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経済のキーパーソンからキーワード
日本の経済を動かしているのはどんなひとなのか
執筆協力   編集工房インデックス

日銀総裁・速水優

中央銀行

日本銀行(にっぽんぎんこう・日銀)のように銀行券(紙幣)を発行できる銀行のこと。アメリカではFRS(連邦準備制度)、ユーロの場合はECB(欧州中央銀行)。ちなみに各国とも貨幣のほうは政府が発行者となっている。中央銀行の役割は、ほかにも一般銀行への貸付け、政府の財政支出に伴う支払いなど。政府は中央銀行の中に預金勘定を持ち、中央銀行を通じて民間銀行と取引する。この口座は、税金・社会保険料といった収入、公共事業費や社会保障関係費といった支出の出入りに使われているが、これらの業務を通じて物価や景気を安定させようとするのが「金融政策」である。とくに物価の安定は中央銀行の最重要課題。

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日銀総裁

日本銀行は、特殊法人株式会社であるが、総裁(副総裁も)は、国会の両議院の同意を得て、内閣が任命する。任期は5年で再任も可能。歴代総裁には岩崎弥之助(兄・弥太郎とともに三菱財閥の基礎を築いた。任期明治29〜31)、高橋是清(のち蔵相・総理。二・二六事件で凶弾に倒れる。任期明治44〜大正2)などがいる。1954年12月就任の新木栄吉総裁以降は、日銀行員生え抜きと大蔵事務次官経験者とが交互に就任するのが、ほぼ定例となっていたが、速水はこの慣例を破ったかたちで登用。氏も日銀理事をつとめたOBであるから“たすき掛け”人事を継いでいるともみえるが、実際には十数年まえに日銀を離れてのち、日商岩井の社長・会長歴任、経済同友会代幹をつとめており財界人としてのキャラクターが強い。大蔵、日銀ともに不祥事を起こしたこと、「そういうことをしている場合ではない」ことからの刷新である。

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経済同友会

1946年4月設立。『現代用語の基礎知識』1948年版には「進歩的を標榜する経営者や経済団体役員が集って、日本経済の民主的再建を図る第一線中堅経済人の機関として…結成した」とある。経済団体連合会(経団連)、日本経営者団体連盟(日経連)、日本商工会議所とともに経済4団体と呼ばれるが、個人加入の組織であることが他と異なり、職能人として経済の進歩安定への寄与を目指し、政治的無色を標榜する。経団連と日経連が統合、「日本経済団体連合会」となろうという今日、経済同友会の独自性はさらに期待されてよかろう。速水は1991年4月から4年間、同会の代表幹事を務めた。

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辞任騒動

2001年4月、速水が任期(2003年3月)満了を待たず辞任する意向を森喜朗首相(当時)らに伝えたとの報道がなされた。高齢(当時76歳)と健康不安が理由とされたが、1カ月後の会見で速水は続投を正式に表明。内閣への正式な辞任手続きまでは至っていなかったことを明らかにし、健康状態も良好である旨を公言した。

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マネーサプライ(money supply)

世間に出回っている金の総量のこと。通貨供給量。景気の良し悪しによって日銀が供給量を調整、景気が悪いときは供給量を増加させ、よいときは供給量を減らす。マネーサプライに含まれるものは国によって違うが、日本の場合は現金に加えて、普通預金や定期預金、他人に譲ることのできる譲渡性預金などが含まれる。

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1万円札サイン事件

1998年の11月、東京銀行協会ビルヂングで速水とベテランの新聞記者たちが会合を持った。その席上、記者の1人が「将来値打ちが出るかもしれないから」と1万円札へのサインを求め、速水は快く応じたという。刑法で禁じられた通貨変造にあたるとの声もあるが、何よりもその見識を疑う声が強くあがった。

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ゼロ金利政策

金融機関が相互に短期資金を貸し借りするコール市場(ちなみに、その際の一般的な取引を「無担保コール翌日物」という)に、日銀が大量の資金を供給することでその金利を事実上ゼロにする政策。1999年2月から2000年8月まで実施された。銀行や企業が低コストで資金を調達できるようにという意図。

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量的金融緩和

2001年3月、日銀は金融政策の目標を,金利を低く誘導する従来の政策から、金融機関が日銀に保有する当座預金の残高を1兆円程度積み増し、5兆円(2002年4月現在では10-15兆円)程度にすることに変更した。同時に長期国債の買い入れ増額も決定。この結果、短期金利が実質ゼロになり、ゼロ金利政策(→別項)が事実上復活。(→「ロンバート型貸出制度」

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ロンバート型貸出制度

2001年3月導入。日銀が金融機関の要求に応じて自動的に公定歩合(日銀の貸出金に適用される基準金利)で資金を貸し出す制度。この導入により、金融機関は差し入れた担保の範囲ならいつでも必要額を借りられる。ただし利用日数には制限があり、超えた場合には公定歩合に2%が上乗せされる。

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日銀短観

日銀の「企業短期経済観測調査」の略称。年4回、全国約1万社の企業を対象に調査する。景気や先行きをどう見ているか(景況感)や、需要や在庫、雇用についての過不足感などを指数の形で発表する。景気の先行きを占う代表的な統計で、2002年3月の調査では、2000年12月以来、景気の悪化に底打ち感がでてきたという。

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改正日銀法

1998年4月施行。日銀の独立性を高める内容。最高意思決定機関である政策委員会は総裁、副総裁(2名)、審議委員(6名)の計9人で構成。金融政策の変更は「金融政策決定会合」(原則として月2回)で審議される。いっぽう2002年3月、自民党の金融関連部会が日銀の独立性を弱める内容の法案要綱をまとめた。

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