月刊基礎知識
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再び三たび流行する病気と健康の用語集
 

現代病〜フィジカル編

動脈硬化症

本誌1949年版収録。以下、

動脈は元来相当な弾力性を持って血圧を保っているが、老年になると生理的にその弾力が失われて硬くもろくなる。アルコールニコチンなどの中毒やいろいろな伝染病の既往歴が誘引になるが、更に不明な原因により、この変化が非常に烈しくなり高血圧となる。

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成人病

本誌1959年版収録。以下、

40歳以上の人に多い高血圧、ガン、心臓病の3つをいう。これらの病気が死因の上位を占めている現状から、厚生省では「成人病予防対策協議連絡会」を設け、33(1958)年度から成人病の予防に乗り出す。その方法は、40歳から90歳までを中心に健康診断を行い、各都道府県には相談所を設けて、これらの病気に対する予防衛生教育を行うという。

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夜勤病

本誌1959年版収録。以下、

機関士、警察官、新聞記者、看護婦、守衛など、夜勤の多い職業では、不眠に悩んだり、疲れがいつまでもなおらないと訴えることが多いが、最近これらの夜勤者を調べた結果、胃や十二指腸の潰瘍や心臓病(心筋梗塞)などの病気が多いことがわかった。これは夜になると副交感神経が働いて血圧が下がり、脈が遅くなり体温も下がって眠りやすい状態になっているため、むりに動くと交感神経も働いて体温や血圧を調節するので、この2つからなる自律神経のバランスが崩れることが原因とされている。これを予防するには深夜に栄養食をとったり昼間静かな暗い部屋で十分に睡眠をとる必要がある。

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温熱失調

本誌1960年版収録。以下、

温度が急激に下がるため、皮膚が冷たい空気にたいして抵抗できない。丸の内周辺などの暖房ビルから屋外へ出るときサラリーマンが感じるもの。またこのサイコソマチックは、現代サラリーマン病で、だる気に始まるビル病神経病、ノイローゼを含めた心身の不調症状をいう。

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ヘッドホン難聴

本誌1984年版収録。以下、

「ヘッドホン族に聴力障害者がみられる」という調査結果が、長野県高教組から報告されたのは昭和54年のこと。難聴の生徒90人のうち、イヤホンやヘッドホンを常用しているものが56人(62.2%)いた。大声を出すと、この音の大きさは約75ホン。この程度の音でも8時間以上聞き続けると騒音性難聴を起こす恐れがある。さらにこわいのは、ヘッドホンをかけているため外の音が聞きとりにくくなる“難聴”。道交法第71条で自動車運転中のイヤホン着用は禁じられているが、アメリカ・ニュージャージー州では、1982年8月、運転中のほか、ジョギング中や、道路横断中の着用を禁じる条例が成立した。さらにアメリカの太平洋艦隊司令部は同年末、勤務時の着用を一切禁止した。事故発生率が高まるほか、音楽に夢中になると、仕事の能率が落ち動きも鈍くなるから、ということである。

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ランニング中毒

本誌1984年版収録。以下、

ランニングが病みつきになって、雨の日も風の日も体調の悪いときも、とにかく1日1回、走らなければ気がすまなくなる状態をいう。フリー・ランニングといって、“なになにのために”という理屈をつけないで、とにかく走ることを楽しもうという考え方もあるが、“中毒”となると全くジョギングやランニングの目的を見失ってしまった感じである。ランナーズーハイといって、ランニングの最中に一種の陶酔状態におちいって、そのとき脳波をはかると、禅の瞑想のときと同じ波型になることがあるが、ここまでのめり込むのは、しろうとが体力づくりのために行うランニングとしては、いささか行き過ぎ。エアロビクスの提唱者、ケネス・クーパー博士は「週5回、毎回5キロ以上走る人は明らかに“中毒”と警告している。

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ナイロンタオル色素沈着症

本誌1986年版収録。以下、

ナイロンタオルなどの硬い化学繊維で皮膚を長年、強くこすることによって生ずる、褐色ないし黒褐色の帯状あるいは斑状の色素沈着をいう。昭和58(1983)年に阪大皮膚科の谷垣武彦医師が症例報告を発表して以来、過去には見られなかった新しい皮膚病として注目され始めたもので、この色素沈着は腕の外側や首すじ、鎖骨上縁部など、摩擦が強く働く部位に特徴的に起こり、胸部などの柔らかいところや、背中中央などの手の届かないところには起こらない。20〜40代の女性に多く、色黒で執着性気質の人に多いという報告もある。谷垣医師の調査では約87%の人がナイロン製タオルを使っていたが、ナイロンが直接の原因ではなく、機械的に強くこすることが原因と考えられている。治療は皮膚を強くこすらないということだけ。

