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経済のキーパーソンからキーワード
日本の経済を動かしているのはどんなひとなのか
執筆協力   編集工房インデックス

奥田碩(おくだ・ひろし)

日本経営者団体連盟

略称日経連。経済4団体の一つ。「経営者よ、正しく強かれ」のスローガンを掲げ1948年設立。業種別団体と47都道府県の経営者協会からなる。戦後の労働組合の組織拡大に対して経営者の権利を守るため設立された背景から、財界労務部ともよばれ、春闘などに強い影響力を有していたが、最近では労働問題全般への政策提言などに重点をおいていた。奥田は1999年から会長職。2002年5月、経団連と統合し、日本経済団体連合会(→別項)に。

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経済団体連合会

略称経団連。経済4団体の一つ。産業・金融・貿易など各業界団体の全国的連合団体。1946年発足。『現代用語の基礎知識』1948年版には「しばしば政府や国会に意見書を出して、資本家陣営の牙城と称せられる」とある。1952年、業種別団体の総合団体として改組。経済4団体のなかで最も大きな影響力をもつが、1993年の政治献金斡旋行為の中止後、力を弱めたとも。政府・国会への建議もおこなう。会長は今井敬・新日本製鐵会長(98〜)。2002年5月、日経連と統合し、日本経済団体連合会(→別項)に。

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日本経済団体連合会

日経連と経団連の統合により、2002年5月に発足する。奥田が会長を務める。副会長は経団連から9人、日経連から4人が横滑り。日本経済の立て直し役としての期待がかけられている。奥田は会見において、「政治と対立、協調し、日本経済をどん底から早く引き上げるため懸命の努力をしたい」と述べた。

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ワークシェアリング(work sharing)

「仕事の分かち合う」こと。人員削減を回避する手段の一つとして注目されている。従業員ひとりあたりの労働時間を減らして、そのぶん雇用を増加・維持するしくみのこと。導入に慎重な企業が多いなか、奥田は雇用を確保するため緊急避難型(従業員全体で労働を分担)のワークシェアリングを提案している。

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トヨタ自動車

日本を代表する自動車メーカー。1937年、トヨタ自動車工業設立。奥田は1955年、トヨタ自動車販売入社。1982年、工販合併(製造部門であるトヨタ自工と販売部門であるトヨタ自販が合併)後、トヨタ自動車取締役就任。1995年から99年まで社長職(現会長)。在任中は海外戦略を重視する一方で激しい値引き攻勢をかけるなど経営革新に取り組み、日本経済全体が退潮期にあった20世紀の最終局面を世界の勝ち組として乗りきった。米経済誌で世界最優秀経営者25人に選ばれたことも。

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長期雇用

奥田は日経連会長に就任すると、「在任中に失業率を3%(完全雇用に近いといわれる水準)に持っていきたい」と発言、長期雇用を重視する姿勢を明らかにした。これは、いわゆる「年功序列の日本型雇用」ではなく、「国際水準の人材育成に取り組んで長期雇用を目指し、同時に新規事業の開拓で過剰雇用を是正する」新しいシステムの提唱といえる。アメリカ的雇用慣行(グローバル・スタンダードともいわれる)への挑発ともきこえるこうした発言は、《日本的経営》によって勝ちを得てきた会社のトップらしい自信のあらわれなのか。

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フィリピン

奥田は1972年、トヨタ自販経理部からフィリピンへの赴任を命じられ、6年半もの間、駐在員生活を送る。一般には左遷といわれているが、トヨタの海外パートナーから延滞金を取り立てるなどしてかえって頭角をあらわすことに。人脈も広がり、マルコス大統領(当時)のマラカニアン宮殿にも行き来していたという。サラリーマンの鑑である。

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F1(Formula 1)

フォーミュラ1・ワールドチャンピオンシップのかかったレースを走るマシン、またその一連のレース。レーシングカーの最高峰とみなされる。日本の自動車メーカーでF1といえば、またスポーティなイメージといえば、ホンダであって、トヨタはともするとその対極にある「マイホーム的」「おやじ的」「万人うけ」を割り振られがちであったが、事実は異なる(というより徐々に異なってきた)。これまでもWRCやCARTに参戦。日本からは、もっぱらホンダが参加していたF1においても、2002年3月のオーストラリアGPでトヨタは初参戦6位という好成績。トヨタ会長である奥田は「感激している」としながらも「幸運にも恵まれた入賞だと思っている。かぶとの緒を締め、今後に臨みたい」。

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億ション

きわめて豪華なマンションのこと。岡崎市に持ち家のある奥田は、東京に出張するたびに九段のホテルグランドパレスを常宿としていたが、2002年5月からの「日本経済団体連合会」会長職のため東京での住まいが必要となり、夫人同伴の機会も増えることやセキュリティの面から、港区神谷町周辺の高級マンションを借りることに。

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プリウス(Prius)

トヨタの車種の一つ。1997年、世界で初めて、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせた量産ハイブリッド車として開発、市販化したもの。CO2の排出量は従来の2分の1。技術的なことでは「世界初であること」より「“あと出し”かも知れないが“先人よりうまくやる”こと」で成功を納めがちであったため、通筋から、あまりよく言われないこともしばしばであったトヨタも、プリウスあたりから評価も上々。トヨタが21世紀の自動車産業界においても長期安定的な成長をつづけていくため、奥田が自らに課した変革意識の具現化だという。

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