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推計値の読み方
著者 白鳥 敬

推計値の読み方

〜円の経済効果

「東国原宮崎県知事の経済効果はテレビCMの広告費に換算すると165億円」という記事がありました。これは宮崎県が電通に依頼して算出した数字だそうです。このほか、「阪神優勝で800億円の経済効果」というのもよく聞きます。この経済効果、経済波及効果というのは、特に定義はなく、いろいろなシンクタンクや広告代理店などが、いくつかのモデルケースを作って算出しています。あくまでも推計値ですが、こういう言葉を聞くと思わず財布の紐が緩みそうになるので、確かに経済効果はあるのでしょう。

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〜人の足に影響

朝のラッシュ時に、故障などで電車が遅れると、「何万人の足に影響」という言い回しがよくされますが、どのように算出しているのでしょう。これはどこの鉄道会社も、運転が停止した時間に走行予定だった電車の本数と、あらかじめ保有しているその時間帯に乗車する旅客数のデータから人数を出しています。「1万人の足」と発表されても、もちろんきっちり1万人が影響を受けたわけではありませんが、だいたいのイメージはつかめますね。

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低位推計/中位推計/高位推計

2100年の日本の人口は、現在のほぼ半分の6400万人になるというショッキングな予測が国立社会保障・人口問題研究所から出ています。この推計には、低位推計・中位推計・高位推計の3種類があります。6400万人というのは、中位推計によるもので、低位推計だと4600万人まで減少します。

出生率が将来どのように変化するかは、3つのケースに分けて推計されています。低位推計は未婚率が高い東京都の傾向、中位推計は全国平均、高位推計は未婚率の低い10県の傾向に基づいて設定されています(国立社会保障・人口問題研究所、少子化対策・高齢社会対策のホームページによる)。

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乗車率(混雑率)

帰省シーズンになると、「新幹線の自由席の乗車率は180%」などという記事がでます。乗車率は、列車の混み具合を表す数値で、混雑率ともいい、(輸送人員÷輸送力)×100で表します。通勤電車は、座席のほか立って乗車する人数も乗車定員になっていますから、それも含めます。立っている人の定員は、一人あたり床面積0.3m2で計算します。これは一辺が約55cmの正方形ですから、けっこう詰め込んだ状態を想定しているのですね。

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混雑率の目安

朝のラッシュアワーの電車でぎゅうぎゅう詰めになって通勤している方も多いと思います。国土交通省のホームページに、混雑率の目安が記されています。

「混雑率100%:定員乗車。座席につくか、吊り革につかまるか、ドア付近の柱につかまりゆったり乗車できる。」

「混雑率150%:肩がふれあう程度で、新聞は楽に読める。」

「混雑率180%:体がふれあうが、新聞は読める。」

「混雑率200%:体がふれあい、相当な圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める。」

「混雑率250%:電車が揺れるたびに体が斜めになって身動きができず、手も動かせない」

ちなみに、1985(昭和60)年頃は、東海道本線などで混雑率が270%近いこともあったそうです。まさに「殺人的ラッシュ」と言えますね。

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〜万人の人出

初詣をはじめコンサートや行楽地など、「〜万人の人出」という言い方がありますが、こんなに多くの人の数をどのようにして数えているのでしょうか。この数え方にはとくに決まりはなく、発表される数字も、もちろん正確なものではありません。多くの場合、一定面積あたりの人の数を数えて、それを人が集まっている場所の面積にあてはめ、さらにそれに時間経過を入れて、総動員数を出します。主宰者の発表と警察の発表が違うことがよくありますが、主催者にとっては、数字をより多く出したいという願望があり、警察は、人出に応じた警備体制が必要なので、より正確に出す必要があるからでしょう。

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1所帯あたり〜

1所帯あたりの貯蓄額がいくらとか、消費がいくらとか、そういった言い方がよくされます。日本にはどれくらいの所帯があるのでしょう。総務省統計局の平成17年度国勢調査の速報によると、日本の総所帯数は約4822万4500となっています。この他に、施設等の所帯という項目があって、こちらは約10万です。これは学校の寮や寄宿舎や老人ホーム等の社会福祉施設などをいいます。この場合、1棟で1所帯と数えるそうです。また、自衛隊は中隊ごとに1所帯、船に乗っている者は、艦船ごとに1所帯と数えるのだそうです。

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出荷台数/普及率

2006(平成18)年12月1日から、全国のすべての都道府県の県庁所在地とその他の主要都市周辺で地上デジタル放送を見ることができるようになりました。社団法人地上デジタル放送推進協会によると、全国の約84%の所帯で地上デジタル放送を見ることができるようになったそうです。

 一方、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の発表によると、07年1月までの地上デジタルテレビの出荷台数の累計は1103万台。これにデジタルレコーダー、単体チューナ、CATVのSTBを加えて1790万1000台となっています。出荷台数からみた地上デジタル放送受信可能所帯は約37%。また、この数字から計算すると、06年12月時点での視聴可能所帯4051万所帯のうち、約44%が地上デジタル放送を見ることができる計算になります。実際は、出荷台数のすべてが売れているわけではありませんし、デジタルレコーダーはデジタルテレビと同時に使用されることが多く、またCATVの場合はSTBからアナログテレビに映像を出している家庭が含まれるので、実際の地上デジタル視聴所帯数はもう少し小さいでしょう。普及率を出荷台数を元にしてみると正確ではない場合があります。

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犬猫の人口推計

地球上にいる人間の総人口は、この原稿を書いているこの瞬間で65億7496万6916人いるそうです(「世界の人口」http://arkot.com/jinkou/より)。では、犬や猫はいったいどれくらいいるのでしょうか。地球上の全犬猫の数はさすがにわかりませんので、日本に限ってみてましょう。

ペットフード工業界のホームページによると、日本にいる犬と猫の数は、2004年の調査で、飼い犬の総数は1245万7000匹、猫は飼い猫・外猫合わせて1163万6000匹と推定しています。

犬は登録制になっていますから厚生省の畜犬登録頭数等調査を見ればわかります。これによると03年度で630万匹くらいです。実際は登録されていない犬がいたり、野犬もいますから実際の犬人口は不明ですが、上記のペットフード工業界が出した数字が近いのではないでしょうか。

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巨大鍋、何人分つくれる?

毎年9月になると、山形から、巨大な鍋を使った芋煮会のニュースが伝わってきます。この鍋は、直径6m、重さ3.2トンの巨大鍋で芋煮をつくる催しで、一つの鍋から3万食分もの芋煮ができるのだそうです。

また、巨大イカや巨大マグロがとれたというニュースがときどき飛び込んできます。たいてい、刺身何人前がとれるというような書き方がされますが、これもとくに根拠はなく、職人さんが見て、だいたい何人前くらいだな、という感じの数値です。2007(平成19)年1月23日、島根県出雲市沖で長さが6.73m、重さ72kgのダイオウイカがとれましたが、残念ながらこのイカは食用には適さないそうです。

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