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原発事故からニュースを追い駆けろ!
執筆者 木村伝兵衛

原発事故からニュースを追い駆けろ!

警戒区域

政府は4月22日、東京電力福島第一原発から半径20キロ圏内である避難指示圏を、法的に立ち入りが制限できる「警戒区域」に設定した。これにより、区域内への立ち入りを制限したり、退去命令が出したりできるようになる。

また、政府は5月の大型連休明けから、一時帰宅を認める。9市町村の約2万7000世帯(約7万2000人)を、1、2カ月程度の間に順番に帰宅できるようにする。一時帰宅は1世帯1人で在宅時間は最大2時間程度とし、自分で持ってバスに戻れる程度の必要最小限のものが持ち出せる。

一方で、東京電力では事故収束のメドを今年秋以降から来年初めにかけてとしているため、政府では一時帰宅の複数回行うことも検討している。

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ユッケ食中毒

2011年4月21日に焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」で生肉のユッケなどを食べた後、下痢や腹痛を訴えて入院していた富山県の男児が同月27日に死亡。その後も同系列の店で食事をした3人が死亡した。5月15日現在、同系列の店で食事をして食中毒を発祥した患者数は、富山県、神奈川県、福井県で死者4人を含め171人にのぼっている。

「焼肉酒家えびす」を経営するフーズ・フォーラス(石川県金沢市)は「肉は大和屋商店(東京都板橋区)から生食用として提供されたもの」と主張しているが、大和屋商店は加熱用の肉だとして、生食用として販売していたことを否定。両者の証言が食い違った。

食品衛生法では、汚染防止のために生肉をユッケにして提供する前には、肉の表面全体を削り取る「トリミング」を行なう衛生基準を守るよう指導しているが、罰則基準はなかった。厚生労働省は5月10日、食品衛生法に基づく罰則規定のある生食用食肉の衛生基準を、9月末までに新設することを明らかにした。

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ビン・ラディン射殺

オバマ米大統領は2011年5月1日、国際テロ組織「アル・カーイダ」の指導者ウサマ・ビン・ラディンを米国の作戦によりパキスタンで射殺したと発表した。

国際テロ組織「アル・カーイダ」の指導者ウサマ・ビン・ラディン、2001年9月11日の米国同時多発テロの首謀者とされているイスラム過激派の中心人物。1991年の湾岸戦争で米国が中東地域を軍事支配したのに反発して反米活動を開始した。

その遺体はDNA鑑定で身元が確認され、イスラム教にのっとった葬儀を行い、水葬された。また、報復テロの可能性が懸念されることから、各国や世界各地にある大使館などに警戒を呼びかけた。

ビン・ラディンはパキスタンの首都に近いアボタバードにある施設に潜伏していた。米中央情報局(CIA)が情報を入手し、4年前に活動地域を特定した。昨年8月に潜伏先を発見し、オバマ大統領が4月29日に作戦実行を許可した。

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浜岡原発

5月6日、管直人首相は、東海地震の想定震源域にある中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全原子炉の停止を要請したと発表した。中部電力唯一の原発である浜岡原発には、1〜4号機の沸騰水型炉と、5号機の改良型沸騰水型炉がある。1・2号機は廃炉が決まっており停止中で、定期点検中で停止している3号機を再稼動させないことと、稼働中の4・5号機の停止を要請した。

東海地震による原発事故への不安解消を優先するために、中部電力は9日、停止を決定し、15日には稼動していた2基が冷温停止の状態となった。運転再開は、津波対策などで2〜3年後の完成を目指している防潮堤の完成後となる。

菅首相は、浜岡原発以外の全国の原発については運転停止を求めない考えを明らかにしているが、定期検査の終了予定を過ぎても営業運転再開を延期している原発が7基あり、現在稼動している原子炉は、全国の商業用原子炉54基のうち18基(浜岡原発を除く)である。

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福島第一原発メルトダウン

2011年5月12日、東電は福島第一原発1号機でメルトダウンが起き、圧力容器に穴があり水が漏れているとようやく発表した。「圧力容器の中の燃料棒は完全に水から露出。過熱して容器底部に落下し、直径数センチ程度の穴に相当する損傷部から水が洩れていると見られる」。

原子炉建屋内に入った作業員が水位計を調整した結果の判明。また、15日には、このメルトダウン(炉心溶融)は3月11日の地震発生の約5時間後から始まり、翌12日の午前7時前には大部分の燃料が解け落ちていたと発表した。ここで、1号機に加えて2、3号機でもメルトダウンが起きたとの見方が広がった。格納容器が損傷し、放射能を含んだ水が漏れている恐れがあり、放射性物質の放出を止めるという工程表の見直しとなるとも見られたが、菅直人首相は、東電工程表の日程通りの事故収束を目指す考えを強調している。

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ファタハとハマス

5月4日、パレスチナ自治区を分断統治するパレスチナ解放機構(PLO)の主要組織ファタハと、イスラム原理主義組織ハマスの代表者は、エジプトの首都カイロで暫定統一政府の発足などを盛り込んだ和解案に署名した。和解案では、2007年の武力衝突以来、ファタハが主体の自治政府が統治するヨルダン川西岸と、ハマスが実効支配するガザ地区で分断されている行政や治安権限を一本化し、1年以内にパレスチナ自治政府の議長と評議会(国会に相当)の両選挙を実施するというものである。パレスチナ自治区の分裂解消には一歩踏み出した形だが、この和解にイスラエルは反発しており、中東和平交渉の再開がさらに困難な状況となっている。

ファタハとハマスが合意した和解文書は、エジプトが2年前に作成したもので、エジプトのムバラク政権崩壊が要因となり、和平交渉が進んだとされている。

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東電賠償策

2011年5月13日、政府は福島第一原発事故に伴う東京電力の損害賠償支払いを支援する枠組みを正式に決定した。これを東電側も受け入れた。政府も原発政策を推進してきた責任を認め、東電を支援する意向であると表明。政府は第三者委員会を通じて東電の経営を監視し、東電は政府の管理下に置かれる。

その支援策は9項目からなり、公的資金投入の受け皿となる新しい機構を設立して東電の資金面を支援する。新機構には、原発を保有する東電など電力9社と日本原子力発電が負担金を出し、金融機関による東電への融資の債務保証、東電の社債購入なども実施する。東電の支払総額に上限は設けず、賠償額が膨らんで東電の支払い能力を超えた場合、機構が資金を供給する。政府は関連法案を通常国会に提出する。

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