月刊基礎知識
月刊基礎知識トップページへ バックナンバーへ
5月を彩る言葉たち
木村傳兵衛 執筆

5月を彩る言葉たち

立夏  the beginning of summer

りっか。夏の始まりを告げる節気。新暦5月6日頃。春分と夏至の中間にあたり、山野に新緑が目立ちはじめ、爽やかな風が吹き、夏の気配が感じられる時期。旧暦では4、5、6月が夏にあたり、それぞれ孟夏、仲夏、季夏、あるいは初夏・仲夏・晩夏という異名がある。これらを合わせて三夏という。

ページの先頭へ 戻る

小満

しょうまん。草木などの生き物が成長し生い茂る様を意味する節気。新暦5月21日頃。麦の穂がつきはじめ、田植えの準備をはじめる時期。かつて養蚕が盛んだった長野県東信地方の佐久市臼田では、五穀豊穣と商売繁盛を祈願する稲荷神社の「小満祭(こまんさい)」がいまに伝えられている。

ページの先頭へ 戻る

八十八夜

はちじゅうはちや。立春から数えて88日目にあたる雑節の一つ。新暦5月2日頃。八という末広がりの文字が重なることから、この頃に摘み取られる新茶は、古来より不老長寿の縁起物として珍重されている。また、「八十八夜の別れ霜」という諺のとおり、この頃から霜の害の心配はなくなるとされ、お米や農作物の種蒔きに最適な季節と言われている。八十八は「米」の文字ともなるため、稲作にかかわる神事が各地で行われる。

ページの先頭へ 戻る

端午の節句

たんごのせっく。五節句の一つで5月5日(こどもの日)。菖蒲の節句、重五(ちょうご)ともいう。この頃は高温多湿で伝染病や害虫に悩まされる時期だったことから、薬草とされる菖蒲を軒先に飾ったり、菖蒲湯に浸かったり、菖蒲酒を飲むなど邪気や疫病を祓う風習が古くから伝わっていた。江戸時代には、菖蒲の音が「尚武」(武道を重んじること)に通じることから、武家に生まれた男子の成長を祝う日として定着し、庶民に広まったとされる。

ページの先頭へ 戻る

葵祭

あおいまつり。毎年5月15日、五穀豊穣を祈念して京都の上賀茂神社と下鴨神社で行われる祭り。古くは賀茂祭と呼ばれていた。起源は約1400年前とされ、京都三大祭のなかで最も古い。平安時代の貴族の間では、祭りといえば葵祭を指した。その名の由来は、祭りの際、供奉者の衣装、冠、御簾、牛車などに葵が結ばれることから。祭りの見どころは路頭の儀と呼ばれる行列。束帯の勅使や十二単の斎王代、牛車や輿など王朝絵巻の世界を再現した優雅な行列(約500名)が、京都御所から下鴨神社を通り、上賀茂神社への約8キロメートルにおよぶ道のりを歩く。行列のヒロインである斎王代は、京都在住の未婚女性から選ばれる。

ページの先頭へ 戻る

三社祭

さんじゃまつり。5月の第3金曜、土曜、日曜にかけて行われる東京・浅草神社のお祭り。神田祭、山王祭とともに江戸三大祭の一つ。初日には鎌倉時代から伝わるびんざさらという楽器を打ち鳴らして舞い、五穀豊穣を願う。最終日には大神輿と神輿が盛大に街を練り歩く。荒祭として知られ、1トンを超える大神輿の他に、多数の神輿が出る。神輿を上下や左右に揺り動かすことで、神の威厳が高められるとされている。

ページの先頭へ 戻る

博多どんたく

5月3日、4日に博多で行われる盛大な祭り。しゃもじを叩き、にわか面をつけ、羽織りを裏返しにして着る「粋な肩裏」と呼ばれるいでたちで踊りを披露する。平安時代末期にこの地を治めていた平重盛の功績を偲んで行われた正月行事の松囃子に由来し、戦後になって5月に行われるようになった。「どんたく」とはオランダ語の休日(Zondag)が訛ったもの。

ページの先頭へ 戻る

母の日

5月の第2日曜日に母親に感謝を捧げる日。カーネーションを贈るようになったのは、1907年に北アメリカで教師をしていたアンナ・ジャーヴィスが亡き母を偲び、教会の友人たちに白いカーネーションを贈ったのが始まり。母親に感謝する日は世界中で設けられており、時期はそれぞれの国によって異なる。

ページの先頭へ 戻る
All Right Reserved, Copyright(C) ENCYCLOPEDIA OF CONTEMPORARY WORDS