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受賞しなかった新語・流行語の30年 パートII
執筆者 木村伝兵衛

受賞しなかった新語・流行語の30年 パートII

ストーカー

1997年ごろ登場した新語で99年には広く普及する。交際を断られてもつけまわしたり、見も知らぬ相手を親しい関係のように思い込んでまとわりつく異常者。こうしたストーカーのからむ社会事件が目立つようになってきた。そうした行為や行為者の存在が「ストーカー」という言葉によって顕在化し、2000年には「ストーカー行為規制法」ができる。

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ゲットする

1997年ごろから流通した新語。英語を日本語のような自分たちの意味感覚で使いこなす若者言葉の顕著な例だが、この言葉の流行と「ポケモン」のヒットは無縁ではない。単に獲得する、という以上に、つかまえる、ナンパに成功する、などの意で使う。

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お宝

1998年ごろから流通した新語。人が大事にする「お宝」を、専門家が鑑定し値段付けを行なう「開運!なんでも鑑定団」というテレビ番組が人気に。〈お宝写真〉といえば、人気女優やアイドル歌手が、そのデビュー前やメジャーになる前に撮られた水着グラビアやヌード写真のこと。

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美白

1998年の流行語。デパートなどの化粧品コーナーには「美白」「ホワイトニング」商品があふれる。美白の流行が高まったのは、極端な厚化粧で人びとの度肝を抜いた、「白肌の女王」の異名を得た鈴木その子女史の登場にも一因がある。

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失われた10年

1999年ごろから流通した言葉。造語者は作家の堺屋太一。経済分野の本で流行したフレーズ。米ソ首脳によるマルタでの冷戦終結宣言や、ベルリンの壁崩壊とともに始まった激動の1990年代が、日本にとって失意の10年だったことを指す。「バブルの崩壊を契機に、産業界の活力や自信が失われ、行政への信頼も、財政の健全さも失われた。何より国民の暮らしから、安心感が失われた」と佐柄木俊郎・朝日新聞論説主幹(朝日、99年7月7日)。

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お受験

1999年ごろから流通した言葉。国・私立の有名な幼稚園や小学校の加熱する受験競争のことをヤユする表現。東京・文京区で2歳の女児が殺害される痛ましい事件が起こり、それに関連してこの言葉が脚光を浴びた。有名小学校入学のためには、2〜4歳でお受験専門の幼児教室に通い、読み書きはもちろん、お絵かきや工作、運動面などの訓練が行われる。

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ひきこもり

2000年の新語。行為として外に出ないで家にひきこもる状態だけでなく、社会・集団と融和できない心理状態。新潟の少女監禁事件や京都小二殺害事件の容疑者がともに「ひきこもり」がちだったことから注目された。不登校、ストーカーにも共通するとの指摘もある。

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イケメン

いけてる男(たち)。英語のmenと「面」を合わせていう。とっくの昔から日本語だったんじゃないかと錯覚しがちだが、この「イケメン」が新聞紙面に登場したのは平成12年、2000年から。その年から「現代用語の基礎知識」にも収録されている。

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自民党をぶっ壊す

2001年、内閣総理大臣に就任した小泉純一郎は流行語をたくさん生み出したと言われるが、本人が発したフレーズで最大のインパクトを持ったワンフレーズはほかでもない、「自民党をぶっ壊す」だった。もちろん実際には党が壊れるような決断は在任中はしていない。

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スローフード

2001年ごろから流通した言葉。郷土料理や質の高い食品、質の高い素材を提供してくれる小生産者を守り、子どもを含む消費者全体に味など食の教育を進めて行こうという趣旨の非営利運動の名前。そもそもローマにマクドナルドの店が進出した86年、ファーストフードの発達や食の均一化などにともなう食文化の荒廃に危機感が募り、スローフード協会が発足した。これを生活全体に広げたものがスローライフ。

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スイーツ

2002年ごろから流通した言葉。

甘いもの。菓子。ケーキ、パイなど。デザート。ホテルのスイーツルームではなくデザートのことを指す言葉として新聞の見出しに登場するのはさらに遅く2004年から。

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ゲッツ!

2003年の流行語だが、惜しくも受賞には至らなかった。

ダンディ坂野の決め台詞。両手を拳銃のような形にして突き出しながら言う。「やったね」くらいの意。

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オレオレ詐欺

2003年の新語。「おれだよ、おれ」と肉親を装って電話をかけ、交通事故の示談金名目で高齢者らから金をだまし取る事件がこの数年前から目立ち始め、このネーミングで顕在化した。

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ニート

2004年の新語。

仕事にも就かず、教育や職業訓練も受けない。フリーターとして働くのでもなく、かといって学校などに通うのでもなく、完全に無業となっている若者がニートとよばれる。これがヨーロッパなどでは大きな社会問題となりつつあり、日本でもその存在が注目されるようになっている。

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エロイ

2004年ごろから流通した言葉。従来は「すけべ、エッチ」という意味だったが、なぜか転じて、「セクシーで魅力的、すてき」という褒め言葉として使われるようになった。「やばい」が転じて「はまりそうなほど魅力的だ」と使われることと似た現象。

古くからの日本語が意味を変えて流通すると新語のように見えて、実際それは新語と言えるかもしれないが、新語・流行語大賞の選考枠からは外される傾向にある。

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ロハス

2005年の新語。

LOHASは環境と人間に負荷をかけない生き方を略称する新語。98年にアメリカの社会学者たちが提唱したもので、マーケティングの新概念としても日本に紹介されたことで、注目を集めるようになった。

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婚活

2008〜09年ごろから流通した言葉。

「黙っていても結婚はできない。就活(就職活動)のように婚活(結婚活動)を始めるべき」と主張したのは、2008年2月発行の書籍『婚活時代』(山田昌弘・白河桃子共著)だった。

テレビでは結婚を主題にしたドラマ『コンカツ・リカツ』や『婚カツ!』が登場。

この流行は恋活、離活、住活、朝活、終活など、「○活の乱造」という副次的な流行も生んでいる。

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モテキ

モテキ(モテ期)という新語は、2010年ごろから広まった。雑誌『イブニング』(講談社)では久保ミツロウによる同名のマンガ作品が2008年から連載され、2010年にテレビ東京系でテレビドラマ化された。

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