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戦後史のお金事典
いまの私たちは“どれだけ窮まっている”のか?
 

その他のお金

引揚者給付金

1958年版本誌収録。以下、
戦後外地から帰ってきた引揚者は、たいてい外地でもっていた財産を大部分なくしてしまっている。そこで「戦争の犠牲者であるわれわれを政府が面倒をみるのは当然だ」として、一世帯あたり30万円ないし15万円の国家補償を要求してきた。これに対し政府は総額500億円を公債の形で年収50万円以下(夫婦で働いている場合は合計60万円まで)の引揚家庭へ交付することに第26国会できめた。この公債は利子が年6分で、今後10年間に償還されることになっている。だからすぐ現金を欲しいものはその公債を売って金に替えなければならないが、その場合は国民金融公庫が買上げたり、事業や商売をやる資金を貸したりする予定である。

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花代減税

1958年版本誌収録。以下、
従来は芸者をあげて遊ぶとその花代に対して3割というかなり高い遊興飲食税がかけられていた。ところが第26通常国会で地方税法が改正されこれが半分の1割5分に引き下げられた。しかもいままで財政の苦しい府県では、そのまま実施しなくともよいという例外規定があったが、これも削除されたので、各府県とも軒並み1割5分となり地方財政の収入はそれだけ減ることになったわけである。これは結局、こうした遊興を奨励する結果となるが、一方において新生活運動をとなえ、売春禁止を実効あるものにしようとしている政府の処置としては、一般に理解されないものがあるとされている。その裏に料亭方面からの猛運動もあったとうわさされた。

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サラ金(サラリーマン金融)

1977年版本誌初出。以下、
無担保、即融資のキャッチフレーズで、すぐカネを借りられる手軽な街の金融機関として業者乱立の高成長をあげているが、このごろでは競馬競輪などのギャンブル資金やバーの飲み代調達の段階を超えて不況に苦しむ零細業者の経営資金や主婦の家計費ヤリクリにまで利用が広がった。現行法では都市府県に届け出すればだれでも開業できる。暴力団関係とみられる業者もふえ、法外な高金利をとっても制裁はせいぜい罰金どまりで営業取消しもしない。こうしたことから法改正、監督の強化が叫ばれはじめた。

★“時の流れに洗われる”までは、どんなものでも危険なところがある。

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M資金

本誌1982年版収録。以下、
かつての連合軍総司令部のマーカット経済科学局長の頭文字をとったもので、同局長が戦後の混乱期に摘発した隠匿財産をもとにした1000億円の秘密資金などといわれるが、正体は不明。不況期になると、詐欺師や悪質ブローカーが、この資金を低利で融資するといった話をもちかけ相手をだます。自殺した俳優の田宮二郎もこれにひっかかり、食いものにされたといわれるが、実体がつきとめられず、警察も手を焼いている。

★いまでも(不景気なので)きかれる言葉である。

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使途不明金

本誌1982年版収録。以下、
賄賂や裏リベートなど使途や支払先を明らかにしない金のこと。税法上、支払先の明確な経費などの支出は損金として控除されるが、使途不明金は損金として認められず、益金処分として課税される。国税庁が明らかにした大企業(資本金1億円以上)の過去5年間の使途不明金額は、昭和50事務年度(7月から翌年6月まで)236億円、51事務年度295億円、52事務年度242億円、53事務年度337億円、54事務年度321億円となっている。使途不明金に対して、フランスなどでは、特別課税(税率は原則として120%)を課すという重課措置がとられているが、現在わが国では制度上、技術上の問題があり、このような重課措置はとられておらず、重加算税を課すのみである。

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