月刊基礎知識
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結婚事情の今昔を知るための用語集
 

いろいろな離婚のカタチ

離婚

1979年版本誌掲載。以下、

夫婦が婚姻を解消すること。人口1000人あたりの離婚件数でみる離婚率は昭和51年1・11、52年1・14で、昭和22年以降ではいちばん高い。しかし明治15年から同31年までは離婚率は3・39〜2・27であった。これ以降離婚率は次第に低下したが、大正4年でも離婚率は1・13であった。明治43年の結婚1000件に対する離婚件数は日本134、アメリカ87、フランス46、ドイツ30で、日本は世界第一の離婚国であった。しかし明治時代の離婚は、婚家から労働力として期待されていたが、同居の親族の意にそわないため嫁が追い出される追い出し離婚であった。このことは昭和23年の離婚調停事件の申立理由からもうかがうことができる。すなわち同年、理由のトップを占めたのは「妻が尊属や他の親族と不和なこと」で、2位が「夫の不貞」であった。ところが今日では離婚の理由は「夫の不貞」、「性格の不一致」、「精神的・肉体的虐待」の順である。つまり家、家風、労働力といった集団的・制度的な原因より、個人的・心理的なものが原因になっている。

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家庭内離婚

1987年版本誌掲載。以下、

夫婦の双方、または片方が離婚を望みながら、あるいは正式に離婚したが同居している等、夫婦の絆がないのに表面上は夫婦の形をとっている状態をいう。作家・林郁の造語。昭和58年NHK総合テレビ「中高年の離婚」が反響をよび、レポーター役の林郁が番組の中で発言し、60年、同名のルポルタージュを出版するに及んで話題となった。原因は、子どもの数の減少、妻の高学歴化、長寿社会への移行など、ライフサイクルの変化にかかわらず、生き方のモデルがないこと、加えて性別役割分業、単身赴任、長期出張、子どもの受験戦争、妻の自立志向などによる家庭生活の矛盾、それに気づかない働きバチの夫の意識の遅れなどがあげられる。

実際に離婚できない理由は、妻の経済的自立が困難なこと、老親の扶養・介護、子どもの就職や結婚への差し障りなどの世間体等が代表的なものである。愛が失われれば離婚する欧米、ことにアメリカなどとは著しく異なる現象である。

最近離婚率が低下したといわれるが、実際は「家庭内離婚」がかなり多いのではないかといわれる。高齢化社会を迎えて、改めて結婚や家庭の意味が問い直されている。

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成田離婚

1991年版本誌掲載。以下、

ナリタリコンというのがめっきり増えている。見合いをする。双方「よし」というので、さて結婚、ハネムーンがすんで成田へ着いたとたん、「私、どうしてもあなたといっしょにやって行けないわ」と、だいたい女性の方が、離婚宣言をする。いい分はさまざまである。(どうも彼はマザコンじゃあるまいか)(どうも趣味が悪い)(不作法なふるまい)など、いろいろあるが、一口にいえば女性の方にこらえ性がないということである。大体、成田離婚は女性の方からいい出す場合が多い。

見合いといってもすぐまとまるわけではない。2、3回はデートもしただろうし、観察の機会はいくらでもあったはず。それが成田へ着くや否や離婚である。

戦前の見合い結婚は、中に仲人役をたのんでいろいろな手数をかけて行った。今の見合いにはその手数(ハードル)がない。それだけ両人が、しっかり心眼を開いて見定める必要がある。といっても、若い2人にはちょっと無理かも。

