月刊基礎知識
月刊基礎知識トップページへ バックナンバーへ
今年前半、気になった言葉たち
執筆者 木村傳兵衛

今年前半、気になった言葉たち

年越し派遣村

ホームレス支援や非正規雇用の問題に取り組む大小のグループと労組が手を携える形で実現した2008年歳末の給食所。厚生労働省の隣り、東京・日比谷公園に設けられた仮設テントには登録ボランティアが6日間で約1700人、支援金は4400万円にのぼった。

ページの先頭へ 戻る

漢字過敏症

麻生首相が「未曾有」を「みぞうゆう」と読んだり、閣僚が「渦中」を「うずちゅう」と読んで話題になった。こんなニュースで日常生活の中でも漢字の読み方に神経過敏になって気になって仕方がないという人が生まれている。

ページの先頭へ 戻る

シューイング

靴投げ。2008年12月バグダッドで当時のブッシュ米大統領が記者から靴を投げられた事件。以後、中国の温家宝首相はじめ各地で要人が靴を投げられ、卵やトマトに代わって抗議で靴を投げる行為が定番になった。靴に当たった方も当てた方も笑いをともなって情けなさが満点。

ページの先頭へ 戻る

草食男子

草食男子(草食系男子)と呼ばれるのは異性に対してガツガツせず、心地よさを重視する男性。対するに恋愛や結婚相手を積極的に求めて行動する女性が肉食女子。こうした草食系男子と肉食系女子が20代から30代前半に増えているという。草食系男子の初出はコラムニストの深沢真紀がウェブ上で使ったのが最初とされる。深沢真紀『平成男子図鑑』、牛窪恵『草食系男子の恋愛学』などによると草食系男子は次のようなイメージ。<1>外車やおしゃれなバーなどを利用するといった、見栄のための身分不相応の消費はしない、<2>洋服やンテリアグッズは自分なりのこだわりで選ぶ、<3>独りぼっちは苦手。だが「ひとり遊び」は得意、<4>女性に嫌われるくらいなら友人のままでいたほうがいいから告白はしない、<5>彼女よりも、昔からの地元の友人に相談する、<6>家族が大事。子どもは欲しいと思っているが性欲は薄い、<7>性欲処理はアダルトサイトで十分。不倫や、セックスのための関係などありえない、<7>身だしなみに敏感。デオドラント製品やコスメに興味津々。

ページの先頭へ 戻る

アラカルト婚

婚約指輪を買わずに結婚指輪を豪華にしたり、式を挙げずにドレス姿の写真撮影に凝ったりする、常識にとらわれずに取捨選択する婚礼のやり方。かつての簡素なジミ婚とは一味違う、節約したいが昔ながらの形式を見直し、自分流の結婚にこだわりたいというカップル。

ページの先頭へ 戻る

歴女

若い女性の間で歴史ブームが広がり、歴史好きの女性がこう呼ばれる。きっかけは歴史上の武将を現代風のイケメンキャラクターに仕立てたゲームやマンガ。「歴ドル」と呼ばれるアイドルも登場。「最近の男性は軟弱化しているが歴史上の男性は潔くて男らしい。歴女たちは理想の男性を歴史上の人物に追い求めているからだ」という声もある。

ページの先頭へ 戻る

パパ友

パパ同士の友達。「ママ友」のパパ版。育児に関わる情報交換や交流の目的で人脈づくりに取り組む父親。背景には、男性の間で育児への参加意識が広まったことがある。育児休暇の取り方、近所での人間関係のつくり方など未知のノウハウも多い。そこでママ友を通じて家族同士で知合いになったり、ネット上で父親サークルを立ち上げるなどして人間関係を構築し、父親同士で情報交換する人が現れている。父親同士の教育支援サークル「おやじの会」も全国に出来ている。

ページの先頭へ 戻る

ぶっちゃけ

「ぶっちゃけて言うと」を縮めて「ぶっちゃけ」という語が会話の中で流行、影木栄貴『ぶっちゃけ隊!!』(新書館)なる本まで出た。「自分のこと、家族のこと、ぜーんぶぶっちゃけたコミック」といううたい文句で売られている。

ページの先頭へ 戻る

細マッチョ

最近の女性の求める細身ファッション。スリムだけれど適当に筋肉がついている男性。

ページの先頭へ 戻る

モグラ女

プロデューサー残間里江子の造語。アラカン(アラウンド還暦)女性は家庭という地中のもぐらから怖々、下界をうかがい、己の無力を嘆いている、と。ところが、「地上へ出て働いておくれ」との声に応えて覚悟を決めた彼女たちは、外光に身をさらして翻弄されるどころか大恐慌の世の輝ける「アラカン」(団塊世代を指す)の人材になろうとしている。

