月刊基礎知識
月刊基礎知識トップページへ バックナンバーへ
最近、失速したキーパーソンからキーワード
〜次にこういうのが出てきたときに役立つ政治家用語の基礎知識
執筆協力 編集工房インデックス

鈴木宗男

口利き

談判・相談などをまとめるため、間を取り持つこと。仲介、斡旋。しばしば政治家が業者などの便宜をはかってやること。日本の行政は政治家や秘書による口利きによって成り立っていると言われ、鈴木宗男はそうした政治家の典型とされる。政治家や首長の口利きを規制するため、あっせん利得処罰法(→別項)が2000年11月成立、翌年3月に施行された。

ページの先頭へ 戻る

不逮捕特権

免責特権、歳費請求権と並ぶ、国会議員の特権の一つ。国会の機能を維持するためにある。国会外での現行犯でないこと、国会の開会中であること、所属する議院による逮捕許諾が出されていないことの3要件を満たした時には、逮捕されない。2002年6月の宗男に関しては、国会会期中であったものの衆議院の逮捕許諾をうけたうえでの逮捕であった。

ページの先頭へ 戻る

族議員

特定の政策分野に強い関心を持ち、精通する議員。その“強い関心”“精通”が、必ずしも国民の利益に向けられているわけではないところが問題となる。つまり、しばしば、関係省庁や業界団体の声を代弁することになる。それは行政改革や規制緩和の障害となる場合が多く、特に特殊法人改革の行方を左右するともいわれる。宗男は「外交族」の有力議員だった。とはいえ“強い関心”や“精通”こそが政治の原動力であって、宗男のためにハンスト(→◆ハンガー・ストライキ)による抗議を行った佐藤・元分析官の真意も、彼のそんな政治力に対する信奉である。

ページの先頭へ 戻る

ムネムネ会

鈴木宗男を囲む若手議員の会。1996年の衆院選で初当選した橋本派議員を中心に結成、鈴木派結成への布石とも言われていた。2000年6月の名簿には、約30人の衆参国会議員の名前が記載されている。メンバーによれば「鈴木氏と酒を飲みながら意見交換する会」というが、「鈴木氏とともに自民党外交部会や農水部会で大きな声をあげる『鈴木応援団』といった印象」との声も。宗男氏の逮捕で失速。

ページの先頭へ 戻る

秘書出身

宗男は1969年、拓殖大学政治学科在学中より中川一郎(1925〜83。農相、科技庁長官など歴任)の秘書となって政治キャリアをスタートさせた。ほどなく公設第一秘書に。「金庫番」として力をふるった。83年、中川の変死後、後援会はその長男・昭一を後継者に選んだが、宗男は自ら総選挙へ立候補、当選を果たした。

議員秘書を長年勤めると、議員本人よりも地元の実情に通じるようになるうえ、“汚れ仕事”で鍛えられ、政治的な駆け引きや、政策実現への強引な“腕力”などに長けるようになる。宗男もそんなひとり。一方、国政全般、国際感覚にうとく、政策力もなくなりがちだが、宗男は持ち前のバイタリティでこれを克服した。

ページの先頭へ 戻る

あっせん収賄

公務員や議員が他者からの依頼により、他の公務員に職務上の不正行為をさせたり、当然すべき行為をさせないようにして、(見返りに)わいろを受け取ること。あくまで公務員や議員の立場であっせんすることが必要であり、また正当な行為のあっせんは罪にならない。2002年6月、宗男が逮捕されたのがあっせん収賄容疑。

ページの先頭へ 戻る

疑惑のデパート

宗男が数多くの疑惑にまみれていることをさしていう。週刊誌による命名とのこと。主なものだけでも、国後島の友好の家(通称ムネオハウス)の入札関与、ケニア政府開発援助(ODA)に関して建設業者からの献金、タンザニアの中学校の講堂建設費用の出所、など枚挙に暇がないが、じっさいに逮捕されたのは比較的小規模ともいわれる「やまりん」献金疑惑で、「逮捕のための逮捕」とささやかれた。

ページの先頭へ 戻る

ハンガーストライキ

要求を通す手段として断食すること。宗男の側近とされる外務省国際情報局の元主任分析官・佐藤優(帝政ロシアの怪僧にちなんでラスプーチンなどと呼ばれる人物)は宗男の逮捕時、背任罪で東京拘置所に勾留されていたが、宗男の逮捕に抗議して48時間のハンガーストライキに入った(→◆族議員)。自分のためにハンストしてくれる人がいるような男が、日本に何人いるといえようか。

ページの先頭へ 戻る

恫喝

おどして恐れさせること。宗男は「恫喝政治家」などと呼ばれ、大声で相手を威嚇し、自分の主張を通すのが流儀。しばしば外務省のキャリアを呼んで恫喝していたというが、本人によれば、「私の声は大きいから誤解を招いた」とのこと。どちらかというと子供じみたこの手法がキャリア官僚には利くようだ。

ページの先頭へ 戻る

極貧

きわめて貧しいこと。事実はともあれ鈴木宗男のセールスポイントの一つでもある。生家の経済状態にふれて「裕福でない」という表現があると「貧困と書け」とクレームをつけたとも。また、小泉首相の「米百俵」にちなんでか、「馬一頭」というエピソードを自ら語っている。上京するとき、父親が一番よい馬を売って金をつくってくれたというもの。

ページの先頭へ 戻る

議員辞職勧告決議案

その職にとどまることがふさわしくないと判断する国会議員に対して、国会が辞職を求める決議案。議員の国会外での不祥事などに対し、院としての権威を保つため提出されることが多い。2002年3月と5月、宗男に対し野党から提出された決議案は衆議院運営委員会によって本会議への上程を否決された。

ページの先頭へ 戻る
All Right Reserved, Copyright(C) ENCYCLOPEDIA OF CONTEMPORARY WORDS