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シルバー離婚

1991年版本誌掲載。以下、

60歳以上の高齢者の離婚が急増している。全国の家庭裁判所で取り扱った離婚は1988年(昭和63)度に約4万3000件。83年度をピークに年々減少しているが、その中で60歳以上が当事者となるケースは増加。83年の2111人から42・3%増の3146人にのぼっている。妻からの離婚動機は、(1)夫の異性関係(44・2%)、(2)夫の暴力(35%)、(3)性格の不一致(29・2%)。夫側は、(1)性格の不一致(60・2%)、(2)妻の異性関係(25・4%)、(3)妻が家庭を顧みない(15・3%)の順。離婚に伴う財産分与・慰謝料は、全体の平均が88年は約387万円で10年間で倍増。婚姻期間20年以上のグループのアップ率は最も高く、79年の約347万円から695万円へと倍増している。夫が定年になるのを待って、妻から離婚を申し立てる定年離婚も少なくない。

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アルツハイマー離婚

1992年版本誌掲載。以下、

長野県の42歳の男性が、特別養護老人ホームに入所している重度のアルツハイマー病の妻(59歳)との離婚を請求。訴えを受けた長野地裁は1991(平成3)年9月17日に離婚を認める判決を下した。この夫婦の場合、妻が結婚12年目に発症。夫と会話ができず感情もほとんど示さなくなり、入居基準年齢に達していなかったが、特例で特別養護老人ホームに入居。夫側は民法770条の「強度の精神病にかかり回復の見込みがない」「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するとして提訴。判決はアルツハイマー病が精神病に該当するか否かについては「疑問が残る」が「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たるとの判断を示した。この判決をめぐっては、夫婦関係が実質的に破綻しているのだからやむをえない、とする意見の一方で、夫婦の立場が逆転していたとしたら果たして離婚が認められただろうか、女性の多くは同じ状況に黙って耐えてきていることを考えると釈然としない、これが前例になって安易な離婚が増えないか、といった疑問や反論がみられた。

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老いらく離婚

1995年版本誌掲載。以下、

離婚の危機は人生に3度あり、新婚早々の「成田離婚」、夫の定年を待っての「定年離婚」、そして最近目立つのが70、80になってから別れる「老いらく離婚」だという。

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たそがれ離婚

1995年版本誌掲載。以下、

相変わらずの長寿社会・日本である。1994(平成6)年4月に厚生省が発表した平均寿命は、男性76・25歳、女性82・51歳で、いずれも世界最長寿。同時に、男女差も6・26年と着実に開いている。戦後の47(昭和22)年の平均寿命、男性50・06歳、女性53・96歳から比べると、同じ国民のデータかと驚かされる。

当然のことだが、結婚生活も長くなっている。50歳くらいの平均年齢では、銀婚式(25年)がせいぜいであった。が、今や金婚式(50年)を迎えるのは珍しくない。

離婚の状況も平均寿命と無関係ではない。厚生省統計ではこれまで、離婚に至った夫婦の同居年数の最長を「20年以上」と一括して出していた。これが92(平成4)年からは「35年以上」と改めるに至った。94(平成6)年6月の発表で、同居年数35年以上の夫婦の離婚は前年比16・3%の伸びとある。35年以上の結婚生活となれば、互いに60歳は超えていよう。まさに“たそがれ離婚”“老いらく離婚”である。

子供の独立を迎えると再び夫婦だけの生活となるが、この時2人だけの強い結びつきがないと破綻をきたしやすい。子供が小さいから世間体がというしがらみがなくなると、2人でいる理由がなくなってしまうわけだ。長寿社会、高齢化社会に向けて、若いうちから夫婦のありようを考えておかねばならない時代といえるのかもしれない。

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還暦離婚

1996年版本誌掲載。以下、

戸川昌子氏の同名のエッセーからいわれたことば。「熟年離婚」「定年離婚」に次いで登場。

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熟年離婚

1996年版本誌掲載。以下、

結婚生活20年以上の夫婦の離婚が急増している。91年の離婚件数16万8969件のうち14・7%を占め、前年に比べ3005組も増加。92年には過去最高の約2万7550組(前年比11・4%増)で、全体の離婚件数17万9998件(過去最高離婚率は11・45%で史上3番目)の15・3%になる。高齢化社会の中で50年の結婚生活を維持するのはたやすくない。

