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いま注目を集める「ニュースな人名」
執筆者 白井和夫

いま注目を集める「ニュースな人名」

水木しげる  みずき・しげる

『ゲゲゲの鬼太郎』の作者として知られる漫画家が、32年前に福島原発の“闇”をリアルに描いていたことで話題となっている。

被爆の恐怖にさらされながら働く労働者を描いたこのイラストは、1979年のスリーマイル島事故後に発行された『アサヒグラフ』で、『原発ジプシー』で知られる堀江邦夫氏の文章に挿画として入れられたもの。下請け労働者の厳しい労働実態と現場の重苦しい雰囲気がモノクロの綿密な書き込みで見事に再現されている。

この作品が8月19日に『福島原発の闇−原発下請け労働者の現実−』というタイトルで単行本化され、再び世に出た。

今回の刊行に当たり水木氏は「32年前のことは忘却のかなたですが、原発、オソロシイですね」とコメント。1922年3月8日生まれ。

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纐纈あや  はなぶさ・あや

映画監督。中国電力が山口県上関に建設予定の上関原発に、30年にもわたって反対し続けてきた祝島の人々の姿を撮った記録映画『祝の島』がデビュー作。チェルノブイリ事故で被災した村を撮影した映画『アレクセイと泉』で知られる本橋成一監督の事務所に勤務しているとき祝島を訪問。島の老人たちの姿に“生きることの意味”を見出し、ついには自身が映画を撮ることになったという。36歳。

2008年から島に移り住み、女性カメラマンと製作デスクの女性3人で日常をていねいに撮り続けた。2010年4月に完成した映画は3.11以降、上映回数が急速に増え、改めて評判を呼んでいる。

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野田佳彦  のだ・よしひこ

“スッカラ管”の跡を継ぎ、第95代首相となった民主党の新代表。54歳。

代表選挙では海江田万里に次ぐ2位だったが、決選投票で反小沢票を取り込み予想外の逆転を果たす。

早稲田大学卒業後、政治家を目指して松下政経塾に入塾。家庭教師やガスの点検員といったさまざまな仕事を経験しながら千葉県議に当選した苦労人ぶりや、24年間にわたって地元の駅前で演説を続けた地道さ、さらには1000円カットのQBハウスが行きつけなどの庶民派ぶりをアピールするが、財務省や財界がこぞって期待する大増税・原発推進路線の急先鋒でもある。「菅氏とは首から上の質が違う」と経団連の米倉弘昌会長が手放しで歓迎しているところからも、庶民とは反対の方向を向いた政権運営を進める可能性が高い。

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辻元清美  つじもと・きよみ

権力への反発心がウリだった彼女も、ついにフツーの政治家に。このたび民主党に入党し、次期衆院選では公認候補として戦うことを表明。かつての盟友だった社民党の福島党首は「これまで応援してくれた人たちを裏切る行為だ。理念よりも権力に近寄る方を選択した」と厳しく批判した。

自民政権時には小泉元首相を国会の場でやりこめたり、「疑惑の総合商社」だと鈴木宗男に言い放つなど、社民党の次世代リーダーとして期待されていた。鳩山内閣時代に副国土交通相に就いたが、社民党が連立を離脱することで涙ながら辞任。ついでに離党して衆院会派の「民主党・無所属クラブ」入りしていた。一度味わった大臣病にとりつかれているのではとも揶揄されている。衆院大阪10区選出。

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香川京子  かがわ・きょうこ

日本を代表するベテラン女優。80ヵ国150団体から成るフィルムアーカイブ連盟が2001年に立ち上げた、映画保存に貢献した人々に贈られるFIAF賞を日本人として初受賞。東京国立近代美術館フィルムセンターに映画撮影時の記念アルバムなどを多数寄贈するなどの積極的な活動が評価された。

「こんな立派な賞をいただくことができて光栄ですけれど、同時に申し訳ない気持ちでおります」。

1931年12月5日生まれ。溝口健二、黒澤明、小津安二郎、成瀬巳喜男などの巨匠作品に出演し、60年以上のキャリアを誇る。

10月22日から始まる第24回東京国際映画祭では、「香川京子と巨匠たち」特集が組まれ『近松物語』(溝口監督)、『東京物語』(小津監督)などが上映される。

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室伏広治  むろふし・こうじ

韓国・大邱で開催された陸上世界選手権、男子ハンマー投げで初優勝。陸上・投擲種目でアジア史上初となったアテネ五輪での金メダルは、上位選手のドーピング違反による“郵送”での獲得だっただけに、今回は「ただただ本当にうれしい。何かすっきりしたものがある」と満面の笑み。

1974年10月8日生まれ。

「アジアの鉄人」と呼ばれた父・重信の英才教育のもと、ハードに筋肉を作り上げた20代を経て、現在は筋肉に使い方を覚えさせるトレーニングで技術と体のコンディションを整えている。2012年のロンドン五輪に向けて「表彰台に立てるように万全な状態にしたい」と意欲を語る。187cm、99kg。

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