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換算するとわかりやすい単位
著者 白鳥 敬

換算するとわかりやすい単位

暖かい風は軽い

風の力は、気温によって変わります。暖かい空気は密度が小さいので、同じ風速でも、風圧は弱く、冷たい空気は密度が大きいので風圧が強くなります。

風速10メートル毎秒の風が投影面積0.5平方メートルの人に与える力は、0℃で3.366キログラム重、30℃で3.0345キログラム重です。気温が30度高くなると、風圧は約1割小さくなっています。夏の風より冬の冷たい風のほうが強く感じるのはこのためです。

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指先に1キログラム重

1643年、イタリアのトリチェリは、水銀が入ったガラス管を水銀の入った器の上に立てると、水銀柱の高さが760ミリメートルで止まることを示しました。これは大気の圧力、つまり空気の重さによるものです。空気の重さは、1平方センチメートルあたり約1キログラム。指先に、約1キログラム重の力がかかっているのです。でも、体のまわりじゅうに同じ力がかかっているので、ふだんは、この重さを感じることはありません。

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Gの大きさを体で感じる

スポーツタイプの車で急加速をすると、背中がシートに押しつけられるような感じがします。これは加速度によって後ろ向きの荷重がかかるからです。地球上の重力加速度と同じ荷重が1G。2Gでは、体重が2倍になったように感じます。もし手にもった缶飲料の重さが2倍くらいになったように感じれば、そのとき2Gの荷重がかかっていることになります。

なかなか高Gを体験する機会はありません。身近なところでは、ジェットコースターに乗れば、2Gから3Gくらいは体験できます。ジェットコースターに乗るときに、缶飲料を持ったまま乗ることはできませんので、手を持ち上げようとしてみましょう。ずしりと重いはずです。

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容積から重さを知る

水の比重は1。水1リットルは1キログラム。18世紀の終わりにフランスでメートル法がつくられたとき、1000立方センチメートルの水の重さを1キログラムとしました。これが1キログラムの始まりです。

比重の違う液体は、当然、重さも違います。たとえば、ガソリンの比重は約0.75ですから、1リットルのガソリンは、約750グラム。ガソリンは水と比べるとかなり軽いです。

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食べたいもので気温を知る

気温と売れ行きに相関関係のある商品があります。たとえば、ビール、アイスクリーム、清涼飲料などです。何度になると何が売れ始めるというデータはいろいろあるようですが、諸説あってこれが答え!というようなものはないようですが、どの説も、なかなか説得力のあるものばかりです。

ここでは、『よくわかる気象・天気図の読み方・楽しみ方』(成美堂出版)という本から引用しておきます。同書によると、22℃以上でビール、25℃以上で清涼飲料、27℃以上でアイスクリーム、30℃以上でかき氷がよく売れるそうです。

逆に言えば、なんとなくビールが飲みたいな、と感じたら22℃以上、アイスクリームが食べたいなと感じたら27℃以上あるということでしょう。

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うるささの目安

街は音に満ちあふれています。静かな住宅の中は40デシベルくらいですが、繁華街の騒音は80デシベル以上もあります。120デシベル以上になると、音ではなく痛みとしてしか感じなくなります。たとえばジェットエンジンの音をすぐ近くで聞くと120デシベルくらい。

住宅地から駅前に近づいていくと少しずつ騒音が増えていきますが、少しうるさくなり始めたかな、というところが55デシベル程度です。

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速度の目安

レールの長さや電柱の間隔などが一定であれば、レールの継ぎ目をまたぐときの「ゴトン」という音の数や、通り過ぎていく電柱の数でだいたいの速度を知ることができますが、実際は地形や形状の関係で速度の目安になるほど規則的には並んでいないようです。

最も簡単なのが、一定間隔に結び目をつけた紐を列車後部から垂らしていって、一定時間に何個の結び目が落ちたかを数えれば、速度を知ることができます。でも、列車でそれをやるわけにはいきません。昔は、船の上から一定間隔で結び目をつけたロープを垂らして、速度を測りました。この結び目をノット(knot)といい、ヤード・ポンド法の速度の単位ノットの語源となっています。

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熱を音に変え、音を電気に変える

米ユタ大学のオレスト・シムコ教授が、大学院生とともに、熱を音に効率よく変換するヒートエンジンの開発に成功したという話が、ユタ大学のリリースに載っています。ガラス管でできたシリンダ型の共振器の内部構造に工夫をこらして、ここに熱を加えることで、120デシベルから135デシベルの音圧を作り出すことに成功したそうです。この音圧を圧電素子を利用して電気に変換すれば発電することができます。シムコ氏は、2年以内に、太陽電池に代わるものとして使用できるようにしたいと言っています。

熱エネルギーを音エネルギーに変換するという、予想外な発想が斬新です。物事を異なる単位でとらえてみる習慣をつけておくと面白いかもしれません。

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