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戦後史のお金事典
いまの私たちは“どれだけ窮まっている”のか?
 

農業のお金

農中余裕金

1955年版本誌収録。以下、

農林中央金庫に手持される一時性遊金をいう。これは、供米購入のため食糧管理特別会計から交付される資金の支出未了分と、農家から預金の形式で還流してくるものとであるが、この余裕資金は、農林漁業の育成事業に貸し付けられ、またコールその他の短気金融にも利用される。昭和29年度は、750億円にのぼると予想され、その運用如何によっては、デフレの効果に影響するというので、政府はこの余裕金で食糧證券を買わせる意向である。

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自作農維持資金

1954年版本誌収録。以下、

農地改革で創設された自作農や従来からの自作農が病気その他で生活に困り、農地を売って小作農に化するのを防ぐために自作農創設特別措置特別金庫の余裕を農民に貸し付ける制度。この特別会計は農地改革の農地の買上げをするのが本来の目的であるが、農地改革の売渡代金の一時払いが多かったので、この頃は余裕金が生じたので26年からこの自作農維持資金を出している。

その方法は、自作地を農家から国が買収した形をとり、同時に農家はこれを買い戻し、これを年賦で買収代金を支払う方式になっている。実際上は長期低利資金の融資であるが、農業委員会において取り扱うことになっている変態的なものである。現在は土地担保金融制度がないので、その代わりをしているが、貸付限度が1反あたり5000円にすぎないのみならず、年間に貸出すことのできる総額が、26年度、27年度においては全国で6億円という制限があるので、まだ普遍的な金融制度とはなっていない。

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開拓信用基金

1954年版本誌収録。以下、

開拓地の農業金融を円滑にするため28年度から設けようと農林省が提出している法案。同基金は開拓者に対する金融機関の生産資金貸付についてその債務を保証することをねらいとし、現在自主的に設けられている開拓信用基金協会を法人化するとともに、国が基金を出資することになっており(28年度分1億円)、生来は10億円まで基金を増やす計画である。基金の運営は中央に中央基金協会、各地方に地方基金協会を設立してこれに当たるが、地方協会の会員には開拓農協とその連合会が加入する。

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おそ出し奨励金

本誌1970年版収録。以下、

昭和43年産米価決定に際して実施された政府買い入れ米に対する「出荷調整金」のこと。過剰米が滞貨して食糧倉庫に収容しきれなくなったため、農家からの出荷を抑制する措置としてとられた。調整金の単価は、政府米倉庫と同程度の保管料と米代金の金利との合計を1俵1カ月あたり54円ときめ、200万トン、60億円を予定していたが、その後受け入れ態勢が好転したため実際にはその一部しか支払われなかった。生産者側は、この調整金を米価の一部とみていた。

★農業政策に対してのお金は、一貫性があったとはいえないようだ。

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離農給付金

1975年版本誌収録。以下、

完全離農を促進して経営規模拡大を図る手段の一つ。55歳以上の人で第三者に農地を移譲して農業構造の改善に寄与する人に対し、50アール以上の場合35万円、50アール未満の場合15万円の国庫からの一時給付金を出す。

★自作農維持資金(→別項)から20年後のことである。

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