護団長などを務める。90〜92年、日弁連会長。バブル後の住専問題にも活躍、99年4月〜2001年1月、公的不良債権回収機関・整理回収機構の初代社長。京都の旅館「聖護院・御殿荘」の経営者でもある。

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公益通報者保護制度

内閣府が、消費者保護行政をいっそう強化する方向で検討している制度。内部告発者を企業の迫害から守るというもの。これで企業に不正行為を踏みとどまらせる抑止力にしようともくろんでいる。2003年夏までに内容を固める予定。

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牛肉買い上げ制度

BSEの感染・蔓延を防ぐため、牛の全頭検査開始(2001年10月18日)の以前に解体された国産牛肉を業界団体が買い取り、代金を国が団体に支払う仕組み。肉の保管料、買い上げなどに国費約300億円を投入される。当初から、運用のチェック体制が甘いことは指摘されていたが、雪印食品や日本ハムのように、それにつけこんで偽装牛肉で補助金を不正に得ようとするものがでてしまった。

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松阪牛

高級和牛の横綱格。東急百貨店子会社のセントラルフーズが、同じく高級牛の米沢牛をこれに偽装して売ろうとしたほどのブランド和牛。BSE感染牛が日本でも発見され、全体に信用の落ちている昨今の牛肉市場で、徹底した飼育管理・品質管理によって顧客の支持を得て価格もさらに高騰している。

兵庫県但馬地方からきた生後7〜8ヶ月ほどの雌子牛を約3年間、農家の手で1頭1頭大事に育てる。もちろん肉骨粉など論外で、稲わら、ふすま、大豆粕、大麦などによって肥育される。食欲増進のために与えるビールや焼酎でのマッサージはよく知られるエピソード。

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米沢牛

高級和牛。東急百貨店子会社のセントラルフーズが、高級牛の最高峰・松阪牛に偽装して売ろうとしたほどなのでかなり美味い。松阪牛同様、全体に信用の落ちている昨今の牛肉市においてもブランド牛として善戦している。「冬は一面の雪に覆われ、夏は温度が高く蒸し暑い。人間にとっては厳しい環境も、いい肉牛を育てるには最適。子牛から約2年間、少しずつじっくりと丈夫な牛に育つ」(米沢牛PR)。「西の松阪、東の米沢」ということばもアル。正式な定義は「肉牛の種類は、黒毛和種とし、置賜管内3市5町の畜産農家で12カ月以上飼育したものとする。規格は、日本食肉格付協会で定めるА-5、B-5と格付けされたもので枝肉重量は、雌330kg、去勢380kg以上とする。」

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