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政治につきもののお金の事典〜収入編〜
秘書給与のピンハネくらいで足りるのか?
執筆・協力   齋藤信義(ジャーナリスト)

「オモテ金」

歳費

国会議員が国から受ける給与(公務員・特別職員としての給与)は、「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」で定められていて、基本給にあたる「歳費」が年1,650万円、期末手当が約750万円、文書通信・交通費が1,200万円、立法事務費が780万円。合計すると、年間約4,380万円になる。ただし、立法事務費は議員個人ではなく政党に支払われるのが建前。…であるが、そのまま議員個人に渡されているケースが多い。このほか、派遣旅費、JR無料パス、選挙区・東京間の航空運賃(月3往復)、国会開会中の役員手当などが支給される。これらが国政を行うための「表金」だが、この金額だけで“政治活動”を行う議員はほとんどいない。なかには「歳費は小遣い」と豪語する議員もいる。

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政党助成金

“どうしてもお金がかかってしまう”政党の政治活動を税金によって援助するシステム。1995年度から実施された。国民1人あたり年間250円を「政党助成金」として、申請のあった各政党に分配している計算となる。ちなみに、日本共産党は申請を行わないポリシーである。総額では300億円を超す金額で、政党の所属議員数、国政選挙での得票率に応じて分配される。自民党は約145億円、民主党でも約76億円という大金だが、この金は議員個人には配分されない。自民党を例に取れば、“このため”に“この金”によって、執行部の権力は飛躍的に強化された。(→「選挙資金」

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政治献金

議員への献金(寄附)は、政治資金規正法によって厳しいルールが定められている。(1)議員個人への献金禁止(政治家が1団体に限り指定できる資金管理団体に寄附する。それができるのも個人による場合のみで、企業・労組等の団体は、資金管理団体にすら寄附できない)、(2)5万円以上(年間)の献金者は氏名を公表、(3)個人による政党及び政治資金団体への寄附総額の上限は年間2,00O万円、これとは別枠の資金管理団体(各政治家が指定)への寄附は、1件年間150万円上限・総額1000万円上限、(4)企業・労組等団体による寄附は、政党及び政治資金団体に対してのみで、資本・構成員規模に応じて750万円以下から1億円以下。といったところが主な項目だが、いまだ抜け道は多いとされる。資金集めが以前より難しくなったのは事実だが、ヤミ献金がいっそう巧妙になっただけとの指摘もある。

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政治資金パーティー

表だってお金を集めるためには、もっとも便利な方法。「政治を語る」でも「出版記念」「叙勲お祝い」でも名目は何でもよい。要するに、パーティーを開いて“パー券”を売り付けるのである。1人に150万円以上売ってはいけないなどの“決まり”(=政治資金規正法)があるが、抜け道は多く、歯止めにはなっていない。現在のパーティー券の相場は自民党で3万円程度、野党の場合は2万円程度が多い。一時は5万円というパーティーもあったが、最近では相場がだいぶ下がっている。この種のパーティーには飲食物はほとんどないので、参加者は「そこでモトをとる」ことはできないし、だいいちそういう目的ではない。逆に、主催者側からみれば、パー券収入はほとんど実収入になる。1つのパーティーで2,000〜3,000人集めるが、実際に売っているパー券はその2倍から3倍が常識。ひと晩で1億円以上の収入はザラという。

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選挙資金

選挙のときに、政党から“公認証書”と一緒に渡されるお金。金額は政党によってさまざまで、なかには共産党のように渡さない政党もある。もっとも高額なのは自民党で、大臣経験議員には500万円、当選回数の少ない議員には1,000万円といわれる。党幹部から直接渡される。昔から「お金ににおいなし」とはいうが、この金の原資が政党助成金であってみれば問題である。このほか、派閥からは最低でも同程度の金額が選挙資金として渡される。ただし、実際の選挙は「1-3億円程度は当たり前」といわれていて(衆議院選挙)、これだけでは全然足りず、派閥や“支援団体”の援助を受ける。

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