ページの先頭へ 戻る

ファスト・ファッション

マクドナルドなどのファスト・フードのもじり造語。東京・表参道のフォーエバー21がきっかけで低価格の衣料品を売る店が次々と生まれ、安売り競争となった。デパートの古靴、古スーツの下取りセールなどを含め「デフレの入り口」といわれた。

ページの先頭へ 戻る

ワンコインライブ

100円や500円といったコイン1個で気軽に楽しめる音楽や演劇、お笑いの催し。ワンコイン弁当といえば500円。身近な表現の場として増えている。出演するのは若手のアーティストが中心で、観客を前にして技や芸を研鑽し合う。そんな若手の成長ぶりを眺める楽しみが見る側にある。

ページの先頭へ 戻る

ダブルディップ

株価の2番底。日米英ともほぼリーマン・ショック直後の水準まで戻し、生産指数も下げ止まったことで景気回復への期待が高まった。しかしそれが順調に好況感につながる保証はない。

ページの先頭へ 戻る

コンビニ受診

平日に地殻の診療所へ行けばすむ症状なのに、便利だからとコンビニに行くような感覚で救急医療を利用すること。夜間や休日の勤務医は通常より少ないため、重症患者の診療の妨げになるほか、医師が疲れ果て、医療崩壊の一因になると指摘されている。

ページの先頭へ 戻る

飛翔体

4月、北朝鮮が人工衛星の名目で打ち上げた長距離弾道ミサイルを河村建夫官房長官が呼んだ名称。ミサイルとは特定せず、麻生首相も「北朝鮮による飛翔体の発射は挑発的行為」と発射物を表明した。

ページの先頭へ 戻る

パンデミック

世界的大流行。新型インフルエンザの流行といわれた言葉だが、大正の中期、世界で猛威をふるった「スペイン風邪」のときの内務省の記録にすでにあった。

ページの先頭へ 戻る

国営マンガ喫茶

国立メディア芸術総合センター。国立アニメの殿堂とも。福田首相の案だというが麻生首相が予算化。建築費117億円で年間60万人の入場者を見込む。「この数10分の1をアニメの聖地といわれる秋葉原の治安対策に回して無差別殺人事件以来休止中の歩行者天国を再開したら」との投書があった。「国営マンガ喫茶」はともかく「国立アニメの殿堂」は麻生首相自身が言っている。

ページの先頭へ 戻る

定金

さだきん、読む。麻生政権の目玉政策の一つだった、定額給付金のこと。1人当たり一律1万2000円、18歳以下と65歳以上には6000円を上乗せする。必要な予算約2兆円は各市町村を通じて支給。選挙対策のバラマキと批判を浴びたが、その効果のほどは疑問で、川柳に詠んでいわく「くれるなら貰ってやるが入れないよ」。

ページの先頭へ 戻る

渡り

退職した国家公務員が出身官庁のあっせんで公益法人などへ再就職を繰り返すこと。

ページの先頭へ 戻る

おくりびと

青木新門『納棺夫日記』をもとに滝田洋二郎監督、本木雅弘主演で製作された映画のタイトル。なくなった人を納棺し葬儀までの雑事一切を請け負う人。映画はアメリカ・アカデミー外国映画賞を受賞。

ページの先頭へ 戻る

「放浪記」2000回

「放浪記」は林芙美子の自伝的小説を菊田一夫が脚色・演出、のち三木のり平も演出に当たった芝居。森光子が林芙美子を演じ、2009年、89歳の誕生日に上演2000回を達成、国民栄誉賞を受賞した。森光子が初演したのは1961年で、ケネディ大統領が就任した年。

ページの先頭へ 戻る

ウィズ・エージング

老いとともに、の意味。アンチ・エージング(抗加齢)に対して、杏林大学医学部鳥羽研二教授の提唱で「老いをありのままに受けとめ、平常心で生活する」生き方。アメリカでいわれ始め急速に広まった。抗加齢とは老化現象を悪と決めつけ、いつまでも若々しくと願う中高年の人々の心理を巧みにとらえた。それが行き過ぎると化粧品、薬品、栄養食品などに夢中になる。

ページの先頭へ 戻る

漂流高齢者

3月、群馬県渋川市の有料老人ホームで火災、高齢者10人が焼死という事件が起きた。そのときいわれた言葉。東京の老人ホームはどこも満員で、遠く離れた土地に施設を求めることをいったもの。高齢社会のひとつの現実。

ページの先頭へ 戻る

「男介」の輪

「男介」とは男性介護者。評論家樋口恵子の提唱で2009年3月に京都で「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」がスタート、「男性の介護の和が広まり、介護を通して男女が協力し合えば新しい関係が築ける」という。

ページの先頭へ 戻る
All Right Reserved, Copyright(C) ENCYCLOPEDIA OF CONTEMPORARY WORDS