月刊基礎知識
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やってくるはずの危機は本当にきたのかの用語集
著者 白鳥 敬

この10年、毎年おこる「××年問題」

2002年問題

“ゆとり”を重んじた2002年の学習指導要領改訂によって行われる国公立学校のカリキュラム30%削減、またそれによって生じるのではないかと懸念される児童・生徒の学力低下のこと(→◎新学習指導要領で勉強しなくなった課目と単位)。

私立学校は、独自のカリキュラムを組むことで、この懸念とは無関係。

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2002年問題(その2)

いわゆる「大学全入時代」(→◆2006年問題)が、短期大学で起こる年。それまででもすでに地方の短期大学では、定員割れ、閉鎖などが起こっていた。

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2003年問題

東京駅前・汐留・品川・六本木など都内で進行中の都市開発における大型新築オフィスビルが、2002-03年にかけていっせいに完成し、オフィスの大量新規供給が行われること。また折からの景気低迷から入居需要の不振が懸念され、これによって空室率の大幅上昇と賃貸料の急激な下落の可能性が予想されていること。

借りる側からみれば好ましいことであるが、ビル業界からみれば、生き残りをかけた激しいテナント獲得合戦である。

問題の原因は、96年から97年にかけて国鉄清算事業団が、汐留や品川など大規模超一等地を一斉に売却したその地域の開発が一斉に進められていたこと。それに各地の大規模市街地再開発事業が重なったことである。

2003年に完成する物件のうち3分の1ちかくが自社使用ビルであるため、この懸念を楽観視する向きもある。

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2003年問題

年金保険料総報酬制の導入。2003(平成15)年4月からはボーナスにも月例賃金と同率の年金保険料が課せられる。従来、ボーナスは特別保険料(労使込みで1%)の徴収対象だった。新しい年金保険料は厚生年金の場合、13.58%となる(月例賃金に対する年金保険料は引下げとなるものの、ボーナス保険料を加えた保険料総額は不変)。総報酬にかかわる給付乗率も1000分の5.481に変更される。なお保険料徴収対象のボーナスには1回当たり150万円の上限が設けられる。多くの産業でボーナス支給がかんばしくないおり、“問題”である。

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2006年問題

2002年問題としていわれる学習指導要領改訂にそって教育された“基礎学力が十分ではない”子供が、大学に入学してくる年をさして、2006年問題という。大学とくに理数系の関係者でいわれる言葉である。学習指導要領は高校課程では、2003年度から施行される。具体的には、中学理科でそれまで教えられていた「遺伝」や「イオン」が高校課程へ。しかもその高校課程では、物理、化学、生物、地学は1科目を選択すればよいので、それらを学ばずに大学の理科系学部にも入ってくる学生がでてきかねないのだ。現在でも「学力低下」によって、大学1年次に高校課程の補習を行わねばならないような事態であってみれは、この問題視も当然といえる。

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2007年問題

「大学全入時代」(→◆2006年問題)は2007年であるという説もある

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2008年問題

2008年には国債償還額が40兆円となり、「従来から見まして、例年から見ましてぴゅっと飛び出ておることは事実」(塩川財務大臣)であるということ。

2002年度から2007年度までの6年度の予算に、この40兆5000億円のうち一部(5兆2500億円分)を少しずつならすように割り振るというのがその対応策だというが、いったいそれで何が解決したというのか。

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2009年問題

いわゆる“大学全入時代”。

わが国では引き続き少子化が進行しており、2009年には18歳人口が120万人になる。統計的にはこのうち70万7000人が大学入学を志望する。そして大学側が用意するとみられる入学生受け入れ枠が同じく70万7000人であるため“全入”状態になるといわれている。もちろん「選ばなければ誰でも入れる」の意だが。

大学側も質の高い学生を獲得すべく入学競争をつくることが必要であり、そのため現在も定員減などで対応しているが、経営規模等々との関係でそれにも限界があり、志望者減のスピードに追いつかない学校も多い(定員割れ)。

上記の2009年予測は文部科学省によるものであるが、基数である「年齢別人口」は少々減りこそすれ、増加することはありえないので、“進学熱が異常に高まりでもしないかぎりは”必ず起こる問題である。

大学側にとっては学生の質が低下するばかりか、大学のランク付けが意味をなさなくなり、大学に対する既存の価値観が崩壊することになるであろう。志望者にとっては目的意識の希薄化などが心配される。。

現実には2004-05年から、受験が「大易化時代」に入っていくとされる。

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2010年問題

戦後のベビーブーム世代である団塊の世代が、大量に定年期を迎えることによって生じる人手不足問題、および退職金の大量発生問題。

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2000年問題/Y2Kバグ(Year 2000 bug)

「××年問題」の元祖。

西暦2000(平成12)年になったとたん、コンピュータシステムに誤作動が発生するという問題である。この問題は、コンピュータの処理能力が低かった時代にデータ量を節約するために年号を西暦の下2ケタで管理してきたのが原因である。当時は「この問題が原因で誤作動による核戦争がおこりかねない」という報道がされるほどの大危機であったが、ソフト会社によって対応のプログラムが整備されていたこと、またSEさんたちが年越しでコンピュータに張りついてがんばってくれたおかげでか、大事には至らなかった。

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