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「宣言」に効き目はあるのでしょうかの現代用語集
 

古来、戦争には宣言がつきもの

戦争終了宣言

本誌1951年版収録。以下、

国際法上の戦争は武力戦闘の終了と共に終るのでなく一般には講和条約の締結で終る。ところが講和條約の締結が遅れた場合事実上戦争が終了しているのに法律上戦争状態が続くからいろいろの不都合を生じる。この不都合をなくするため戦争状態終結宣言が行われることがある。第1次世界大戦後アメリカが講和条約を批准しなかったのでとりあえず1921年7月戦争状態終結宣言を行ったのはその一例である。第2次大戦後、イギリス政府は1947年9月オーストリアに対し、「技術的戦争状態の終結」を通告した。しかし占領管理を解いたわけではないから完全に戦争状態が終結したとは云えない。

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戦争状態終結宣言  declaration on the termination of a state of war

本誌1980年版収録。以下、

戦勝国と戦敗国との間に休戦が成立し「事実上の平和」が成立していても、法律上の意味での戦争を終結させるために、平和条約がいろいろの事由で結ばれないときに、「法律上の平和」をもたらすためになされる宣言。戦敗国から戦勝国に向かってなされた事例もないわけではないが、効果からみて疑わしい点があり、戦勝国の戦敗国に対する意思表示が一般的である。一方的な宣言でよく、相手国の同意を必要としない。これによって、国際法上、両国間の「戦争状態」は終了する。ただし、領土、賠償などの懸案事項はのちの平和条約にまたねばならない。1956年の日ソ共同宜言は、両国の同意によるこの宣言の例で、領土間題が解決しないため宣言の形式をとった。

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ベトナム時代終結宜言

本誌1976年版収録。以下、

フォードアメリカ大統領は、1975年5月7日、「ベトナム時代」の終結を正式に宣言して、7日を「ベトナム時代」の最後の日とし、「アメリカはもはや戦時ではない」と声明した。その結果、5月8日以降の新規募集兵には除隊後の戦時従軍手当は支払わないこととされ、また同日以降は、埋葬手当や死亡年金も打ち切られた。この措置で15億ドルが節約できるといわれている。

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戦争宣伝禁止宣言

本誌1963年版収録。以下、

1962年5月25日、ジュネーブの軍縮委員会でいったんは満場一致承認され、同29日、ソ連の突然の追加修正の要求により流産した宣言草案。要旨は、<1>平和を脅かす「あらゆる形の宣伝」を非難した国連総会決議を支持する、<2>戦争に訴え、また戦争は不可避だと発言することを非難する、<3>戦争はもはや国際紛争解決の道となりえないとの信念をもち、その信念にそって若い世代を教育するとの希望を確認する、<4>平和と友情を強化するため報道、思想、意見をできるだけ広く流通させ、また文化、教育、科学関係を拡大する、<5>すべての国に対し、それぞれの憲法の範囲内でこの宣言を実行する処置をとるよう呼びかける、<6>すべての国に対しこの宣言の支持を呼びかける。

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戦争宣伝禁止宣言  Declaration Against War Propaganda

本誌1978年版収録。以下、

1947年11月、国連総会は、すべての好戦的宣伝を非難する決議を採択し、50年11月にも反平和的宣伝を非難する決議を行った。より具体的な戦争宣伝禁止宣言は、62年5月25日、ジュネーブの軍縮委員会に米ソ共同で提案されたが、5月29日、ソ連の突然の追加修正の要求により、流産した。要旨は、<1>平和を脅かす「あらゆる形の宣伝」を非難した国連総会決議を支持する、<2>戦争に訴え、また戦争は不可避だと発言することを非難する、<3>戦争はもはや国際紛争解決の道となりえないとの信念をもちその信念にそって、若い世代を教育するとの希望を確認する、<4>平和と友情を強化するため報道、思想、意見をできるだけ広く流通させ、また文化、教育、科学関係を拡大する、<5>すべての国にたいし、それぞれの憲法の範囲内でこの宣言を実行する処置をとるよう呼びかける、<6>すべての国にたいしこの宣言の支持を呼びかける。ちなみにソ連は51年の平和擁護法で、戦争宣伝を犯罪とし、さらに77年の新憲法草案にも明文の規定が入れられている。

また66年に採択された国際人権規約(B)20条は、ソ連などの推進で戦争宣伝および扇動の禁止を規定している。

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平和・安全保障・非武装に関する原則宣言

本誌1983年版収録。以下、

1982年5月26日、フランス社会党の採択した宣言。内容はミッテラン政権の対外政策と軌を一にするものでフランスは、核抑止力を保持することにより平和と独立を守り得るとする。カなき平和主義は平和を保障し得ないと考える。社会主義インターに提案のために作成された宣言である。

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武力不行使宣言  Declaration on the Non-Use of Force

本誌1989年版収録。以下、

国際関係における武力不行使原則の強化に関する特別委員会により、1987年3月に宣言案がつくられ、同年11月に総会により採択された。同宣言は、前文、武力不行使原則、国家の義務と国連の役割の各部分の33条からなり、領土、政治的独立に対し武力の行使、威嚇を行わないことを確認した。さらに、外部からの干渉を受けることなく、人民がその政治的地位を自由に決定しうることに言及し、また、テロ行為、破壊工作、傭兵の使用を組織、扇動、もしくは援用することを抑制することをうたっている。この宣言は10年間にわたる特別委員会の作業の成果であった。

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