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震災離婚

1996年版本誌掲載。以下、

阪神大震災のとき夫が妻を置いて逃げようとしたことなどをきっかけに、夫婦間に亀裂が入り、それが原因で離婚すること。

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ダイアナ妃離婚

1997年版本誌掲載。以下、

1996年2月28日、ダイアナイギリス皇太子妃は「チャールズ皇太子の離婚要求に同意した」との声明発表。81年7月の挙式から14年7カ月であった。すでに92年当時より別居が発表されていた。英王室のもめごとは英国民の王室離れの傾向を強めている。7月12日、皇太子夫妻は離婚を正式発表、8月28日に15年間の結婚生活は解消。

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ロイヤル離婚

1997年版本誌掲載。以下、

英国チャールズ皇太子とダイアナ妃の離婚。世紀の離婚とうたわれたロイヤル・カップルは15年で終焉。ダイアナ妃は「ハー・ロイヤル・ハイネス(HRH)」の敬称を剥奪され、「ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ」と呼ばれる。

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高齢離婚

1998年版本誌掲載。以下、

長年連れ添ってきた高齢の夫婦が離婚トラブルでもめるケースが増えている。それまでのお互いの気持ちのズレや不満が積もり重なった末の爆発が目立つ。その背後には、夫の定年退職や、子どもたちがそれぞれ就職や結婚して自立し、夫婦だけが2人で向き合うという高齢者の心的な状況がある。そして、家庭裁判所の夫婦関係調整事件のうち、高齢夫婦(夫が60歳以上)が占める割合は、1984(昭和59)年の3・1%から94(平成6)年には5・5%へと、この10年間で確実に増えている。この高齢夫婦の離婚トラブルの場合、その原因が曖昧で対応が難しい。若い世代の夫婦と違い、不貞や虐待など、法律上で明確に離婚理由と認められる例は少なく、「顔も見たくない」「一緒にいると気分が悪い」などの心理的な問題が大半という。また、高齢夫婦の場合、離婚調停の申立ての7‐8割が妻の側からなされるのが特徴である。日常生活のちょっとした悩みや不満を、仕事に追われて聞いてくれない夫、その積年の恨みつらみが夫の定年などを機に爆発し、妻に離縁状を出させているという。その背後には、現代社会における結婚観や夫婦観に関する急速な変化があり、妻たちから見ると、自分たちの過去の夫婦としての暮らしについての不満や批判がこの年代になって急速に高まるといった社会心理的な背景も伺われる。このような状況の中で、高齢夫婦が、現代社会にふさわしい家事の分担や、お互いの情緒の通い合い、あるいは、共通のテーマを新しく発見し、新しいパートナーシップを探ることが求められている。

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式場離婚

1999年版本誌掲載。以下、

結婚式場に申し込み金を払い込んだ後でキャンセルしたり、挙式当日に花嫁が来なかったりする事態。年間2000組以上の婚礼を手がける大手式場で、解約率が1割になっている。業界内のタブーとされてきたキャンセル料支払いを明記した共通約款を1998(平成10)年2月作成。

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友達離婚

1999年版本誌掲載。以下、

「別れたら顔を見るのも嫌」でなくて、離婚後も一緒に食事したり旅行に行ったりする元カップルが出現。朝日新聞、柏木友紀記者が「友達離婚」と命名して体験を募集したら、「夫婦ではダメだけど、友達や恋人としてならいい関係」「いまでも同志」「だれより近い存在」という手紙が30通届いたという。

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輝き離婚

2004年版本誌掲載。以下、

元アイドルで女優の林寛子と映画プロデューサーの黒沢久雄が離婚に際して交わしたやりとり。「離婚したらいまより輝けるのか」「輝くと思う」「じゃ、いいよ」からきた。

夫に退職金が出るのを待って「濡れ落ち葉離婚」する妻が、「賞味期限切れ」を嫌って一歩タイミングを早めた合理的選択。巷の一般主婦からは、お金があれば好き放題できていい、とやっかみの声。

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