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小児成人病

本誌1990年版収録。以下、

「成人病」という用語は日常よく使われるわりには、その定義づけがきわめてむずかしい。成人というのは普通、20歳を過ぎた大人のこと。文字通り解釈すれば、大人がかかる病気。となると小児成人病というもの矛盾に満ちた表現だ。そこで、具体的に病名を限定して、肥満、高血圧症、糖尿病、胃潰瘍、高コレステロール症など、俗にいう成人病が子どもに現れたもの、と理解するよりほかにない。この種の成人病をまねく危険因子をもった子どもが、飽食と運動不足の生活に伴って次第に増加し、5人に1人はいるという地域的なデータも報告されているが、厚生省は1989(平成1)年秋、全国的な実態調査と、その予防法確立のための研究をスタートすることにした。予防法についての結論が出るのは92年の予定。厚生省によると小児成人病は次の3つに分類できる。<1>てんかんや先天性の心臓疾患などのように、子どものころからの症状が成人になっても続くもの。<2>動脈硬化など、主に40歳以降に症状が現れるが、その源は小児期にあると考えられるもの。<3>糖尿病、高血圧、胃潰瘍など、いわゆる『成人病』の発症が若年化したもの。今回の調査・研究は主に<2>と<3>のタイプを対象としたもの。

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高血圧児

本誌1990年版収録。以下、

高血圧といえば老人の状態のように思われているが、子どもにも意外に多いことがわかった。中学生以上になると、1000人中男子は約10人、女子は3人の割合である。その大部分は素因によるもので肥満児に多い。肥満を直すこと以外に、食塩の摂取を少なくして、適度の運動を続けることが提案されている。

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ゴムひも症候群

1992年版〔健康問題〕

パンツなどの肌着に使われている、伸び縮みするゴムひもが、絶えず体に持続的な刺激を与えて、毛細血管のけいれんを招き、その結果、引き起こされる全身のさまざまな症状や病気をいう。1960(昭和35)年ごろ、下着メーカーがひも付きパンツの製造を中止し、またパンティーストッキングが普及し始めたころから次第に、こうした症状を訴える患者が増え始めた。したがって夜は着用しないか、昔ながらの普通のひもの下着を使ったほうがいいといわれていた。パンツを脱いで寝ると健康にいいという『脱パンツ健康法』は、91(平成3)年春ごろから、一部の健康雑誌がはやし立てて大評判になり、札幌の一医師の発想のように伝えられているが、実は、すでに10数年前の77(昭和52)年6月、高知市の内科開業医M氏が「実地医家の会」で、「ゴムひも症候群」として発表したもの。腹部にゴムひもを使用したときに起きる病気は『横行結腸症候群』と呼ばれ、出現する症状は全身いたるところに及んでいる。

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シックビル症候群(SBS)  sick building syndrome

本誌1993年版収録。以下、

ビルの空調の電源を夜間や週末に切ると、夜間のビルの適当な通風がなくなって、朝出勤してきた人たちが汚れた空気を吸うことになり、その結果さまざまな症状を引き起こす状態をいう。1991(平成3)年以来、アメリカで話題になったもので、調査を行ったデンバーのアレルギー・呼吸研究所では、検査したビルの75%までが、構造上の問題よりもむしろ通風に問題があったといっている。患者は鼻や目の刺激、頭痛、疲労、のどや皮膚の乾燥などの症状を訴え、過去にそうした症状の経験がなくて、休暇後、職後に戻ったとたん症状が出てくるようであれば、SBSと診断して間違いないといっている。レジオネラ菌によって起きる在郷軍人病もこのSBSの一つと考えられている。

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)

本誌2000年版収録。以下、

常にいびきをかき、その病名どおり睡眠時に呼吸がしばしば止まる病気だが、眠っている本人はほとんど自覚していない。この病気で心配なのは、睡眠時に起きる無呼吸の影響で眠りが非常に浅く、いくら長時間眠っても昼間の眠気がとれない点だ。SAS患者の20人に1人が交通事故を起こしており、1年間に8回も居眠り運転による追突事故を起こしたトラック運転手の例もある。

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